学校が「自分らしく挑戦できる場所」に変わるまで
3学期の始業式、息子は宣言通り「行ってきます!」と笑顔で一人で登校していきました。 今の息子にとって、少人数の特別支援学級は安心できる居場所です。「趣味の合うお友だちと遊ぶことができて楽しい」「特別支援学級の中だと、思ったことが言葉で言える」と話しています。
友だちの名前を出すことが増え、大好きな工作を大切に持ち帰ってきたり、「今日は跳び箱ができたよ!」とチャレンジしたことをうれしそうに教えてくれたり。自分から進んで登校準備をする日も増え、以前のような張り詰めた空気はなくなりました。 今でも、朝の1時間ほど付き添って登校する日はあります。ですが、以前よりずっと穏やかな気持ちで一緒に登校できるようになりました。
環境を調整したことで、家で弟とのケンカが減り、宿題にも自分から取り組むようになりました。学校での環境が落ち着いているからこそ、家庭での生活も安定したのだと感じています。
友だちの名前を出すことが増え、大好きな工作を大切に持ち帰ってきたり、「今日は跳び箱ができたよ!」とチャレンジしたことをうれしそうに教えてくれたり。自分から進んで登校準備をする日も増え、以前のような張り詰めた空気はなくなりました。 今でも、朝の1時間ほど付き添って登校する日はあります。ですが、以前よりずっと穏やかな気持ちで一緒に登校できるようになりました。
環境を調整したことで、家で弟とのケンカが減り、宿題にも自分から取り組むようになりました。学校での環境が落ち着いているからこそ、家庭での生活も安定したのだと感じています。
「逃げ」ではなく「選ぶ」。親子が笑える居場所は必ず見つかる
今回の経験を通して、環境調整の大切さを心から実感しました。学校で頑張っている分、家では思い切りリフレッシュできる環境を用意し、嫌なことがあったという話には否定せず共感して、どうすればいいかを繰り返し話し合うようにしています。
「学校=安心して通える楽しい場所」という思いが、これからも続いてくれるとうれしいなと思います。
もし、かつての私と同じように、通常学級での行き渋りに悩んでいる方がいたら、一人で抱え込まずに家族や友人、主治医、放課後等デイサービスの先生など、信頼できる人に相談してほしいです。誰かに話すことで、お子さんも親御さんも、もっと楽に過ごせる場所が見つかるといいな、と思っています。
イラスト/鳥野とり子
※エピソード参考者のお名前はご希望により非公開とさせていただきます。
「学校=安心して通える楽しい場所」という思いが、これからも続いてくれるとうれしいなと思います。
もし、かつての私と同じように、通常学級での行き渋りに悩んでいる方がいたら、一人で抱え込まずに家族や友人、主治医、放課後等デイサービスの先生など、信頼できる人に相談してほしいです。誰かに話すことで、お子さんも親御さんも、もっと楽に過ごせる場所が見つかるといいな、と思っています。
イラスト/鳥野とり子
※エピソード参考者のお名前はご希望により非公開とさせていただきます。
専門家コメント(医師・公認心理師 森しほ先生)
お子さんが頑張りすぎていることに気付き、環境を整える決断をされたこと、勇気のいることだったと思います。安心できる居場所を見つけられたのですね。
発達の偏りを持つお子さんの場合、ルールを守ったり周囲に合わせようとする気持ちが強く働くことがあり、周囲から見て「模範的な良い子」になることがあります。そのため周囲からは無理をしていることに気付きにくいのですが、「過剰適応」を起こしていることが少なくありません。過剰適応とは、本来の自分の気持ちを抑えて周囲に合わせてしまうことで、一見問題なく過ごしているように見えながら、内面では強いストレスが蓄積している状態です。
最初のうちは順調に見えていたのに、時間が経ってから行き渋りや家庭での荒れが出てくるとしたら、それは心が限界に達したサインと考えられます。「わがまま」や「甘え」ではなく、緊張に耐えきれなくなった結果です。また、感覚過敏があると、ざわざわした教室にいることがとってもつらくなってしまいます。特別支援学級ではお子さんの特性に合わせた対応ができるため、落ち着いて過ごすことができるのではないでしょうか。お子さんは、安心できる環境にいると感じられて、はじめて挑戦や学習にエネルギーを使えるようになります。登校しぶりや不登校は、お子さん本人はもちろん保護者の方にとっても先が見えなくてつらい状況です。
