【保護者に聞く「親なきあと」の今】知的障害のあるきょうだい2人と定型発達の息子。相続税対策から生命保険、具体的な備えは?

ライター:LITALICOライフ
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定型発達の長男と中度知的障害の長女、重度知的障害の次男の3人のお子さまがいるA様ご夫婦。お子さま3人それぞれの将来の住まい、暮らしへの願いや、「親なきあと」を見据え家族全員の幸せを考えた具体的な備えについて伺いました。

中度・重度、異なる障害のあるきょうだい

「保護者に聞く『親なきあと』の今」では、さまざまなご家庭がお子さんの将来に向けて「今」どんな準備をしているのか、インタビューからリアルな思いや備えをお届けします。今回は、定型発達の長男と中度知的障害の長女、重度知的障害の次男の3人のお子さまがいるA様ご夫婦。お子さま3人それぞれの将来の住まい、暮らしへの願いや、「親なきあと」を見据え家族全員の幸せを考えた具体的な備えについて伺いました。
【家族構成】
  • 夫婦
  • 長男:21歳、定型発達
  • 長女:19歳、中度知的障害、就労継続支援B型事業所通所中
  • 次男:12歳(小学6年生)、重度知的障害、特別支援学校通学中
ーーお子さまがどんなふうにこれからを過ごせたら幸せだろうなと考えていますか?

定型発達の長男には、自分の足で立って自分なりの幸せを見つけてほしいと思っています。障害のあるきょうだい2人を預けるのではなく、自分自身の人生を大切にしていってほしいです。

中度知的障害のある長女は比較的身辺自立ができている状態なので、グループホームなどでちょっとしたサポートを受けながら、自分の力で生きていけるのかなと思います。小さくても幸せなコミュニティの中で暮らしてほしいですね。

重度知的障害のある次男は、身辺自立が3割くらいしかできないので、人の手をたくさん借りながら本人なりの幸せを見つけていってくれれば、と思っています。排泄・入浴などのケアをしてもらわなければならないので、手厚いグループホームか施設で過ごすことを想定しています。次男は癇癪で他害が出ることもあって、家庭内で長女が精神的な負担を負っていたこともあるので、同じ地域に暮らすのではなく、少し離れたところで次男なりの幸せなコミュニティで生活し、たまに家族が会いに行く、というくらいの距離感のほうが家族全員の幸せにつながるのでは、とも考えています。

ーーお子さまは将来どんな所に住めるといいなと考えていますか?また、そのために必要な準備は何かしていますか?

長女は趣味や生き方など、いろんな意見を尊重してあげたいと思っているので、グループホームは慎重に探してあげたいと思っています。

次男の施設選びについては、手厚い介護が受けられてしっかりした施設に入所できるといいな、と考えています。次男は力も強くなるでしょうし、周りの人に迷惑をかけてしまうかもしれないという引け目を感じている部分もあるかもしれません……。男性スタッフが多く、何かあっても対応できる施設が安心できるかな、と思っています。

今やっている準備としては、次男の施設の見学に少しずつ行っています。

ただ、現在は長女も次男も家にいるため、あまり遠方の施設に見学に行くのは物理的に難しいんですよね。見学に行かなくても詳しいことが分かるようなシステムがもっとあればいいのに、と思っています。

せっかく時間をつくって見学に行っても満員で入れないところもありますし、SNSなどで情報を発信していても、見栄えのいい部分だけ切り取られていて実態とは異なっているかもしれないと思ったりもして。オンラインで施設見学を疑似体験できるといいですね。

ーーごきょうだいには将来どのくらい障害のあるお子さまのことをお願いしたいと考えていますか?

長男には、お金のことだけはお願いする可能性もありますが、きょうだいの面倒を見たり定期的に会いに行って、などというお願いはしないと、夫婦で話し合っています。

長男自身はうちの相続などについても心配してくれているようですが、もし金銭面での管理をお願いすることになったとしても、無料で頼むのではなく、お金を払いながら頼めるようなシステムにしたいと考えています。

ーーごきょうだいを含めたご家族で、障害があるお子さまに関わることについて「家族会議」のような形でお話をしたことはありますか?

