ピアスタッフは「少し先の未来」を見せる存在でもある
こうしたロールモデルのような関係は、参加者の間だけで生まれるものではありません。「趣味トーク」の活動の中では、年上のピアスタッフの存在が、とても重要です。以前の連載の中でも書いたように、「趣味トーク」に参加しているピアスタッフは、アニメや漫画、ゲームが好きな大学生・大学院生などのボランティアの人たちです。ピアスタッフたちには、支援する立場というより、「少し年上の趣味の仲間」として、子どもたちと同じ立場で自分の「好き」を語ってもらうようにお願いしています。
そんなピアスタッフの存在は、子どもたちにとって大きな意味を持っています。学校の先生や親は、どうしても評価や指導と結びつきやすい存在です。ですが、ピアスタッフは、「大きくなっても、自分の『好き』を大切にしていい」「好きなものを語りながら、人と関わっていい」という姿を、そのまま体現している存在でもあります。
ある高校生の男の子が好きな漫画について話していたとき、20代のピアスタッフが「私も漫画が大好き!同じ作者の別作品を読んだことがあるよ!」と応じると、その子はぱっと表情を明るくし、「じゃあ、この漫画も読んでください!」とページを開いて見せていました。こういった交流には、「この人なら分かってくれる」という安心を得られる面もありますが、同時に「自分もこういう大人になれるかもしれない」と本人が見通しを持てる面もあるように思います。
そんなピアスタッフの存在は、子どもたちにとって大きな意味を持っています。学校の先生や親は、どうしても評価や指導と結びつきやすい存在です。ですが、ピアスタッフは、「大きくなっても、自分の『好き』を大切にしていい」「好きなものを語りながら、人と関わっていい」という姿を、そのまま体現している存在でもあります。
ある高校生の男の子が好きな漫画について話していたとき、20代のピアスタッフが「私も漫画が大好き!同じ作者の別作品を読んだことがあるよ!」と応じると、その子はぱっと表情を明るくし、「じゃあ、この漫画も読んでください!」とページを開いて見せていました。こういった交流には、「この人なら分かってくれる」という安心を得られる面もありますが、同時に「自分もこういう大人になれるかもしれない」と本人が見通しを持てる面もあるように思います。
成長は、訓練の成果ではなく、関係の中で起きている
こうして見ていくと、「趣味トーク」の場で起きている子どもたちの変化は、訓練の成果として説明するよりも、関係性の中で生成されていく成長として捉えたほうが自然です。自分の「好き」を安心して語れること、ほかの人の「好き」が尊重されているのを見ること、少し先を歩く仲間やピアスタッフの姿に触れること……そうした経験の積み重ねが、その子にとっての「次の一歩」を支えているのだと思います。
以前は黙って聞いているだけだった子が、ほかの子の発表に質問するようになる。持ってきたグッズを見せるだけだった子が、作品の感想や設定まで説明するようになる。さらに、誰かにアドバイスをしたり、初参加の子に声をかけたりするようになる。こうした変化は小さく見えるかもしれませんが、参加の仕方・他者との関わり方が増えているという意味では、とても大きなことです。
以前は黙って聞いているだけだった子が、ほかの子の発表に質問するようになる。持ってきたグッズを見せるだけだった子が、作品の感想や設定まで説明するようになる。さらに、誰かにアドバイスをしたり、初参加の子に声をかけたりするようになる。こうした変化は小さく見えるかもしれませんが、参加の仕方・他者との関わり方が増えているという意味では、とても大きなことです。
「カリスマティック・アダルト」的な存在の意味
「趣味トーク」の場では、子どもたちが少しずつ変化し、その変化した姿が、今度は別の子のモデルになっていきます。イヅミさんのように、自分の「好き」を見せられるようになった子が、ルリコさんのような次の世代の参加者に影響を与える。さらに、年上のピアスタッフが、子どもたちに「少し先の未来」の姿を見せてくれる。そうした関係の中で、子どもたちは「こうやっていていいんだ」「自分もやってみたい」と思えるようになっていくのです。
ハーバード大学の心理学者ロバート・ブルックス博士は、子どもが「そこから力を得る大人」という「カリスマティック・アダルト」の存在を重視し、無条件の受容、強みへの注目、失敗やつまずきの中でも見捨てない関わりが、子どものレジリエンス(困難を乗り越え回復する力)を支えると述べています。そうした大人との関係の中で、子どもは「自分はここにいてよい」「やってみてもよい」と思えるようになります。「趣味トーク」における年上の参加者やピアスタッフも、子どもたちの「好き」を自然に肯定し、少し先の未来の姿を示しながら、安心して自分を出せる関係をつくる点で、そのような存在になっているのだと思います。
発達障害のある子どもたちにとって必要なのは、何かを一方的に教えることだけではありません。安心していられる場の中で、少し先を歩く仲間や大人に出会い、その姿を手がかりに自分なりの参加の仕方を増やしていけることもまた、とても大切なのだと思います。「趣味トーク」は、そのような成長の連鎖が生まれる場にもなっているのです。
ハーバード大学の心理学者ロバート・ブルックス博士は、子どもが「そこから力を得る大人」という「カリスマティック・アダルト」の存在を重視し、無条件の受容、強みへの注目、失敗やつまずきの中でも見捨てない関わりが、子どものレジリエンス(困難を乗り越え回復する力)を支えると述べています。そうした大人との関係の中で、子どもは「自分はここにいてよい」「やってみてもよい」と思えるようになります。「趣味トーク」における年上の参加者やピアスタッフも、子どもたちの「好き」を自然に肯定し、少し先の未来の姿を示しながら、安心して自分を出せる関係をつくる点で、そのような存在になっているのだと思います。
発達障害のある子どもたちにとって必要なのは、何かを一方的に教えることだけではありません。安心していられる場の中で、少し先を歩く仲間や大人に出会い、その姿を手がかりに自分なりの参加の仕方を増やしていけることもまた、とても大切なのだと思います。「趣味トーク」は、そのような成長の連鎖が生まれる場にもなっているのです。