専門家に相談しながら方向を考えていけたことはとても素晴らしいですね。まず大切なのは、お子さんを「頑張らせる」のではなく、「回復させる」という視点です。つい「がんばって」と言いたくなるかもしれませんが、お子さんはすでにがんばって燃え尽きてしまっているのかもしれません。過剰適応で無理をしてエネルギーが枯渇している状態では、できることもできなくなってしまいます。
まずは「安心のベース作り」を心がけましょう。お子さんが「どう思われるか」を考えなくて済むような、安心して過ごせるような環境を作るようにするといいのではないでしょうか。「今日はどうだった?」ではなく、「一緒におやつ食べようか」など、会話のハードルを下げて、お子さんが話したくなったときに話せる雰囲気を作れるといいですね。
また、お家では感覚をクールダウンさせられるようにしましょう。発達特性のあるお子さんは、音・光・人の多さなどに敏感で、学校ではそういった刺激から疲れてしまっていることが多いのです。お家では少し暗めの部屋で過ごす、好きな音楽を聴く、ブランケットにくるまるなど、刺激を減らすような工夫をすると心の回復が早まります。
環境を変えることに抵抗をおぼえる方は多いのですが、「環境を変える=逃げ」ではありません。お子さんが安心して過ごせて、好きなことや得意なことで力を発揮できるような環境を選んでいくことが大切です。親子ともに無理をしすぎず、心が楽でいられる場所を探していきましょう。(監修:医師・公認心理師 森しほ先生)
発達の偏りを持つお子さんの場合、ルールを守ったり周囲に合わせようとする気持ちが強く働くことがあり、周囲から見て「模範的な良い子」になることがあります。そのため周囲からは無理をしていることに気付きにくいのですが、「過剰適応」を起こしていることが少なくありません。過剰適応とは、本来の自分の気持ちを抑えて周囲に合わせてしまうことで、一見問題なく過ごしているように見えながら、内面では強いストレスが蓄積している状態です。
最初のうちは順調に見えていたのに、時間が経ってから行き渋りや家庭での荒れが出てくるとしたら、それは心が限界に達したサインと考えられます。「わがまま」や「甘え」ではなく、緊張に耐えきれなくなった結果です。また、感覚過敏があると、ざわざわした教室にいることがとってもつらくなってしまいます。特別支援学級ではお子さんの特性に合わせた対応ができるため、落ち着いて過ごすことができるのではないでしょうか。お子さんは、安心できる環境にいると感じられて、はじめて挑戦や学習にエネルギーを使えるようになります。登校しぶりや不登校は、お子さん本人はもちろん保護者の方にとっても先が見えなくてつらい状況です。
専門家に相談しながら方向を考えていけたことはとても素晴らしいですね。まず大切なのは、お子さんを「頑張らせる」のではなく、「回復させる」という視点です。つい「がんばって」と言いたくなるかもしれませんが、お子さんはすでにがんばって燃え尽きてしまっているのかもしれません。過剰適応で無理をしてエネルギーが枯渇している状態では、できることもできなくなってしまいます。
まずは「安心のベース作り」を心がけましょう。お子さんが「どう思われるか」を考えなくて済むような、安心して過ごせるような環境を作るようにするといいのではないでしょうか。「今日はどうだった?」ではなく、「一緒におやつ食べようか」など、会話のハードルを下げて、お子さんが話したくなったときに話せる雰囲気を作れるといいですね。
また、お家では感覚をクールダウンさせられるようにしましょう。発達特性のあるお子さんは、音・光・人の多さなどに敏感で、学校ではそういった刺激から疲れてしまっていることが多いのです。お家では少し暗めの部屋で過ごす、好きな音楽を聴く、ブランケットにくるまるなど、刺激を減らすような工夫をすると心の回復が早まります。
環境を変えることに抵抗をおぼえる方は多いのですが、「環境を変える=逃げ」ではありません。お子さんが安心して過ごせて、好きなことや得意なことで力を発揮できるような環境を選んでいくことが大切です。親子ともに無理をしすぎず、心が楽でいられる場所を探していきましょう。(監修:医師・公認心理師 森しほ先生)
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
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