夫もいろいろ積極的に情報収集などをしているので、夫婦ではよく一緒に話し合っています。

長女は就労継続支援B型事業所に通い始めたので、将来のルートは決まってきましたが、次男はまだ小学生なので、これから先どうなっていくのか、今後の成長も含めて夫婦で話し合いながら検討している状態です。
ご夫婦で話し合いながらさまざまな情報を整理している
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長男とはまだ直接話し合えてはいませんが、きょうだいのことを頼んだら「いいよ」と言うと思うんです。でも夫とも、長男には長男の道を歩んでほしいと話していて。長男も社会人になるので、そろそろしっかり話し合わないといけないなと思っています。
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親なきあとについて勉強し、夫婦で話し合いながら備えていきたい

ーーお子さまが将来、一生涯で「いくらお金がかかるか」具体的な金額のイメージはお持ちですか?

Webサイトなどを見たり、先輩方にお話を聞いたりして、独学で長女・次男の最低限生きていける金額を算出してみたときに、障害年金などの収入+月6万円くらい、大体3000万円くらい遺しておけばいいのかな、と考えていました。

グループホーム・施設であれば入居費用や光熱費なども障害年金でおおよそまかなえると聞きますが、長女のほうは趣味や衣服の購入費なども考えて、少し多めに考えています。

次男は重度知的障害があるので、長女のように趣味や衣服へのこだわりなどもあまりないので長女ほどお金はかからないのかな、と考えています。

ーーお子さまの将来のお金について、今から準備していることや予定していること、すでに取り組んでいることはありますか?

すでに受け取っている特別児童扶養手当などは、子どもそれぞれの名義の口座に貯蓄していますが、子どもたち自身の口座にあまり多額の貯蓄をすることにはデメリットもあると考えています。貯蓄額が多いと、成年後見制度を利用することになったときに法定後見人の報酬額が高くなってしまう、という話も聞いたことがあるので、今後も生活できるぎりぎりの金額入れるようにした方がいいのかなと考えています。

また、うちの場合は父(子どもたちにとっての祖父)の土地など不動産があるので、私や長男へ少しずつ生前贈与をして相続税対策をとっています。

ーー公的な障害年金や手当のほかに、扶養共済や生命保険、NISAなど、お子さんの将来に向けての経済面での準備はなにかしていますか?

生命保険には家族全員加入していて、障害のある下の2人の子どもたちには障害者向けのオプションもつけています。

障害者扶養共済にはまだ入っていません。(私の)年齢によって掛け金が高くなることも知らなかったのと、夫に任せている部分もあったので、これから検討したいと思います。

ーー障害がある子への相続に関しての対応や、親御さんが亡くなった後の備えとして成年後見や家族信託などについて検討したことはありますか?

親なきあとの準備についての本などを読んで勉強はしています。

成年後見人や家族信託については、時が来たら必要になる制度なのかなとは考えています。ただ、個人の専門家にお願いするのには少し不安があるので、法人に頼めればいいな、と思っています。相性が合わなければ担当の人を変えられたり、第三者の目もあったり、後見人自身が高齢になったときの引継ぎなどの面も含めて、法人のほうが安心感があるのではと感じています。

ーー「成年後見制度」と聞いて、どのようなイメージを持っていますか?

最初は一度お願いしたら途中でやめられないなどのデメリットがあると聞き不安もありましたが、メリットもあると知り、すぐに利用することは今のところは考えていませんが、必要なときには利用したいと考えています。

金銭面だけは長男に定期的に見直しながら管理してほしいと考えているので、長男自身の判断能力に不安が出てきたら、成年後見人が必要なタイミングになるのかもしれません。

ただ、親族が成年後見人になると自分のお金との境界線が曖昧になったりなど、透明性や安全性について不安があるので、第三者にお願いしたほうがトラブルにならず安心なのかなと思います。

ーー最終的に、どんな状態になっていれば、ご自身が安心して「親なきあと」を迎えられると思いますか?

財産に関しては、しっかりと管理してくれる人がいて、必要な金額を必要なときにいきわたらせることができる仕組みを作り上げてから親なきあとを迎えられればと思っています。また、その仕組みについては長男にもしっかりと把握してもらい、どれくらい介入してもらう必要があるのかも見定めて、ある程度整えたうえでそのときを迎えられるのが理想的ですね。

まだ分からないこともたくさんありますし、状況が変わっていくこともあるとは思うので、常に夫としっかりと話し合って備えていきたいと思っています。
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

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