「貯金があると障害年金はもらえない?」支給制限・所得制限のルールを解説【親なきあと相談室】

ライター:渡部 伸
「貯金があると障害年金はもらえない?」支給制限・所得制限のルールを解説【親なきあと相談室】のタイトル画像
Upload By 渡部 伸

行政書士として多くの方をサポートされている、「親なきあと」相談室の渡部 伸先生による事例解説企画。ご家族のリアルな相談事例をもとに、わが子の将来を支えるための具体的なヒントやアドバイスをご紹介します。

今回のテーマは「障害年金の支給制限について」です。子どもの頃から貯蓄をしている息子さんが、制限なく障害年金を受け取れるのかについて解説します。

監修者渡部伸のアイコン
執筆: 渡部伸
行政書士
親なきあと相談室主宰
社会保険労務士
慶應義塾大学法学部卒後、出版社勤務を経て、行政書士、社会保険労務士、2級ファイナンシャルプランニング技能士などの資格を取得。現在、渡部行政書士社労士事務所代表。自身も知的障害の子どもを持ち、知的障害の子どもをもつ親に向けて「親なきあと」相談室を主宰。著作、講演など幅広く活動中。

「親なきあと」相談事例|障害年金の制限について

「親なきあと」相談室の渡部 伸と申します。当相談室で実際に受けた具体的な相談事例とアドバイスをもとに、コラムを書かせていただいています。

発達が気になる方の保護者や家族からの相談について、それぞれのケースではどのような制度が使えるか、親なきあとの生活をどう想定し、私がどのようなアドバイスをしたか、ご紹介していきたいと思います。

※なお、ここに紹介した事例は、いずれも実際にあった事例に基づいて、家族や環境などは個人が特定できないように変更を加えています。

貯金があると障害年金がもらえなくなるのでしょうか?

  • 当事者:特別支援学校高等部2年の男子、中程度の知的障害(知的発達症) 
  • 相談者:母親 

息子は17歳、高等部卒業後に向けて、実習などを重ねているところです。そろそろ障害年金のことも準備しなくてはと思っていたところ、同じ学校のママ友から「本人がまとまったお金を持っていると年金はもらえないらしいよ」という話を聞きました。
息子は自分でお金を使うことが少ないので、今までもらったお年玉などはすべて本人の口座に貯めてあります。年金の申請のときには、通帳の残高などチェックされたり、ある程度の額があるともらえなかったりするのでしょうか?

回答

財産・預貯金など本人の貯蓄額は支給に影響しません
財産・預貯金など本人の貯蓄額は支給に影響しません
Upload By 渡部 伸
【アドバイス】財産は影響ありません。ただし収入が多いと、支給停止になる可能性はあります。

結論から言いますと、財産があると支給されないという年金はありません。ただし、収入に応じて支給が停止となる制度があります。

年金制度は2階建てになっていて、すべての国民が加入する国民年金が1階部分、会社員や公務員が上乗せで加入する厚生年金が2階部分にあたります。
相談者の方が息子さんのために申請するのは、1階部分の国民年金の、障害基礎年金になります。通常、国民年金は20歳以上の全員が加入し保険料を納める仕組みですが、20歳前に障害状態となった方は、保険料を納めていなくても特例的に障害年金を受けられる制度になっています(「20歳前の傷病による障害基礎年金」)。この場合は、通常の年金制度と異なり、本人の所得に応じて年金支給が制限または停止される仕組みがあります。

所得制限となる基準額は毎年見直されます。2026年10月現在の具体的な額は、前年の所得が491.8万円を超えると年金の全額が支給停止、385.8万円を超えると半額が支給停止になります。この場合の所得とは、年収とは異なります。年収から必要経費の概算額が控除された課税所得です。

あくまで支給制限の対象は本人の所得額なので、預貯金や同居している親の所得は無関係です。
さまざまな噂やインターネットの書き込みなど、どれが本当か分からず不安になることがあるかと思いますが、信頼できるルートから正しい情報を得るようにしてください。
日本年金機構:20歳前の傷病による障害基礎年金にかかる支給制限等
出典:https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/shougainenkin/jukyu-yoken/2...
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
ライフバナー
PLUSバナー


年齢別でコラムを探す


同じキーワードでコラムを探す



放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

コラムに対する投稿内容については、株式会社LITALICOがその内容を保証し、また特定の施設、商品及びサービスの利用を推奨するものではありません。投稿された情報の利用により生じた損害について株式会社LITALICOは一切責任を負いません。コラムに対する投稿内容は、投稿者の主観によるもので、株式会社LITALICOの見解を示すものではありません。あくまで参考情報として利用してください。また、虚偽・誇張を用いたいわゆる「やらせ」投稿を固く禁じます。「やらせ」は発見次第厳重に対処します。