あの日から今日まで
自分の障害を知ったあの日、スバルは「お母さんのお腹に戻って障害のない自分に生まれ直したい」と泣きました。
それから数年たち、現在のスバルはそのような言葉をほとんど言わなくなりました。将来の不安がなくなったわけでも完全に前向きになったわけでもありません。不安や沈むような感情はいろいろな経験を経て何年もかけて、少しずつ形を変えて薄まり生活の中に溶け込んでいきました。これからも消えはしないけれど、どうにか抱えて歩いていける重さになったように感じます。
執筆/星あかり
それから数年たち、現在のスバルはそのような言葉をほとんど言わなくなりました。将来の不安がなくなったわけでも完全に前向きになったわけでもありません。不安や沈むような感情はいろいろな経験を経て何年もかけて、少しずつ形を変えて薄まり生活の中に溶け込んでいきました。これからも消えはしないけれど、どうにか抱えて歩いていける重さになったように感じます。
執筆/星あかり
専門家コメント 初川久美子先生(臨床心理士・公認心理師/東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち)
スバルくんの障害のカミングアウトについて、特に友だち関係における場合のエピソードをありがとうございます。スバルくんのこれまでの歴史を知っているだけに、今回のこのコラムは、「スバルくん、成長したね……!」と「スバルくん、いい友だちができてよかったね……!」で胸がいっぱいになります。
スバルくんは成長の中で、自分に障害があることを悲しんだり(「お母さんのお腹に戻って……」)、そのことを隠したり。“障害”というカテゴリの持つ社会的な意味合いを知ったからこそ、そのような反応が出ていました(“障害”が将来を悲観するようなものにならないように、社会の仕組みや人々の先入観を変えていくのは大人の仕事だなとも改めて思うところではあります。ただ、現状、自分に障害があることを知って悲しくなるのは、残念ながら自然な反応ではあります)。
特別支援学級の仲間たち、つまり、お互いの苦手さを知っても関係性が変わらず、そしてきっとお互い応援し合える関係である仲間たちの中で、「自分の障害」について話せたということがまずありました。安心できる場・関係性だからこそ、自分のことを話せるというのは、大人でもそうですが、とても自然なことだと思います。特別支援学級が、スバルくんにとってそうした安心安全の場であったことが何よりです。
そして、6年生になって仲良く遊ぶようになった交流級の仲間たちに自分の障害についてカミングアウトしたこと。それは、中学になったら別の校区の学校に進学するから、離れてしまうことを見越してのカミングアウト。離れてしまうことが分かっている、「だからみんなと思い出いっぱい作りたいんだよね」。なんという成長でしょう……。そして、思い出をいっぱい作りたいと思う仲間たちと出会えたこと、その仲間たちと日々良い関係を築けていること。素晴らしいですね。そして、その後の仲間たちの反応も、概ね以前と変わらず「容赦ない」とのこと。今回のスバルくんのカミングアウトは、苦戦が続いて少し配慮してほしいからという文脈でのカミングアウトでなく、離れてしまうのが残念だけど思い出をいっぱい作りたいからのものなので、まさにスバルくんの思いが通じたものともいえそうですね(寒いからと断った後で、「おいおい、思い出作るんじゃなかったのかよ」と言ってくれるのは、しっかり受け止めてくれた証拠だなと感じます)。
将来の不安や沈み込むような気持ちもまだあるとのこと。それも大事な気持ちだと思います。“障害”をめぐって、今の世の中で安心して生活していけると思うのは、なかなかまだ難しいかもしれません。ただ、スバルくんは、先の不安はありつつも、それでも今を大切に、かけがえのない仲間や機会を大切に過ごしていることが今回のエピソードからとても伝わってきました。もうすぐ小学校卒業の時期かと思いますが、よき仲間たちとよき時間を過ごして思い出がいっぱいできることを祈っています。(監修:臨床心理士・公認心理師/東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち 初川 久美子先生)
スバルくんは成長の中で、自分に障害があることを悲しんだり(「お母さんのお腹に戻って……」)、そのことを隠したり。“障害”というカテゴリの持つ社会的な意味合いを知ったからこそ、そのような反応が出ていました(“障害”が将来を悲観するようなものにならないように、社会の仕組みや人々の先入観を変えていくのは大人の仕事だなとも改めて思うところではあります。ただ、現状、自分に障害があることを知って悲しくなるのは、残念ながら自然な反応ではあります)。
特別支援学級の仲間たち、つまり、お互いの苦手さを知っても関係性が変わらず、そしてきっとお互い応援し合える関係である仲間たちの中で、「自分の障害」について話せたということがまずありました。安心できる場・関係性だからこそ、自分のことを話せるというのは、大人でもそうですが、とても自然なことだと思います。特別支援学級が、スバルくんにとってそうした安心安全の場であったことが何よりです。
そして、6年生になって仲良く遊ぶようになった交流級の仲間たちに自分の障害についてカミングアウトしたこと。それは、中学になったら別の校区の学校に進学するから、離れてしまうことを見越してのカミングアウト。離れてしまうことが分かっている、「だからみんなと思い出いっぱい作りたいんだよね」。なんという成長でしょう……。そして、思い出をいっぱい作りたいと思う仲間たちと出会えたこと、その仲間たちと日々良い関係を築けていること。素晴らしいですね。そして、その後の仲間たちの反応も、概ね以前と変わらず「容赦ない」とのこと。今回のスバルくんのカミングアウトは、苦戦が続いて少し配慮してほしいからという文脈でのカミングアウトでなく、離れてしまうのが残念だけど思い出をいっぱい作りたいからのものなので、まさにスバルくんの思いが通じたものともいえそうですね(寒いからと断った後で、「おいおい、思い出作るんじゃなかったのかよ」と言ってくれるのは、しっかり受け止めてくれた証拠だなと感じます)。
将来の不安や沈み込むような気持ちもまだあるとのこと。それも大事な気持ちだと思います。“障害”をめぐって、今の世の中で安心して生活していけると思うのは、なかなかまだ難しいかもしれません。ただ、スバルくんは、先の不安はありつつも、それでも今を大切に、かけがえのない仲間や機会を大切に過ごしていることが今回のエピソードからとても伝わってきました。もうすぐ小学校卒業の時期かと思いますが、よき仲間たちとよき時間を過ごして思い出がいっぱいできることを祈っています。(監修:臨床心理士・公認心理師/東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち 初川 久美子先生)
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
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