【進級・進学】わが子の困りごと、新担任にどう伝える?楽々かあさんに聞く、連絡帳30冊から見えた「合理的配慮」の相談術

ライター:【FOCUS】発達ナビ書籍ガイド
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合同出版
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発達特性のあるお子さんを育てる保護者の方にとって、学校との連携は大きなテーマです。今回お話を伺ったのは、自身の子育て経験と長年の発信活動をもとに保護者と学校をつなぐ実践的なヒントを発信してきた楽々かあさんこと、大場美鈴さん。
新刊『担任の先生に伝わる! 子どもがラクになる合理的配慮サポートブック』(合同出版)では、家庭と学校のすれ違いを減らすための工夫を、大場さんの経験に基づく具体例とともに紹介しています。親と先生が無理なくつながるためにどんな視点が必要だったのか、たっぷりお話を伺いました。

「合理的配慮」の具体的な伝え方が満載!

どうしたら、子ども、先生、親が同じ方向をむき、ともにWin-Win-Winの関係で合理的配慮を実践していけるか。楽々かあさんこと、著者で教育ライターの大場美鈴さんの経験をベースに、合理的配慮の伝え方をさまざまな角度から具体的に紹介する1冊です。

第1章の「親子でできること」から始まり、第2章「先生との信頼関係づくり」、第3章「合理的配慮の伝え方のコツ」、第4章「うまくいかない時には……」、第5章「セルフアドボカシーに向けて」と、段階に応じた50のコツを掲載。さらに、解説章では、合同出版の特設ページより無料でダウンロードできる「楽々式サポートブック〈アップデート版〉」の活用法も紹介されています。

小学校時代から大学、またその先の自立まで。子育ての見通しを持ちながら、長いスパンで成長に伴走してきた大場さんだからこそ伝えられる内容が詰まっています。
『担任の先生に伝わる! 子どもがラクになる合理的配慮サポートブック』(合同出版)
『担任の先生に伝わる! 子どもがラクになる合理的配慮サポートブック』(合同出版)
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親も先生も頑張っているのに、うまく噛み合わないのはなぜ?

編集部(以下、――):まず、この本に込めた思いから教えてください。

大場さん:私自身の子育てのなかでも、また長年運営している「楽々かあさん公式HP」のサイトに寄せられる声に触れるなかでも、ずっと“もどかしさ”を感じていたんです。親も、先生も、そしてもちろん子どもたち本人も、みんな本当に頑張っているんですよね。それでも、うまくいかない、噛み合わないことも多くて……。

――親も先生も頑張っていることを知っているからこその、もどかしさですね。

大場さん:そうなんです。親も先生も、目的地は「その子の成長」で、同じ方向を向いているはずです。それなのにすれ違ってしまうのは、発達の問題以前に、まずコミュニケーションの問題が大きいのではないかと思っています。

――大場さんはこれまで、お子さんへの声かけや伝え方について、さまざまな発信をされてきました。今回は、子どもへの伝え方だけでなく、先生への伝え方にも焦点を当てた1冊になっていますね。

大場さん:私自身、発達障害、グレーゾーンのわが子を育てるなかで、子どもへの声かけと並行して、先生とのやりとりもずっと試行錯誤してきました。思いがあふれて長すぎる連絡帳を書いてしまったり、先生から「できなかったことの報告」ばかりが続くことに悶々としたり……。そのなかで、「こうしたらうまくいった」「これはほかのご家庭でも応用できるかもしれない」と感じた工夫やノウハウが、少しずつ蓄積されてきたと思います。
P80-81 コツ25「うちではこうしています」という実例を伝える
P80-81 コツ25「うちではこうしています」という実例を伝える
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3人の子育てと30冊の連絡帳が、50のノウハウの土台に

――本書では、大場さんの実体験をベースに厳選された、50ものノウハウが紹介されています。連絡帳の書き方や面談の進め方など、とても具体的で、すぐに取り入れられる工夫ばかりですね。

大場さん:今年20歳を迎える長男を筆頭に、次男、長女と、3人の発達障害、グレーゾーンの子育ての記録が役立ちました。なかでもいちばん参考になったのは、子どもたち3人の小学生時代の連絡帳です。約30冊にもなる連絡帳をめくりながら、先生とのこまかなやり取りまで記憶をたどっていきました。
――30冊の連絡帳は、宝物であり、財産ですね。

