【実体験】新学期の「名前が覚えられない」。わかってるフリで疲労の学生時代、大人になって手に入れた「方法」

ライター:宇樹義子
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出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10230000995

ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、複雑性PTSDのある私。人の顔や風貌は覚えられるものの、名前を覚えるのがすごく苦手で、新学期などには苦労しました。今回は私の、人の名前が覚えられない困りごとについてお話しします。

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監修: 鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
1959年東京都生まれ。1985年秋田大学医学部卒。在学中YMCAキャンプリーダーで初めて自閉症児に出会う。同年東京医科歯科大学小児科入局。 1987〜88年、瀬川小児神経学クリニックで自閉症と神経学を学び、栃木県県南健康福祉センターの発達相談で数々の発達障がい児と出会う。2011年、茨城県つくば市に筑波こどものこころクリニック開院。

人の名前が覚えられない

いま思えば、苦手な会話をなんとか成り立たせることですべてのエネルギーを使い切ってしまい、人の名前を覚える力が残っていなかったのだと思います。

処理速度が低いから話のスピードについていけない、聴覚過敏やAPD(聴覚情報処理障害)でそもそも聴き取れていない、自閉特性により、3人以上の人たちの会話や関係性の中身をとらえきることが難しい。トラウマによる過緊張で、人の顔色だけは必死に伺っている……。

そんないくつもの困難の中でどうにか「話についていってるフリ」をするだけで精一杯で、頭は真っ白、疲労困憊。あとで話の中身を思い出すことも難しいのですから、人の名前なんて覚える余裕があるはずがありません。

「感じよく名前を訊き直す」方法も知らなかった 

覚えられないなら感じよく名前を訊き直せればよかったのですが、当時の私にはそういう方法も思いつきませんでした。

相手の不快感を軽減し、その後のコミュニケーションの活性化にもつながるような感じのいい訊き方は、今ならいろいろ思いつきます。たとえば

・「ごめーん何度も聞いて!何さんだっけ?」「田中だよ」「そうそう、田中さんだよね!ごめんね、私、人の名前覚えるのめっちゃ苦手でさ!もしまた訊いちゃったらジュースおごるわ!」

・「えーっと確か……お名前は……た……」「田中だよ」「そうそう、田中さんだよね!こないだも訊いたのに。やだー私ってばポンコツー!ごめんね!デコピンしていいよ!」
とか。

でも当時は、こういうときは「ごめんなさい、あなたの名前を忘れてしまったので、もう一度名前を教えて下さい」と訊くのだと思っていました。だって、私は相手の名前を忘れてしまって、名前をもう一度教えてほしかったのだから(笑)。

会話を「情報のやりとり」と考えていた

ASD(自閉スペクトラム症)の特性があると会話を「情報のやりとり」だと考えがち、というのはよく言われますが、まさに私がそうでした。実際には感情や社会的背景、前後の文脈も非常に重要な要素なのですが、そこが落ちてしまうのですね。

会話の目的が情報のやりとりであるなら、なるべく少ないターンで効率的に情報を取得して会話を終えるのが最もよい、ということになります。そういうわけで、英語文を日本語に直訳したような、あまりにストレートで「無駄のない」例文しか頭に浮かばなくなるわけです。

とはいっても、私が名前を何度も忘れていると知ったら相手が怒るかも、ぐらいは私にも分かったので、質問ができない→ほかの方法が思いつかない→「じゃあ、どうすればいいんだろう?」となって途方に暮れていました。
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