初めての意思のある言葉はなんと…

こうして、6歳までずっと言葉らしい言葉を話さなかった息子。

人生で一番最初に喋った意思のある言葉は「まだ食べる!」でした。

まともな単語すら出ていなかったのに、いきなり2語文!しかも自閉症らしからぬ自分の意思をはっきりと示す言葉でした。

それは、渋谷の東急東横店9階にある、讃岐うどん屋に連れて行った時のことでした。
アルバイト店員が、うどんがの切れ端が1本残っていた食器を「お下げ致します」と持って行こうとしたその時、「まだ食べる!」と叫んだのです。
単語を覚えるだけじゃダメ!息子が「オウム返し」を卒業するまでの画像
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「ママ、ママ」とも呼ばれた経験がなかった私。
喋った相手はうどん屋のアルバイトのお兄さんでしたが、とても嬉しかったのを覚えています。

息子がうどん屋で「まだ食べる!」と言ったとき、主治医に言われた言葉をまた思い出しました。
言葉だけのトレーニングをしても単語を単に覚えるだけ。言葉を使って喋るようには、なかなかなりません。
息子が意思のある言葉を発したのは「うどんを最後の1本まで食べたい、器を下げようとしている店員に何がなんでも伝えたい」という動機でした。

周囲を見ることを覚えて、周囲への関心が生まれ、言葉を交わすと気持ちが伝わることを知って、そして「伝えたい」気持ちが生まれて。そうやってコミュニケーションが出来るようになったのです。

言葉だけでなく遊びも同じです。

公園に連れて行っても「友達と遊びたい」という気持ちがなかったら、楽しそうに遊んでいる子ども達がいても、仲間に入らず地面の石を一列に並べるだけなのです。

そんな周囲に関心のない時期に、無理して友達と関わらせようとしても、親子共にストレスがかかるだけです。
子どもも楽しくない上に、親だって周囲との違いを目にして辛い思いをするだけですから、無理して「公園デビュー」をする必要なんて、ないと思っています。

思春期ならではの言葉づかいも、成長の証。

来年高校生になる息子は、思春期に入り、荒れていて大変です。
でも、うどん屋に行けば「きつねうどん下さい」と、自分の意思で食べたいものを注文できるようになりました。
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友達の真似をして私に向かって「うざい」「まじ」など汚い言葉を使うことも。
私は眉をひそめながらも「友達の真似をして私に感情をぶつけられるようになったなんて、昔に比べたら成長したなあ」と心ではひそかに喜んでいます。

今、成長の兆しが見えずに苦しんでいるお母さん方、焦らなくても大丈夫。経験を積んで成長し、発達段階の機が熟せば言葉も出るようになりますから、その時までのんびり待ってみませんか。

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