【保護者に聞く「親なきあと」の今】本音は「なるべく長く一緒に」でも予想外のことも。30歳前後のわが子のこれから、2家族の場合
ライター:LITALICOライフ
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ダウン症のお子さまを育てるYさまと、知的障害のあるお子さまを育てるMさま。今回はお二人に、お子さまの将来の住まい、暮らしへの願いや、「親なきあと」を見据え家族の幸せを考えた備えについて伺いました。
障害のあるお子さんが成人に
「保護者に聞く『親なきあと』の今」では、さまざまなご家庭がお子さんの将来に向けて「今」どんな準備をしているのか、インタビューからリアルな思いや備えをお届けします。今回は、ダウン症のお子さまを育てるYさまと、知的障害のあるお子さまを育てるMさまに、お子さまの将来の住まい、暮らしへの願いや、「親なきあと」を見据え家族全員の幸せを考えた備えについて伺いました。
【家族構成】
Yさま
Mさま
Yさま
- お母さま:70歳
- お父さま:先日73歳でご逝去
- 息子:29歳、ダウン症(一般企業の障害者雇用で勤務)
Mさま
- お母さま:66歳
- お父さま:69歳
- 長男:36歳
- 長女:30歳、知的障害(就労継続B型に通所)
ーー現在のお子さまについて教えてください。
Yさま:息子は支援度が3、療育手帳が3度のダウン症で、今は障害者雇用で働いています。具体的には有料老人ホームの職員として、清掃や消毒、整理整頓などの環境整備の仕事をしています。最初は有期雇用で働いていましたが、現在は無期雇用になりました。今、勤続11年目になります。同じ部署に障害のある方もおらず、とくに支援員などがついているわけではありませんが、安定して働けています。
ダンスと水泳が趣味で、毎週通っています。
Mさま:上の定型発達の息子は結婚して独立しています。子どもはいません。
知的障害のある娘は現在就労継続支援B型事務所に通所しています。もともとは多機能型の事業所で就労移行支援に通っていたのですが、無理に就職して大変な思いをするより、居心地のいいところで長く働ければ、と同じ事業所の就労継続支援B型に移行しました。
支援度は2、療育手帳は4度です。特定医療費(指定難病)受給者証ももらっています。
ーーお子さまの今後の住まいについてはどう考えていらっしゃいますか?
Yさま:夫とは、一緒に過ごせるうちはぎりぎりまでこの家で一緒に過ごせたら、と話していましたが、先日夫が急病で亡くなり、状況が一変しました。
まだまだ一緒に暮らすつもりだったので、相続対策はもちろん、ショートステイの利用もしたことがなく、グループホームなどの見学も進めていませんでした。わが家はきょうだいもいませんし、母一人子一人になってしまい、さまざまなことを同時に考えたり準備したりしなくてはいけない状況になりました。
今は亡くなった夫の相続手続きの真っ只中ですが、それが落ち着いたら私が倒れたときに備えて、ショートステイなども早めに体験しなければいけないと思っています。
ゆくゆくは、できれば親子で同じ老人ホームに入居したいという願いがありますが、障害がある息子を受け入れてくれるかも分からないですし、息子の年齢が若いと一緒に入居できるホームもないでしょうし……。なかなか希望通りのサービスを提供しているところが見つからないのが現状です。
Yさま:息子は支援度が3、療育手帳が3度のダウン症で、今は障害者雇用で働いています。具体的には有料老人ホームの職員として、清掃や消毒、整理整頓などの環境整備の仕事をしています。最初は有期雇用で働いていましたが、現在は無期雇用になりました。今、勤続11年目になります。同じ部署に障害のある方もおらず、とくに支援員などがついているわけではありませんが、安定して働けています。
ダンスと水泳が趣味で、毎週通っています。
Mさま:上の定型発達の息子は結婚して独立しています。子どもはいません。
知的障害のある娘は現在就労継続支援B型事務所に通所しています。もともとは多機能型の事業所で就労移行支援に通っていたのですが、無理に就職して大変な思いをするより、居心地のいいところで長く働ければ、と同じ事業所の就労継続支援B型に移行しました。
支援度は2、療育手帳は4度です。特定医療費(指定難病)受給者証ももらっています。
ーーお子さまの今後の住まいについてはどう考えていらっしゃいますか?
