生後6ヶ月から始まった「てんかん」との闘い。小1で外科手術を決断するまでの葛藤【専門医コメントも】
ライター:かめ子
Upload By かめ子
定型発達の長男(21歳)と知的障害(知的発達症)の長女(19歳)、次男(12歳)の3児を育てている「かめ子」です。右手足の麻痺と知的障害(知的発達症)、そしててんかん。幼い頃から多くの困難と闘ってきた長女も、昨春に特別支援学校を卒業し、今は作業所(就労継続支援B型)へ元気に通う毎日です。
小学校の入学式を終えた翌々日から、てんかんの外科的手術を受けるために入院することになった長女。今回は、手術を考え始めたきっかけ、手術を受けることを決断するまでの道のりを書きたいと思います。
監修: 藤井明子
小児科専門医
小児神経専門医
てんかん専門医
どんぐり発達クリニック院長
東京女子医科大学大学院修了。東京女子医科大学病院、長崎県立子ども医療福祉センターで研鑽を積み、2019年よりさくらキッズくりにっく院長に就任。2024年より、どんぐり発達クリニック院長、育心会児童発達部門統括医師に就任。お子様の個性を大切にしながら、親御さんの子育ての悩みにも寄り添う診療を行っている。 3人の子どもを育児中である。
小児神経専門医
てんかん専門医
どんぐり発達クリニック院長
生後6ヶ月からの「てんかん歴」
生後1ヶ月で左脳内出血を起こした長女は、その後生後6ヶ月で点頭てんかん(ウエスト症候群)を発症しました。約3ヶ月におよぶ入院の中での服薬治療、2回に及ぶACTH治療(※1)が効いたのか、「レノックス・ガストー症候群」(※2)には発展しませんでしたが、難治性てんかんは治まりませんでした。
最初は1剤だった抗てんかん薬がどんどん増え、最終的に5剤に。それでも発作は軽くならず、ムラはあったものの、1日に10回以上起こすこともありました。てんかんの薬は、「合う、合わない」を見極めるのが非常に難しいことは理解していましたが、種類や量がどんどん増えていくことに疑問や不安な気持ちが大きくなっていきました。
※1 ACTH治療:ACTHという副腎皮質刺激ホルモンを筋肉注射する、点頭てんかんの代表的な治療法。長女の頃は原則1回のみの治療といわれていましたが、予後が悪かったため検査を重ね、かつ期間を開けて2回行いました。
※2 レノックス・ガストー症候群:難治性てんかんを引き起こす病気のひとつで、点頭てんかん発症の後に移行するケースが多い。
最初は1剤だった抗てんかん薬がどんどん増え、最終的に5剤に。それでも発作は軽くならず、ムラはあったものの、1日に10回以上起こすこともありました。てんかんの薬は、「合う、合わない」を見極めるのが非常に難しいことは理解していましたが、種類や量がどんどん増えていくことに疑問や不安な気持ちが大きくなっていきました。
※1 ACTH治療:ACTHという副腎皮質刺激ホルモンを筋肉注射する、点頭てんかんの代表的な治療法。長女の頃は原則1回のみの治療といわれていましたが、予後が悪かったため検査を重ね、かつ期間を開けて2回行いました。
※2 レノックス・ガストー症候群:難治性てんかんを引き起こす病気のひとつで、点頭てんかん発症の後に移行するケースが多い。
てんかんの外科的手術を考えるようになるまで
5歳前までは小さな笑い発作(ひきつるような笑顔になり、身体が右に引っ張られるように傾く発作)で、数秒で収まっていました。しかし5歳を少し過ぎた頃から、転倒するほどの発作が出るようになってしまい、保育園や外出時はヘッドギアが必須になりました。
保育園の連絡帳にも、「今日は〇時と昼寝明けに発作が出ていました」と毎日のように書いてあり、読むたびに不安や保育士さんへの申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
保育園の連絡帳にも、「今日は〇時と昼寝明けに発作が出ていました」と毎日のように書いてあり、読むたびに不安や保育士さんへの申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
