特別講演:いじめ防止対策推進法から見るいじめ対応の現状
後半には、真下 麻里子先生(ストップ!いじめナビ 弁護士)による、法律の観点から考えるいじめの現状と大人が知っておきたいことについて講演がありました。
法律の観点からみる「いじめ」
この講演では「いじめ」に対して法律の観点から現状と対策について語られました。2013年の「いじめ防止対策推進法」の制定以降、令和6年度には「重大事態」とされたものが1404件あり、そのうち生命に関わるものが95件にのぼっています。
重大事態とは、被害者に「生命・財産・心身に重大な被害」が生じた場合や「相当の期間」欠席を余儀なくされた場合に認定されます。こうした事態を防ぐための早期対策が重要です。
議論を進める土台として、「いじめ」についての一般的感覚と「法律上の定義」の差異を把握することが不可欠です。
法律上のいじめの定義:本人が「心身の苦痛」を感じているかどうかです。これは民法上の不法行為や一般的な感覚とは異なる部分があります。
事実認定の考え方: 例えば「仲間はずれにされた」という訴えを相手が否定している場合、「仲間はずれ」の有無ではなく、「具体的にどんな行為があったのか」という事実と、「本人が心身に苦痛を感じたか」という事実の有無を確認します。心身の苦痛を感じていれば、それは現行法上、いじめ事案となります。
重大事態とは、被害者に「生命・財産・心身に重大な被害」が生じた場合や「相当の期間」欠席を余儀なくされた場合に認定されます。こうした事態を防ぐための早期対策が重要です。
議論を進める土台として、「いじめ」についての一般的感覚と「法律上の定義」の差異を把握することが不可欠です。
法律上のいじめの定義:本人が「心身の苦痛」を感じているかどうかです。これは民法上の不法行為や一般的な感覚とは異なる部分があります。
事実認定の考え方: 例えば「仲間はずれにされた」という訴えを相手が否定している場合、「仲間はずれ」の有無ではなく、「具体的にどんな行為があったのか」という事実と、「本人が心身に苦痛を感じたか」という事実の有無を確認します。心身の苦痛を感じていれば、それは現行法上、いじめ事案となります。
いじめが起きた際の大人の対応
いじめ事案が発覚した際の大人の対応についても話が展開していきました。まず、いじめ防止対策推進法の観点からは「だれかの責任を追及」ではなく、「早期発見と組織的な対応」が求められます。
被害者への対応: 早急に状況を説明し、安心感を与えることが最優先です。
加害者への対応: 日本では憲法で「内心の自由」が認められているため、たとえ「むかつく」などと思っていたとしても、心の中は絶対的に自由です。重要なのは「どんな問題解決手段を選択したか」です 。いじめを行った生徒には「腹を立てること自体は問題ないし、その気持ちを否定する必要もない。しかし、その手段を選んで本当に良かったのか(ほかにもっと良い手段があったのではないか)」と問いかける姿勢が大切です。
被害者への対応: 早急に状況を説明し、安心感を与えることが最優先です。
加害者への対応: 日本では憲法で「内心の自由」が認められているため、たとえ「むかつく」などと思っていたとしても、心の中は絶対的に自由です。重要なのは「どんな問題解決手段を選択したか」です 。いじめを行った生徒には「腹を立てること自体は問題ないし、その気持ちを否定する必要もない。しかし、その手段を選んで本当に良かったのか(ほかにもっと良い手段があったのではないか)」と問いかける姿勢が大切です。
対応において注意すべきポイント
子どもの安心安全を確保し、教育環境を改善するために以下の点に留意して対応することが求められます。
被害者を非難しない: 「いじめられるほうも悪い」という流れにしないことが鉄則です。この考え方は、加害者側から成長の機会を奪うことにも繋がります。
家庭の問題にすり替えない: 被害者や保護者の事情を、本人の落ち度を糾弾する材料にしてはいけません。事情はあくまで「子どもの理解」や「事実の分析」、「再発防止」を検討するための材料です。