Yさま:夫とは、一緒に過ごせるうちはぎりぎりまでこの家で一緒に過ごせたら、と話していましたが、先日夫が急病で亡くなり、状況が一変しました。
まだまだ一緒に暮らすつもりだったので、相続対策はもちろん、ショートステイの利用もしたことがなく、グループホームなどの見学も進めていませんでした。わが家はきょうだいもいませんし、母一人子一人になってしまい、さまざまなことを同時に考えたり準備したりしなくてはいけない状況になりました。
今は亡くなった夫の相続手続きの真っ只中ですが、それが落ち着いたら私が倒れたときに備えて、ショートステイなども早めに体験しなければいけないと思っています。
ゆくゆくは、できれば親子で同じ老人ホームに入居したいという願いがありますが、障害がある息子を受け入れてくれるかも分からないですし、息子の年齢が若いと一緒に入居できるホームもないでしょうし……。なかなか希望通りのサービスを提供しているところが見つからないのが現状です。
Mさま:娘は一人で暮らすことはできませんが、兄夫婦と同居するのも難しいと思うので、グループホームを検討しています。将来的には障害のある人が集まって暮らせる老人ホームのようなところができればいいなと思っていますが、今はないのでグループホームが第一選択肢です。
本音をいえばなるべく長く一緒に暮らせればと願っていますが、親なきあとはいつ訪れるか分かりませんから、準備をしなくてはいけないのでしょうね。ただ、平日は通所しているし、土日はゆっくりさせてあげたくて、二の足を踏んでしまっています。
ーーこれから具体的に検討していくところなのですね。
Yさま:相談支援員の方から、ショートステイの体験は今後のグループホームでの生活に慣れるためにしておいたほうがいいと言われて登録はしていましたが、本人があまり乗り気ではないのもあって今までは体験をしてきませんでした。しかし、悠長なことを言っていられない状況になってきたなと思うので、まずは日中のショートステイから始めて、早く環境に慣れるようにしなければと焦りを感じ始めています。
今は一般就労をしていてお弁当の準備は私がしていますが、グループホームから通勤するようになると、まずお弁当を買えるのか、買い物の練習や、通勤時にお弁当を買っても勤務開始に間に合うのか、時間を守る練習も必要になってくると思います。やるべきことが多くて、どこからやっていけばいいのか悩んでいます。
ショートステイ先も調べてはいますが、いろんな資料を読んだり、いろんな親御さんの話を聞いていると、だんだんよく分からなくなってくる、というのが正直なところです。いやな話を聞くたびに候補から外していってしまうと、結果的にどこもなくなってしまうので、選ぶ基準が難しいですね。
Mさま:まだ実際にグループホームの見学やショートステイの体験はできていません。本人も行きたがっておらず、無理に体験していやな印象を持ってしまうと今後大変なので、本人のやる気が出るまではまだ体験しなくてもいいのではないかと相談支援員の方から言われています。
本音をいえばなるべく長く一緒に暮らせればと願っていますが、親なきあとはいつ訪れるか分かりませんから、準備をしなくてはいけないのでしょうね。ただ、平日は通所しているし、土日はゆっくりさせてあげたくて、二の足を踏んでしまっています。
ーーこれから具体的に検討していくところなのですね。
Yさま:相談支援員の方から、ショートステイの体験は今後のグループホームでの生活に慣れるためにしておいたほうがいいと言われて登録はしていましたが、本人があまり乗り気ではないのもあって今までは体験をしてきませんでした。しかし、悠長なことを言っていられない状況になってきたなと思うので、まずは日中のショートステイから始めて、早く環境に慣れるようにしなければと焦りを感じ始めています。
今は一般就労をしていてお弁当の準備は私がしていますが、グループホームから通勤するようになると、まずお弁当を買えるのか、買い物の練習や、通勤時にお弁当を買っても勤務開始に間に合うのか、時間を守る練習も必要になってくると思います。やるべきことが多くて、どこからやっていけばいいのか悩んでいます。
ショートステイ先も調べてはいますが、いろんな資料を読んだり、いろんな親御さんの話を聞いていると、だんだんよく分からなくなってくる、というのが正直なところです。いやな話を聞くたびに候補から外していってしまうと、結果的にどこもなくなってしまうので、選ぶ基準が難しいですね。
Mさま:まだ実際にグループホームの見学やショートステイの体験はできていません。本人も行きたがっておらず、無理に体験していやな印象を持ってしまうと今後大変なので、本人のやる気が出るまではまだ体験しなくてもいいのではないかと相談支援員の方から言われています。
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安心して親なきあとを迎えるために
ーーお子さまが将来、一生涯で「いくらお金がかかるか」具体的な金額のイメージはお持ちですか?
