【自閉症息子の宿泊学習準備】春から高学年だけど生活習慣が不安!母の考えた入浴、身支度のスモールステップ特訓とは?

ライター:ゆきみ
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ASD(自閉スペクトラム症)がある長男けんとは、生活習慣を身につけるのに、とても時間がかかります。スモールステップで毎日コツコツと練習していますが、思うように進まないことも多くあります。そんなけんとも、もうすぐ高学年。学校行事である「宿泊学習」という大きな壁が、少しずつ近づいてきました。

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監修: 初川久美子
臨床心理士・公認心理師
東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち
臨床心理士・公認心理師。早稲田大学大学院人間科学研究科修了。在学中よりスクールカウンセリングを学び、臨床心理士資格取得後よりスクールカウンセラーとして勤務。児童精神科医の三木崇弘とともに「発達研修ユニットみつばち」を結成し、教員向け・保護者向け・専門家向け研修・講演講師も行っている。都内公立教育相談室にて教育相談員兼務。

生活習慣がなかなか身につかない…

長男けんとは、3歳のときにASD(自閉スペクトラム症)と診断を受けました。現在は小学4年生で、特別支援学級の情緒クラスに在籍しています。構音障害があり、集団行動が苦手、数字が大好きな男の子です。
けんとは幼少期から、生活習慣を身につけることがとても苦手です。洋服の前後を間違えて着るのは日常茶飯事で、たまに前後に加えて表裏も逆に着ていることがあります。自分の物を管理するのも苦手で、忘れ物も多いです。
身につけたい生活習慣はたくさんあります
身につけたい生活習慣はたくさんあります
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身につけてほしいと思う、寝ぐせ直し、歯磨き、お風呂での洗い方、荷物の整理などについては、一つひとつの行程を細かく分け、スモールステップを意識しながら練習を重ねてきました。
そんなけんとも、いよいよ高学年。5年生になると、通っている小学校では1泊2日の宿泊行事が予定されています。今まで家族や学校の先生、放課後等デイサービスの指導員の方など、多くの方に支えられてきたけんとが、宿泊学習では自分のことを自分で行わなければならない場面が一気に増えることになります。今のけんとにそれができるのか……とにかく不安になりました。

苦手な荷物管理 不安と考える対策

まず心配なのは、荷物の管理です。お弁当や水筒、教科書など、けんとは忘れ物がとても多く、ランドセルを背負わずに登校しそうになったり、習い事から手ぶらで帰ろうとしたりすることがよくあります。
けんとの通う学校の特別支援学級は人数が多く、宿泊学習では基本的なことは自分で行う必要があると先生から伺いました。持ち物リストを作ろうかとも考えましたが、そのリスト自体を忘れてしまいそうな気もします。
安心して宿泊学習に行けるように!
安心して宿泊学習に行けるように!
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お気に入りの洋服などは持っていかないようにして、「なくなってもいい洋服を持っていく」「なくしたくない物には必ず名前を書く」「本当に大事な物がある場合は、それだけを忘れない工夫を一緒に考える」など、本人が頑張りすぎなくても大丈夫な方法を軸に、現実的な対策を立てたいと考えています。
そして、使った物がきれいに畳まれていなくても「カバンの中に入っていればOK」と、私自身のハードルを下げることも必要だと感じています。

入浴、身支度の練習もスモールステップで

洗う順番をイラストにしてラミネート加工し、浴室で見られるようにしました
洗う順番をイラストにしてラミネート加工し、浴室で見られるようにしました
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けんとは小学2年生の頃から、お風呂で髪や体を自分で洗う練習を始めました。視覚情報で伝えると理解しやすい特性があるため、洗う順番をイラストにしてラミネート加工し、浴室で見られるようにしました。毎日少しずつ練習を重ね、小学4年生になった今、「なんとなく洗う」ことはできるようになりました。しかし、まだ洗い残しや、すすぎ不足があります。顔が濡れるのを嫌がるため、ミニタオルを持って浴室へ行き、拭きたくなったらすぐに自分で拭けるようにして練習しています。
通っている学校の宿泊行事では、1人10~15分ほどで入浴を終えなければならないそうです。宿泊はたった1日。「完璧にきれいに洗う」ことよりも、「時間内に全体をなんとなく洗う」ことを目標にしようと考えています。