大場さん:本当にそうですね。私はモノを捨てられない性分なのですが、これは本当に捨てなくてよかったです(笑)。
執筆前には、連絡帳の記録、サイトでの発信、過去の著作内容などをいったん棚卸しして、一覧に。そのうえで「実践のしやすさ」を大きな柱にして絞り込んでいきました。また、ひとつのアプローチだけでなく、私自身が経験してきた、うまくいかなかったときの「あの手この手」のコミュニケーション法や考え方もたくさんご紹介することを意識しました。

――成功例だけでなく、失敗や試行錯誤も入っているからこそ、読者の皆さんも現実に引き寄せて読むことができそうです。

大場さん:私自身も最初からうまく伝えられたわけではありません。回り道をした経験も含めて、お伝えしたいと思いました。
P102-103 コツ32「要望どおりにいかない時には、妥協案・代替案を」
P102-103 コツ32「要望どおりにいかない時には、妥協案・代替案を」
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学校との連携で悩んだのは「どこまでお願いしていいのか」

――お子さんたちが小学生時代のころ、学校との連携で特に大変だったことはなんでしょうか?

大場さん:合理的配慮は、法的な根拠もある子どもの権利。言わなければ伝わらないし、気づいてもらえないことも多いので、まずは相談してOKというのが大前提!
ただ、そうはいっても、私自身も通常学級の先生にどこまでお願いしていいのか、というのはすごく悩みました。先生がたは本当に忙しいですし、「こんなことまで頼んでいいのかな」「相談しても大丈夫かな」と迷ってしまうんですよね。
また、子ども自身が周りの目を気にすることもあります。たとえば、「これを使うと学びやすい」というツールがあっても、「自分だけ違うのはいやだ」「変に思われるかも」と気にしてしまうこともあったんです。

――本の中にも、そうした“子ども自身の気持ち”を大切にしながら、学校に伝えていく場面が出てきますね。

大場さん:はい。次男のときには、本人から出てきた「もし、先生からみんなも『使っていいよ』と言ってもらえるなら使いたい」という言葉を、そのまま先生に連絡帳でお伝えしたことも。すると、先生は柔軟に対応してくださって、本人も安心して家庭で使っていたサポートグッズを学校に持っていけるようになりました。結果的に、その工夫がほかの子にも役立ったこともあったようです。

――誰もが選択できる方法を柔軟に増やしていくことは、みんなが学びやすい環境づくりにつながりますね。
担任の先生に伝わる! 子どもがラクになる合理的配慮サポートブック
大場美鈴 (著)
合同出版
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親と先生は、子どもの成長を支える「車の両輪」

――本書の中では、家庭と学校の橋渡しという視点が一貫しています。大場さんが考える、理想の連携の形とは?

大場さん:私は、親と先生はその子の成長を支える「車の両輪」だと考えています。ここがぎくしゃくしていると、やっぱりガタガタして前に進みにくいですよね。だから、できれば信頼関係を築き、スムースに回るようにしたいものだと思うのです。

――家庭も学校生活も、子どもにとってはどちらも大事ですものね。

大場さん:そうですね。だからこそ、親は先生を、子どもの教育に関わるプロフェッショナルとして信頼できたらいいし、先生も親を「その子のことをいちばん長く、近くで見守ってきた”うちの子専門家”」として尊重してくださるといいなと思います。お互いに大変な部分もたくさんあるからこそ、フォローしあえる関係が理想です。

――本書には「現場の先生へ」と題した16本のコラムが収録されています。ここもとても実用的ですね。

大場さん:発達障害の特性や、配慮の例などについて、保護者が毎回自分の言葉で説明しようとすると、本当に大変ですよね。それこそ連絡帳がとても長くなってしまう。先生に向けたコラムでは、発達障害の基本や伝わる接し方、よくある配慮や工夫の例をまとめています。必要に応じて、コピーして連絡帳に貼ったり、面談時の参考資料としたりと、先生とのコミュニケーションツールとして活用していただければと思っています。

――先生に知っておいてほしい背景や前提を、コンパクトに伝えられるんですね。

大場さん:そうですね。たとえば、診断書をすぐに求められても現実にはすぐ出せないことが多いといったことや、本人への障害告知のタイミングは家庭でも慎重に考えていることなど、保護者が一から説明しづらい部分を、できるだけ簡潔にまとめています。
連絡帳への「現場の先生へ」添付イメージ
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「忙しい先生にもパッと伝わる」、楽々式サポートブック

――本書では、サポートブックの活用についても詳しく紹介されています。

大場さん:はい。私がオリジナルのサポートブックを公開したのは2015年でした。当時は、いわゆるサポートブック自体が今ほど一般的ではありませんでした。自治体が配布するフォーマットもありましたが、情報量が多くて、通常学級の先生には少し重たいかなと感じていたんです。だったら、もっとコンパクトで、忙しい先生にもパッと見てもらえるものが必要だと思いました。