責任の所在ばかりを注視するのではなく、子どもの安全を確保し、教育現場をより良くすることに注力することが大切であると締めくくられました。
被害者を非難しない: 「いじめられるほうも悪い」という流れにしないことが鉄則です。この考え方は、加害者側から成長の機会を奪うことにも繋がります。
家庭の問題にすり替えない: 被害者や保護者の事情を、本人の落ち度を糾弾する材料にしてはいけません。事情はあくまで「子どもの理解」や「事実の分析」、「再発防止」を検討するための材料です。
責任の所在ばかりを注視するのではなく、子どもの安全を確保し、教育現場をより良くすることに注力することが大切であると締めくくられました。
真下先生からのメッセージ
「いじめ」という言葉は、とてもインパクトが強いので、つい私たち大人も振り回されがちです。しかし、最も大切なのは、子どもの安心安全の確保です。他方で同時に、子どもの成長に“失敗”は不可欠ですから、教育現場が「失敗できる場所」であり続ける必要もあります。これらの難しいバランスを成り立たせるには、保護者の協力が不可欠です。強い言葉に振り回されることなく、なるべく冷静でいること、「みんなで子どもを育てていく」という視点をもつことがとても重要です。
未来への展望:5歳児健診における自治体連携
昼休みには、株式会社LITALICOによる「LITALICO検診ソフト」の紹介が行われました。お菓子が振る舞われる和やかな雰囲気の中、2028年までの100%実施を掲げる「5歳児健診」の現状と課題が語られました。
現在、5歳児健診の実施率は約15%に留まっており、自治体側の実施・フォローアップ体制の構築にかかる負担が導入の壁となっています。これに対し、本ソフトは事前問診のオンライン化や専門家監修のレポート作成などを通じて、自治体の業務負担を軽減し、保護者へ具体的なサポート方法を届ける仕組みを提供しています。紹介後の個別相談では、多くの参加者から質問があり、関心の高さがうかがえました。
大人がサインを察知し、向き合っていくことが大切
最後に、今回の地方会のテーマである「令和の子どものこころとからだ」に向き合うすべての人へ、大会長の岡田剛先生から寄せられたメッセージを贈ります。
岡田先生からのメッセージ
子どもたちが自分らしく、健やかに学校生活を送るためにはまず学校がその子にとって『安心安全な場所である』というのが大前提です。中にはどうしても学校という場所に合わない子や教室に入れない子がいます。
そのような子どもたちは言葉以外のさまざまな方法でつらさや困りのサインを出します。何となく元気がない、イライラしているといった気持ちの表れだけでなく頭が痛い、おなかが痛い、朝起きられないといったからだの症状も実はサインの可能性があり、大人はサインをなるべく早く察知し、適切なタイミングと距離感で向き合うことが求められるのではないでしょうか。
学校での子どもの抱える問題に対しては学校内で解決できないことも多々あり、医療や心理、福祉行政や法律といったさまざまな立場の大人が連携することが大切です。本学会もそんな連携の輪の一つとして『子どもたちのWell Being』に貢献できればうれしいです。
取材・執筆/佐藤クロ
そのような子どもたちは言葉以外のさまざまな方法でつらさや困りのサインを出します。何となく元気がない、イライラしているといった気持ちの表れだけでなく頭が痛い、おなかが痛い、朝起きられないといったからだの症状も実はサインの可能性があり、大人はサインをなるべく早く察知し、適切なタイミングと距離感で向き合うことが求められるのではないでしょうか。
学校での子どもの抱える問題に対しては学校内で解決できないことも多々あり、医療や心理、福祉行政や法律といったさまざまな立場の大人が連携することが大切です。本学会もそんな連携の輪の一つとして『子どもたちのWell Being』に貢献できればうれしいです。
取材・執筆/佐藤クロ
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
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