Yさま:入居するグループホームによるとは思いますが、よほど高いところでなければ障害年金や手当などで入居費用はまかなえると聞いています。親の会での勉強会では、500~600万円くらいの貯金があれば大丈夫ではないかと聞きました。
うちは成年後見人をつけなければいけなくなると思いますが、あまり大きな金額を遺すと管理も大変になりますし報酬額も上がってしまうので、そこには気を付けています。
Mさま:計算は具体的にしていませんが、贅沢な生活をしているわけではないのでそんなにお金はかからないのかな、と思っています。実際にグループホームに入った方からのお話では、障害年金や手当分などが入居費用に充てられるので持ち出しはほとんどないと聞いています。
ただもちろん、何歳まで生きるかは分からないけれど、ゆくゆくは老人ホームに入れる費用くらいはのこしてあげたいとは思っています。
ーーお子さまの将来のお金について、今から準備していることや予定していること、すでに取り組んでいることはありますか?
Yさま:現状は諸々の手当や本人のお給料を本人名義の口座に貯めていっている状態です。
そろそろお金の管理方法について何らかの準備を検討しなければ、とは考えています。法定後見で第三者に毎月報酬がかかってしまうのは抵抗があるので、息子のいとこなどに後見人をお願いをして、息子が亡くなったら残金を渡す、というようにお願いすることなどを考えています。
Mさま:もらった障害年金や手当は本人の口座に貯めています。また、夫の家系はがん体質なので、一生涯保障のがん保険に入りました。指定難病と側弯症を患っているため一般的な保険には入れませんが、指定難病にかかる治療費については特定医療費(指定難病)受給者証で2割に軽減されています。
ーーごきょうだいには将来どのくらい障害のあるお子さまのことをお願いしたいと考えていますか?
Mさま:お金の管理は(きょうだいである)息子に任せようと考えています。持ち家は管理や手続きが大変なので、そちらは息子に任せ、現金は障害のある娘に遺したいと思っています。
「家族会議」という形ではありませんが、そのことは息子やその配偶者にもすでに話はしてあります。
ーー最終的に、どんな状態になっていれば、ご自身が安心して「親なきあと」を迎えられると思いますか?
