子ども本人への障害告知には「避けたいタイミング」があります

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いつかはその日がやってくるお子さんへの「障害告知」。いつ伝えるべきなのか、社会的自立の視点を踏まえて考えてみます。

松本太一
アナログゲーム療育アドバイザー
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なぜ障害告知の必要があるのか?

普段、療育アドバイザーとして活動していると、本人への障害告知についてご相談をいただくことがあります。
今日はその「障害告知」について、考えてみたいと思います。

そもそも、なぜ障害告知が必要なのでしょうか。

私は「社会的自立をする上で、障害の自己理解が必要になるからです」と、親御さんに伝えています。

特に就職においては、自己の障害や困り事を理解していることは重要です。

将来、お子さんが障害者雇用の制度を使って企業で働く場合、面接で自身の障害と必要な配慮を説明する必要があります。また障害のことを明らかにせず普通に企業で働く場合でも、自分に向いている仕事を選ぶためには、自分自身の特性を知っておく必要があるだろうと考えています。

公的な支援を受ける際も、自分がどんな支援を受けられるかを理解し、行政の担当者に支援が必要なことを説明するために、自己の障害理解は欠かせません。

就職する前には、自分の凸凹を把握しておきたい

発達障害のことを本人にどう伝えるかは、お子さんの年齢や障害の特性によって大きく変わるため、一概に言うことはできません。そこで今回は、「いつ伝えるか」に絞ってお話ししたいと思います。

就職のことを考えると、遅くとも就職の1年前、進路について考え始める時期までには、告知を済ませておきたいところです。

ただしこれはあくまでタイムリミット。
お子さんが、自身の障害について理解を深めるには時間がかかりますから、実際にはもっと早めに伝えたほうが良いのではと思います。

では、早ければ早いほど良いのかというと、それも違います。
お子さんが幼すぎれば告知をしても障害のことを理解できない事もあるでしょう。お子さんが自身のこととして、障害を理解するためには、自分自身を客観的に見られるようになっている必要があります。
それが可能になるのは、発達心理学では7歳以降と言われています。

以上のことから、障害告知の時期について、私は親御さんに「7歳以降、無理のない範囲で早めに、遅くとも就職の1年前までには済ませておくのが良いのでは」と伝えています。

なお、これまでみてきた中では、大体7歳から12歳くらいまで、つまりお子さんが小学生の時に告知をしているケースが多い印象です。

告知に向いていないタイミングとは…

では、どんなタイミングでお子さんに障害を伝えるべきでしょうか。これもお子さんの状況によって一概には言えません。

逆に、告知をしてはいけないタイミングというのはあります。

それは、お子さんが失敗した時です。

こうした状況で、例えば「そんな失敗をするのをADHDっていうのよ!」といったふうに、失敗と紐付けて障害を告知することは避けなければなりません。

こう言われると、お子さんは自身の発達障害を悪いもの、なくすべきものと受け取ってしまいます。障害をなくすことはできないので、お子さんは自分の中にずっと悪いものがあると思って生きていくことになりかねません。

成長のキッカケとなった告知の例

望ましいタイミングで告知できたケースをご紹介します。

小学3年生のSくんはADHDがあり、集中の短さやクラスメイトとのトラブルがしばしば見られます。お母さんは学校と話し合い、Sくんを通級指導教室に通わせることにしました。

初めて教室を訪れたSくんは、先生に勉強を1対1でみてもらい、後半は他の子とゲームを楽しみました。Sくんが通級の授業に意欲的に取り組んでいたのをみて、お母さんは「この教室に通いたい?」と聞きました。「うん!」と笑顔で答えるSくん。

それを聞いてお母さんは、このように障害を伝えました。

「Sくんは、学校で勉強が途中で嫌になったり、お友達とケンカしちゃうことがあるよね。実はSくんにはADHDという障害があって、そういう困ったことが時々起こるんだ。でもこの教室に通って、勉強の仕方やお友達と仲良くなる方法を教えてもらったら、きっと困ることは少なくなるよ」

お母さんの話にSくんも納得した様子で、明るい顔で頷きました。

家族のタイミングで

このように、告知のキッカケとなりやすいのは、お子さんが通級指導教室や放課後等デイサービス、療育機関など、障害のある子が通うための特別な場所に通い始めたときです。

その際、Sくんのようにお子さんの気持ちが前向きになっているときに告知を行うと、本人も受け入れやすいのでは、と思います。

ぜひ1つの例として、参考にしていただければと思います。
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