【体験談】通常学級進学は親のエゴ?知的障害・てんかんのある娘は19歳に。母が振り返る後悔と財産

ライター:かめ子
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定型発達の長男(21歳)と知的障害(知的発達症)の長女(19歳)、次男(12歳)の3児を育てている「かめ子」です。
幼い頃から多くの困難と闘ってきた長女も、この春に特別支援学校を卒業し、今は作業所(就労継続支援B型)へ元気に通う毎日です。
そんな長女の進路選択の中で最も悩んだのは「小学校(通常学級)への入学」でした。今回は、その決断に至るまでの葛藤を振り返ります。

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監修: 室伏佑香
東京女子医科大学八千代医療センター 神経小児科
名古屋市立大学大学院 医学研究科 生殖・遺伝医学講座 新生児・小児医学 博士課程
筑波大学医学部卒。国立成育医療研究センターで小児科研修終了後、東京女子医科大学八千代医療センター、国立成育医療研究センター、島田療育センターはちおうじで小児神経診療、発達障害診療の研鑽を積む。 現在は、名古屋市立大学大学院で小児神経分野の研究を行っている。

年中から始まった、焦りと期待が入り混じる進路検討

現在19歳の長女は、生後間もなく発症した脳出血の影響で、右手足の麻痺と知的障害(知的発達症)、そしててんかん発作といったさまざまな困難と向き合ってきました。

そんな長女の小学校進学をなんとなく意識し始めたのは、保育園年中(4歳)の半ば頃でした。歩き始めや排泄・着替えの自立、言葉の発達も、ほかの同年代の子と比較するとすべてがゆっくり。何より「てんかん」との闘いの日々で、正直それまでは、長女の進学について具体的に考える心の余裕はありませんでした。

しかし、年中になって少ししてから、排泄が自立し、こぼさず一人で食事がとれる、集団生活のルールが身につき始めるなど、日常生活や園生活で大きな成長が見られるようになりました。「この成長のスピードなら、特別支援学級だけでなく、通常学級も視野に入れられるかもしれない」という漠然した願いが芽生え始めた時期でした。

小学校でついていける!?療育でも「座れない、泣き叫ぶ」長女の姿に焦り

療育はとにかくしっちゃかめっちゃか
療育はとにかくしっちゃかめっちゃか
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一方で、不安なこともありました。当時通っていた保育園では、いわゆる「お勉強の時間」はなく、ほかのお子さんの発達段階もまちまちだったので、長女の行動は幸いあまり目立ちませんでした。しかし、0歳から週1回(1回1時間半程度)通っていた言語聴覚療法の療育(発達支援)では、保育園生活では見えなかった課題が山積みだったのです。

麻痺のある右手を使うプログラムや言葉の訓練に対し、長女は扉の前で固まり動かない、座っていられない、あるいはパニックになって泣き叫ぶ……。とにかくしっちゃかめっちゃかでした。

年中で言葉の理解が進んで口頭指示が理解できるようになると、イライラもなくなったのか、座ってプログラムを受けられるようになっていきました。それでも時折怒って泣いたり、「帰る」と教室から出て行ったりすることもしばしばあったので、「小学校で授業中座っていられるのか」「集団行動できるのか」と、不安と焦りの気持ちでパンパンでした。

最終的に通常学級に決めた!その心は……

発語がたどたどしい、右手足に麻痺がある、だいぶ薬で抑えられているもののたまにてんかん発作がある、などの大きな懸念事項もありましたが、最終的には学区の通常学級に進むことにしました。その大きな理由としては、

  • 年中半ば~年長にかけて、園生活での集団のルールや一日の生活の流れを守れるようになった。
  • 排泄、食事、着替えの自立がほぼできている。
  • ひらがな、カタカナがほぼ読めるようになり、数字の理解も少しずつ進んだ。
  • 仲の良い友だちはもちろん、同級生がほぼ同じ小学校に進む。

などです。
入学前に学校側とたくさん話し合いました
入学前に学校側とたくさん話し合いました
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学校側とは事前に何度も面談を重ね、麻痺やてんかんの特性、できること・できないことを丁寧に伝えました。そして、話し合いの結果、「小学1年生の1学期間は、保護者が全面的に学校生活に付き添う」という条件でスタートすることになったのです。
入学後の「波乱万丈あれこれ」は、また別の機会に書きたいと思います。
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今思えば、親のエゴだったのかなぁ……

いろいろ考え悩み、長女の気持ち(長女に「進学」という認識はありませんでしたが、「友だちのAちゃんやBちゃんと一緒にいたい」という希望はあった)を汲んだ結果、「通常学級」という選択をしました。

しかし、今思うと「通常学級に行って、定型発達の子と過ごさせてあげたい」「いい刺激を受けてほしい」という親のエゴだったのではないか……と反省する気持ちもあります。

実際に、つらくて親子で泣いた日もありました。無理をさせてしまったのではないか、もっと長女に合った環境があったのではないか、と自問自答したことも数えきれません。

けれど、あの日々があったからこそ出会えた素晴らしい先生や友だち、素敵な思い出もたくさんあります。後悔や喜び、悲しみや感謝……そんなさまざまな感情が混ぜ合わさった経験こそが、今の私たちを形づくる「大切な財産」なのだと思っています。
執筆/かめ子

専門家コメント 室伏佑香先生(小児科医)

小学校入学にあたっての進路選択について、ご経験を共有くださり、ありがとうございました。かめ子さんが共有してくださったお気持ちに、深く共感される保護者の方がきっとたくさんいらっしゃることと思います。

通常学級には、確かに大変さもありますが、一方で得られるものもありますよね。周りの子どもたちの行動を自然にまねする機会が多いこと、たくさんの言葉に触れることで語彙や表現が広がること、集団の中でのルールや人との関わり方を日々の生活の中で学べること。そうした環境は、お子さんの成長にとって大きな刺激になることもあります。

進路を決めることは専門家であっても難しいこともあり、実際に挑戦してみなければ分からないこともたくさんあります。大切なのは、一度決めたら変えられないわけではないということです。お子さんの発達の様子や学校生活での負担を見ながら、クラスや環境を調整していくことができる、その柔軟さがあることこそ、進路を考えるうえで大切な視点だと感じます。

どの選択も、その時その時で真剣に悩み、向き合ってきたからこそのものだと思います。その歩みの積み重ねが、今のお子さんとご家族を支える力になっているのだと、日々感じています。(監修:小児科医 室伏佑香先生)
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https://h-navi.jp/column/article/35030832
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
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このコラムのコメント2件
はるかさん
2026/09/19 23:58
脳性麻痺で発達障害さんのコメントに救われました。

うちの子も両麻痺があるものの、保育園では発表会や遠足等のイベントのほか、着替えや排泄もできます。
ですがやはり歩くのが圧倒的に遅い、発が不明瞭がある、保育園から一緒の小学校に行く子が少ないことで支援級を申し込みました。

通常級にいった例を見ると、うちの子もいけたんじゃないかとか思ってしまいましたが、当事者の意見を初めて聞けたので、ありがとうございます。
2026/03/21 19:32
はっきり言って、親のエゴだと思う。
当事者として言うなら、ハードモードな道を選ばされたね。
社会性は身につくかもしれませんが、
自分のことを、わかる人がいない中での12年って想像以上につらいものがあります。
自分も、小学校、中学校、高校と、通常学級で過ごしたくちですが、中でも疎外感満タンだったのが、体育と音楽でした。つまらんよ、自分だけ見学、
自分だけやらなくていい。
悪いけど、人生やり直すなら、特別支援学校小学部からやり直したいと思います。

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