また、小学4年生になってからは寝ぐせ直しの練習も始めました。ブラシをうまく使えず、直しているつもりが、かえってひどくなってしまうこともあります。鏡で見える部分を直すだけでも難しいようで、見えない後頭部はさらに難しいようです(私自身も、うまく直せないことが多いです。難しいですよね……)。
これも数年かけて、なんとなくできるようになればいいかな、くらいの気持ちでいます。
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「行きたくない!」宣言の宿泊学習

けんとが突然「ボクは宿泊学習には行きたくありません!」と家で宣言
けんとが突然「ボクは宿泊学習には行きたくありません!」と家で宣言
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宿泊学習について考えていたある日、けんとが突然「ボクは宿泊学習には行きたくありません!」と家で宣言しました。理由を聞くと「泊まるのが怖いんです」とのこと。「いつもと同じ」が大好きなけんとにとって、親と離れていつもと違う環境で寝ることは、不安が大きいのだと思います。無理に全ての行程に参加するのではなく、私が送迎をして、「宿泊」はせずに自宅へ帰り、翌朝また宿舎に送って参加する、という選択肢も考えています。

まだ時間があるので、「憧れの2段ベッドがあるらしいよ♪」など、けんとの気持ちが「行ってみたい♪」に少しでも傾くような声かけをしながら、様子を見ていこうと思います。これからもけんとと対話を重ね、「これなら参加できる」という部分を一緒に探し、もし可能であれば、何かしらの形で参加できたらいいなと考えています。

低学年から高学年へと成長するにつれ、子どもに求められる生活習慣の内容も変化していくように感じます。けんとの場合、不器用さや不注意の特性が強く、なかなか身につきにくい部分があります。私がつい手を貸してしまうことが、成長を遅らせているのではないかと悩むこともありますが、次男が着実に生活習慣を身につけている様子を見ると、やはり特性の影響が大きいのかもしれないと感じます。

これからも焦らず、けんとのペースを大切にしながら、少しずつ生活習慣を身につけていけるよう、私自身もサポートを続けていきたいと思います。
執筆/ゆきみ

専門家コメント(臨床心理士・公認心理師 初川久美子先生)

学校の宿泊学習をめぐる準備についてのコラムをありがとうございます。物の管理、着替え、入浴など、日常生活でも毎日していることではありますが、毎日のことだからこそ、あわただしい中で親や先生、スタッフが手を貸してしまう面もありますね。宿泊学習があるからという目標をおいて、数年計画でスモールステップで取り組まれていることがとても素晴らしいと感じました。

荷物管理に関しては、「お気に入りの服は持っていかない」など具体的な工夫は、読者の方も真似しやくていいですね。そして、すべてを詰め込むバッグは大き目がおすすめです。たたまずとも、とりあえず全部入るような大きさだと短い時間での支度がしやすいと思います。
視覚的な指示が入りやすいお子さんには、シャワーの横に手順を書いたものを用意するのはとてもいい準備になると思いました。髪も体も、まんべんなく洗うことを目指すと結構な工程がありますね。1枚ずつめくりながら工程を行える工夫はいいと思います。

さて、「宿泊学習には行きたくありません」と言っているとのこと。不安を言葉にできるのはいいことですね。不安の種を明らかにし、対策や準備をしながら、当日までにどこまで「大丈夫そうだ」と思えるかというところです。実際には、泊まらずに送迎する選択肢も候補に入れつつ検討されているのも何よりです。宿泊学習にどきどきしながらも行って、無事に帰ってこられたら、きっと自信がつく面もありそうですね。ただ、あまりに不安な状態で行っても楽しめる余裕はないかもしれません。その兼ね合いが難しいところですが、できる準備と練習をして、こうなったらこうするという別の方法も検討しておき、参加できそうなところは参加していけるとよさそうです。宿泊学習という1つの大きな行事で、日常生活スキルが大きく伸びる面を活かしつつ、負担になりすぎるのではなく。けんとくんのペースで成長していけるといいですね。(監修:臨床心理士・公認心理師 初川久美子先生)
前の記事はこちら
https://h-navi.jp/column/article/35030878
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
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