幼児期の「療育」によるIQ上昇と、就学後の落とし穴

幼児期(2〜3歳)に境界知能の疑いがあり、療育(児童発達支援など)を受けた子どもたちは、就学前(5歳頃)にIQが上昇する傾向があります。手厚いサポートを受けることで、知能の伸びが促されるためです。

しかし、ここに一つの落とし穴があります。数値が上がったことで、親御さんが「治った!」と安心してしまい、そのまま通常の学級へ進学。その後、学習内容が高度になる小学校高学年などで再びつまずき、結果的にIQが下がる(または周囲との差が広がる)ケースが多いのです。

決して「サボっている」わけではない。自己肯定感を守るために

境界知能の子どもたちは、学習や運動、集団参加において「全くできないわけではない」からこそ、「人一倍努力しないと周囲に追いつけない」という過酷な状況に置かれています。
学校での一斉指導だけで全てをカバーするのは限界があります。習熟度別学習や少人数指導のように、「先生と1対1で向き合い、どこでつまずいているのかを把握してもらえる環境」が非常に有効です。

親御さんや支援者が最も気をつけなければならないのは、「やらせすぎ」による二次障害を防ぐことです。幼児期や小学生の段階から、「自分はダメなんだ」と自己肯定感を下げてしまわないよう、その子なりのペースを認め、学校外の機関(塾や医療、放課後等デイサービスなど)とも連携しながら、長期的な視点で寄り添っていくことが求められています。
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
ライフバナー

追加する

年齢別でコラムを探す


同じキーワードでコラムを探す



放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

コラムに対する投稿内容については、株式会社LITALICOがその内容を保証し、また特定の施設、商品及びサービスの利用を推奨するものではありません。投稿された情報の利用により生じた損害について株式会社LITALICOは一切責任を負いません。コラムに対する投稿内容は、投稿者の主観によるもので、株式会社LITALICOの見解を示すものではありません。あくまで参考情報として利用してください。また、虚偽・誇張を用いたいわゆる「やらせ」投稿を固く禁じます。「やらせ」は発見次第厳重に対処します。