Yさま:まずは私が病気になっても大丈夫な環境をつくって、ショートステイなどから始め、ゆくゆくはグループホームへの入居を考えていますが、いまは本人がグループホームへの入居に乗り気ではないので、入居はなるべく先に延ばしたい、なるべく一緒に過ごしたい、というのが本音です。
ただ、まだ体験していないからいやがっているだけの可能性もあるので、まずは試してみることからスタートですね。
現在は、土日も見てくれる、アットホームなグループホームを探しています。今実際に私が夫の相続で苦労しているので、親なきあとの面倒も見てくれるようなところだとよいと思っています。また、レクリエーションやお誕生日会、農作業など、楽しさもあるところだといいなと思います。
ダウン症で心臓に少々問題があり、尿酸値も高いため、月に一度は病院に行っていますし、今後歳を重ねるごとにその他の健康への心配も出てくると思います。心臓や歯、耳など最低限の定期的な検査をしてくれ、医療的なケアもしてくれるグループホームがあるといいですね。親の代わりとまではいきませんが、スタッフの方が細やかに見てくれるところだと安心です。
Mさま:私が亡くなったときの生命保険の受け取りは娘にしてありますが、成年後見人や信託のことはまだ考えていません。遺言もまだ準備できていません。
いろいろと知識がない部分もあるので、そういったことを相談できる場所があればいいなと思っています。
Yさま:入居するグループホームによるとは思いますが、よほど高いところでなければ障害年金や手当などで入居費用はまかなえると聞いています。親の会での勉強会では、500~600万円くらいの貯金があれば大丈夫ではないかと聞きました。
うちは成年後見人をつけなければいけなくなると思いますが、あまり大きな金額を遺すと管理も大変になりますし報酬額も上がってしまうので、そこには気を付けています。
Mさま:計算は具体的にしていませんが、贅沢な生活をしているわけではないのでそんなにお金はかからないのかな、と思っています。実際にグループホームに入った方からのお話では、障害年金や手当分などが入居費用に充てられるので持ち出しはほとんどないと聞いています。
ただもちろん、何歳まで生きるかは分からないけれど、ゆくゆくは老人ホームに入れる費用くらいはのこしてあげたいとは思っています。
ーーお子さまの将来のお金について、今から準備していることや予定していること、すでに取り組んでいることはありますか?
Yさま:現状は諸々の手当や本人のお給料を本人名義の口座に貯めていっている状態です。
そろそろお金の管理方法について何らかの準備を検討しなければ、とは考えています。法定後見で第三者に毎月報酬がかかってしまうのは抵抗があるので、息子のいとこなどに後見人をお願いをして、息子が亡くなったら残金を渡す、というようにお願いすることなどを考えています。
Mさま:もらった障害年金や手当は本人の口座に貯めています。また、夫の家系はがん体質なので、一生涯保障のがん保険に入りました。指定難病と側弯症を患っているため一般的な保険には入れませんが、指定難病にかかる治療費については特定医療費(指定難病)受給者証で2割に軽減されています。
ーーごきょうだいには将来どのくらい障害のあるお子さまのことをお願いしたいと考えていますか?
Mさま:お金の管理は(きょうだいである)息子に任せようと考えています。持ち家は管理や手続きが大変なので、そちらは息子に任せ、現金は障害のある娘に遺したいと思っています。
「家族会議」という形ではありませんが、そのことは息子やその配偶者にもすでに話はしてあります。
ーー最終的に、どんな状態になっていれば、ご自身が安心して「親なきあと」を迎えられると思いますか?
Yさま:まずは私が病気になっても大丈夫な環境をつくって、ショートステイなどから始め、ゆくゆくはグループホームへの入居を考えていますが、いまは本人がグループホームへの入居に乗り気ではないので、入居はなるべく先に延ばしたい、なるべく一緒に過ごしたい、というのが本音です。
ただ、まだ体験していないからいやがっているだけの可能性もあるので、まずは試してみることからスタートですね。
現在は、土日も見てくれる、アットホームなグループホームを探しています。今実際に私が夫の相続で苦労しているので、親なきあとの面倒も見てくれるようなところだとよいと思っています。また、レクリエーションやお誕生日会、農作業など、楽しさもあるところだといいなと思います。
ダウン症で心臓に少々問題があり、尿酸値も高いため、月に一度は病院に行っていますし、今後歳を重ねるごとにその他の健康への心配も出てくると思います。心臓や歯、耳など最低限の定期的な検査をしてくれ、医療的なケアもしてくれるグループホームがあるといいですね。親の代わりとまではいきませんが、スタッフの方が細やかに見てくれるところだと安心です。
Mさま:私が亡くなったときの生命保険の受け取りは娘にしてありますが、成年後見人や信託のことはまだ考えていません。遺言もまだ準備できていません。
いろいろと知識がない部分もあるので、そういったことを相談できる場所があればいいなと思っています。
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。