「発作で転倒したとき頭の打ちどころが悪かったら……」「一生合う薬がないのでは……」という不安から、外科的手術もアリかもしれないと考えるようになりました。担当の先生(神経内科医)にも相談してみましたが、「手術はリスクも高いので、しばらくは薬の調整だけで様子を見ましょう」とのことでした。
外科的手術を決断するにいたった、ある「出会い」
そんなとき娘が通っていた発達支援で「てんかんに対する外科的アプローチ」という講演のチラシを見つけ、わらにもすがる思いで聞きに行くことにしました。
講演の内容は、手術が可能なてんかんはどのようなものがあるのか、さまざまな術法、術後の改善例や手術に伴うリスクや後遺症などでした。
講演後、抽選に当たって講演した先生と個別に面談できることになったのです。長女の病状を時系列で詳しく話したところ、「それは手術で快方に向かう確率が高いタイプのてんかんです」と。ズキューンと胸を打たれたようなうれしさに包まれ、泣いてしまったことを今でもはっきり覚えています。まさに奇跡ともいえる「先生との出会い」でした。
講演の内容は、手術が可能なてんかんはどのようなものがあるのか、さまざまな術法、術後の改善例や手術に伴うリスクや後遺症などでした。
講演後、抽選に当たって講演した先生と個別に面談できることになったのです。長女の病状を時系列で詳しく話したところ、「それは手術で快方に向かう確率が高いタイプのてんかんです」と。ズキューンと胸を打たれたようなうれしさに包まれ、泣いてしまったことを今でもはっきり覚えています。まさに奇跡ともいえる「先生との出会い」でした。
そこから約1ヶ月間、夫婦で何度も何度も話し合い、本やネットで手術の効果やリスク、可能性のある後遺症などを調べまくりました。担当医にも事情を話しましたが、「手術はお勧めできない」と意見が平行線だったため、さんざん悩んだ末に講演を聞いた先生がいる病院に転院することを決意しました。
「手術を受けよう」と決めてからすぐに予約し、診察→検査→さらに検査入院。「脳梁(りょう)離断術」という手術を行うことが決まりました。
入院や手術の詳しい様子は、また別の機会に書きたいと思います。
「手術を受けよう」と決めてからすぐに予約し、診察→検査→さらに検査入院。「脳梁(りょう)離断術」という手術を行うことが決まりました。
入院や手術の詳しい様子は、また別の機会に書きたいと思います。
振り返ると、我ながらなんという大胆でリスクを伴う決断をしたのだろうと思います。加えて、前の担当の先生に大変な不義理なことをしてしまった、という反省もあります。
しかし奇跡ともいえる「出会い」や転院や手術を受けるまでの苦悩や葛藤があったからこそ、今穏やかな生活を送ることができているのだと思います。
しかし奇跡ともいえる「出会い」や転院や手術を受けるまでの苦悩や葛藤があったからこそ、今穏やかな生活を送ることができているのだと思います。
専門家コメント 藤井明子先生(小児科・てんかん専門医)
コラムを拝読し、難治てんかんに対する外科治療という大きな決断に向き合われたご家族の思いに、胸が詰まる思いでした。脳梁離断術は意見が分かれることもある治療ですが、根治に至らなくても発作の頻度や重症度を軽減し、日常生活の安定につながる可能性がある選択肢の一つです。複数の薬を使用しても症状が落ち着かない場合に検討されることが多く、その判断には多くの葛藤があったことと思います。こうした重要な選択においては、主治医と十分に相談することに加え、セカンドオピニオンを活用しながら多角的に検討していくことも大切です。ご家族が悩みながらもお子さんにとってより良い道を模索された過程そのものが、とても尊いものだと感じました。大切なご経験を共有してくださり、ありがとうございました。(監修:小児科・てんかん専門医 藤井明子先生)
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
発達支援施設を探してみませんか?
お近くの施設を発達ナビで探すことができます