――詳しく正確に書くことより、伝わることを優先したのですね。

大場さん:そうですね。さらに、今回、デザインや使いやすさの面もブラッシュアップしました。プロのデザイナーさんの力をお借りして、テキスト入力しやすい形にしたり、手書きしやすい幅を検証しながら細やかに調整したりと、丁寧につくっていただきました。子どもは成長とともに困りごとも変わっていくので、入れ替えながら更新しやすい形にできたのもよかったなと思っています。

――その改良版のサポートブック、合同出版のサイトから無料でダウンロードできるというのも、うれしいです。

大場さん発達障害の診断を受けているお子さんはもちろん、グレーゾーンのお子さん、未就学のお子さん、幅広く活用していただけたらなと思っています。
P156-157 楽々式サポートブック<アップデート版>について
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100円ショップのはがきホルダーなどに入れると入れ替えがしやすい
100円ショップのはがきホルダーなどに入れると入れ替えがしやすい
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楽々式サポートブックのダウンロード

『担任の先生に伝わる! 子どもがラクになる合理的配慮サポートブック』収録のダウンロード付録「楽々式サポートブック<アップデート版>」を、どなたでもご利用いただけます。罫線入りの「手書きVer.」のほか、PDFに直接スマホ・パソコンからテキスト入力できるようにした「テキスト入力Ver.」もダウンロードできます。
※印刷はハガキサイズ推奨
※テキスト入力の際は、Adobe Acrobat Readerをご利用ください
※クリックすると合同出版のサイトに遷移します

子どもへのバトンタッチをめざして

――本書の第5章は「セルフアドボカシー」にむけて。お子さんの自立にむけて、親は少しずつ手を離していくという視点にハッとしました。

大場さん:私は、最終的には子どもにバトンタッチすることがいちばん大事だと思っています。セルフアドボカシーとは、子ども自身が自己理解を深め、自分の言葉で説明し、自ら意思決定し、必要な支援や配慮を自分で求めていくことです。

――小さいうちは親が動くけれど、成長とともに少しずつその役割を渡していくのですね。

大場さん:そうなんです。幼いころは、親がそばでお手本を見せる形になると思います。でも、ずっと親が先回りして支えるわけにはいきません。だから、少しずつ子ども自身が、自分の特性や困りごとを理解し、必要なときに相談したり、「助けて」と言えたりするようになっていくことが大事だと思っています。

――ご長男の大学のケース会議に親子で参加されたエピソードは、セルフアドボカシーのひとつのゴールを象徴するものですね。

大場さん:志望校に合格後、長男自らが「合理的配慮を受けたいので、事前面談をお願いします」と学生相談室に連絡をとったんです。大学側から私にも声をかけていただき、親子で参加しました。長男の話に真剣に耳を傾けていただき、大きな安心と頼もしさを感じましたね。こうした事例が、これからの当たり前になっていくといいなと願っています。
P138-139 コツ45「自己理解のための、さり気ない手助けをする」
P138-139 コツ45「自己理解のための、さり気ない手助けをする」
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まずは相談して大丈夫。けれど、「妥協力」も大切に

――最後に、発達ナビの読者の方へ、メッセージをお願いします。

大場さん:合理的配慮は、法的な根拠もある権利。困りごとや悩みは、他者からは見えにくい、想像しにくいこともたくさんあります。だから、「ここはちょっとしんどいようです」「ここでつまずきやすいです」と、まずは伝えて大丈夫。遠慮しなくていいんですよと、お伝えしたいです。

――その言葉に、背中を押される保護者の方も多いと思います。

大場さん:ただその一方で、学校にも事情があるし、先生にも都合があります。だから、ときには妥協したり、調整したりすることも必要になります。私は、この“妥協力”がとても大事だと思っていて、子どもが大きくなってきた今、特にそれを強く感じています。プランAが難しければ、プランBを考える。そういう姿を親が見せることも、子どもの生きる力につながっていくと思うんです。

――相談することと、柔軟に調整すること。その両方が大事なのですね。

大場さん:そうですね。最初からうまく伝えられなくても大丈夫。うまくいかないことがあったら、そのたびにやり方を変えていけばいい。まずは相談してみることから、始めてほしいなと思います。
大場美鈴さんからのメッセージ
大場美鈴さんからのメッセージ
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取材・執筆/浦上 藍子
担任の先生に伝わる! 子どもがラクになる合理的配慮サポートブック
大場美鈴 (著)
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担任の先生に伝わる! 子どもがラクになる合理的配慮サポートブック
大場美鈴 (著)
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

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