母はアスペルガー。そう気づいてから、親子関係に一歩踏み出せた

ライター:kaoru
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出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=11021005115

わたしの母は診断こそないものの、アスペルガーの特性が色濃いのです。おそらく父もグレーゾーン。わたしの兄弟もアスペルガーかも?と思える行動がチラホラ。今思えば、わたしの育った家庭では、私がマイノリテイーだったのかもしれません。ギクシャクしていた母との関係についてお話します。

子どもの頃から理解できなかった「母親」のこと

私にとって、母との関係ほど厄介なものはありませんでした。母のやることなすこと、いつも理解ができませんでした。

「自分が変わる事でしか、状況を変えられない」これは、綺麗事なんかではなく一番の近道だと思っています。発達障害のある家族と生まれたときから44年もの長い間、格闘してきた私の実感です。

現在、家庭を持った私は自分自身の子どもにも発達障害があり、子育てに奮闘しています。
ですが、私とわが家の場合、発達障害のある子を育てるよりも、発達障害のある親と過ごす方がずっと大変だったように感じます。

ずーっと感じていた違和感は「大人の発達障害」にヒントが

私は物心ついたときから、周囲の感覚と何かがズレているように感じていました。

息子が診断された時、この違和感は「私自身も発達障害かも」という疑いに変わりました。

ですが、私は確かに忘れっぽいけれど、支援が必要なほど困った記憶はありません。集団に適応できなかったこともないし、コミュニケーションも得意ではないけど苦手な訳ではありません。

一方発達障害がある息子は、集団への適応が難しく、相手の気持ちを理解することが苦手なため、コミュニケーションにも困難さを抱えていました。

人それぞれ特性は違うとはいえ、息子の様子を見ていると、私と彼とでは「困り感」に大きな差があるように感じました。

私が発達障害じゃないとしたら「この違和感は一体何だろう?」そうずっとモヤモヤしていました。
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そんなある日、大人の発達障害の再現ドラマが放映されていました。それを見て思ったのです。

「もしかして、わたしのお母さんが発達障害?」

再現ドラマは、遠足の日にお弁当を作り忘れる、という話でした。

私の母は、再現ドラマと全く同じで、前日までお弁当を作る予定でいたのに当日の朝はすっかり忘れてしまうのです。お弁当の代わりに現金を持たされたこともありました。

熱湯をプラスチックの水筒に入れてしまい、ボトルが溶けて変形していたり、間違えて空の汚れたお弁当箱を持たせられたり…そんな事は我が家で日常茶飯事でした。

思い返すと、母は体調の悪い人の気持ちや辛さを全く理解できないところがありました。家族が体調を崩すと、病院へ連れて行くどころか「気合が足りない」「私への嫌がらせなの?」と相手を責めてしまうのです。

母に「嫌がらせで体調が悪いフリをしている」と言われていた祖母を見かねて私が病院へ連れて行くと、心不全を起こしていたこともあったのです。

そして、母は病院を選ぶことができませんでした。発疹が出ているのに整形外科に行ったり、骨折しているのに外科に連れて行かれたり、こうした間違いはしょっちゅうありました。

診察科目ごとに診察内容が違うことを理解できなかったようです。

母のことを「発達障害かもしれない」という視点で考えてみると、私が感じていた「違和感」の謎はスーッと解けていったのでした。

母との厄介な関係は、まるでカサンドラ症候群!

そう考えてみると、凸凹の激しい母の元で、私は子どもではいられなかったのだと思います。

母と父が離婚したとき、私自身が結婚したとき、母との距離が遠くなるたびにどこかでホッとしている自分がいました。

いつ感情が爆発して八つ当たりされるかもわからずに怯え、当たりちらされるたびに「今度こそ親子の関係を断ち切りたい」と思っては踏み留まり、親子なのに安らぎなど微塵も感じられない、というのが正直な気持ちです。

こうした母との疲れる関係は、ずーっと私を苦しめ続けました。私と母は夫婦ではなく親子ですが、母の言動に疲れきっている私はまるでカサンドラ症候群のようでした。

今でも母に対する複雑な感情は消えません。気持ちの浮き沈みが激しい母からの八つ当たりや、訳のわからないマイルールに辟易しています。
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なぜ理解しなくてはいけないのだろう。葛藤する気持ち

「母は息子と同じアスペルガー症候群である」と認めることは、本当に苦しいものでした。

これまでの事をおもうと「どうして私から歩み寄らなければいけないのだろう」と、受け入れられない自分がいました。なにより、将来自分の息子が「母のようになってしまうのだろうか…」そう思うと不安になり、否定せずにはいられませんでした。

それでも1歩を踏み出せたのは息子のおかげです。
自分の親の発達障害を理解して受け入れたり、サポートできないなんて、本当に息子の事や息子の障害を受け入れたとは言えないのではないか…そう思ったのです。

息子のことをより深く理解するために、「将来、こんな事で躓くことだってあるんだ」と母を1つの例として、息子と同じアスペルガーなんだという事を受け入れることが出来ました。
私はまず母に親であることを求めるのはやめました。

そして彼女の行動を「アスペルガー症候群という凸凹があるんだ」という視点から判断しようと努めました。

とても不思議なのですが、私が母の言動を肯定して受け止めると、あれほど悩まされていた八つ当たりはピタリと治まり、私の話を聞いてくれるようになりました。

「理解者のもとでは、安心していられる」というのは本当だとあらためて実感しています。

もちろん、全ての行動を何も言わずに受け止めるわけではありせん。

お葬式で知り合いに再会した際に「楽しい」と口走ってしまったり、温泉に行けば泳いでしまったり、並んでいる列に割り込もうとしたり、見知らぬ人にマシンガントークで喋りかけたり…そんな事は今でもよくあります。すでに70歳を前にしていて、注意をしてもなかなか治らないのです。

そんな母と一緒にいるときは、「私自身が気をつけて周囲とのトラブルを回避する」方が上手く行くという考えに至りました。

「受け入れなきゃ」と無理をしない、ゆるやかな努力なら続けられる

私は現在、母とは車で30分ほど離れた場所に住んでいます。この程よい距離感が手伝って、ここまで譲歩できたのだと思います。

カサンドラ症候群の方に、私は頑張れとは言えません。理解に苦しむ言動を「身内として受け止める辛さ」がどんなに耐え難いか知っていますし、きっと立場も様々でしょう。

でも、もし発達障害のある方との関係を改善したい、と望まれるなら、こちらから歩み寄り理解することをおススメします。

相手に変わってもらうのはとても難しいことだと思います。発達障害の有無に関係なく、そもそも人間が変わるのは大変ですから。

私も歩み寄って理解しようと努めてはいますが、「吹っ切れたらどんな行動もOK!」というわけではありません。頭の中が真っ白になったり、母の言動にドン引きしてしまうこともあります。

でも、家族としてもう少し頑張ってみようとゆるーい努力を続けています。受け入れ難いことは、どう頑張っても受け入れ難いのです、無理に「受け止めなきゃ」と自分を苦しめずに、それくらいのゆるさで実践することが、長く続く秘訣かもしれません。
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