「わが家の場合はこうでした」が、どこかで悩む誰かのヒントになりますように

この連載では、2人の息子と歩んできた記録をお届けしていきます。「こういうことで困った」「これをしたら少しうまくいった」という話を、できるだけリアルにお伝えしていく予定です。
私は専門家ではないので、あくまで「わが家の場合はこうでした」という話になります。お子さんの特性も、必要なサポートも、歩む道も一人ひとり違います。

ここに書いたことがそのまま役に立つとは限りませんが、「うちの子と似ている」「こんな方法があるんだ」とひとつでも感じていただけたら嬉しいです。
次回は、太郎の保育園時代のお話から。「年長なのにひらがなが読めない、うちだけ?」そんな気持ちで過ごしていた頃のことをお伝えします。今まさに同じような状況の方がいたら、ぜひ読んでみてください。どうぞよろしくお願いします!

執筆/ぴーたん

専門家コメント 初川久美子先生(臨床心理士・公認心理師)

年長でひらがなが読めなかった長男太郎くん、中2で発達性読み書き障害(ディスレクシア)と診断された次男次郎くんの、つまずきが分かった当初のエピソードをありがとうございます。今やお二人とも社会人として働かれているとのこと。そこに至るまでの学校生活や合理的配慮をどう受けてこられたかなど、今後のコラムも楽しみにしています。

さて、読み書きに関する障害に関しては、この20年近くでだいぶ理解や対応も広まりつつあるところですね。太郎くんのつまずきに気づき悩まれていた際に「保護者の怠慢」と言われてしまったことに衝撃を受けつつ、そういう時代もあったでしょうし、いまだにその名残もあるかもしれませんが、少なくとも専門家の間や学校教員の間ではだいぶ読み書きの障害について理解が広まりました。読み書きの障害(発達性ディスレクシア)に関しては、文字を音として認識し、その音をもとに、単語として語彙を頭の中の辞書から参照し、意味を取っていくという作業をするのですが、その作業に著しく時間がかかりスムーズに読めない(だから、読んだものの理解にも時間がかかる)ということが原因とされています。読むことに時間がかかる(文字の意味理解の参照に時間がかかる)と、書く際にも文字や単語を想起するのに時間を要し、スムーズに書けないという状態像を呈する場合もあります。

読みや書きにつまずきが見られる場合、まずは知能検査で知的発達に遅れがないことを確認したうえで、読み書きに関するアセスメントを追加で行い、診断に至ることが多いと思います。知能検査単体では、読み書きそのものに関する検査項目はなく、ワーキングメモリや処理速度など読み書きに関連しそうな指標について、つまずきが現れる場合もありますが、それだけですべてが説明されるものではないため、読み書きに関するアセスメントを行うことで、何がどの程度苦手なのかといったあたりがよりつかみやすくなると思います(このあたり、この20年近くでだいぶ進んだ領域かなと思います)。

ただ、「読み書きがどの程度苦手なのか」や「診断がされるかどうか」も大事ですが、それが分かっても、残念ながら読み書きのつまずきがなくなるわけではありません。例えば、“ひらがな・カタカナは読み書きできるようになることを目標にしよう”(そうすればルビが読めるようになる)といったあたりを当面のお子さんの目標にすることや、それ以上のことは合理的配慮を求めることで学習そのものへの遅れを防いでいくなど、具体的な手立てが必要です。そのあたりを今後のコラムできっとご紹介いただけるのではと期待して、楽しみにしています。(監修:臨床心理士・公認心理師 初川久美子先生)
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

SLD(限局性学習症)
LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。

ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
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