息子本人は、「離席してしまう自分」に困っているのだろうか?

ライター:ヒゲとメガネの人
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勉強会で息子の行動への対応を相談していた時に問いかけられた「それは困っているのはお子さん本人ですか?」。
全く意識していなかった視点での指摘に思わず「あっ」と変な声が出てしまったように記憶しています。「本人が必要としていることかどうか」を意識して考える切っ掛けとなり、その後の一つの指針となる問いかけでした。

相談室の先生を招いての勉強会。「息子の離席に困ってます…」

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息子の通っている幼稚園では、「障害がある子の親の会」があります。

親同士の交流会や講師を招き、勉強会などを開催しています。

卒園児のお母さん方の参加もあるので就学以降の話を聞いたりアドバイスを貰ったりと、かなりありがたい場所になっています。

しばらく前のこと、市の幼稚園協会の相談室の先生を招いての勉強会が開催されました。


参加者の親御さんの話から先生の補足やアドバイスなどもあり、とても有意義な勉強会となりました。


勉強会の後の交流会で、先生に個人的な悩みや、息子へどう接するのがいいのかなどを質問。おそらく堰を切ったように話していたと思います。

現状の説明やいくつかの質問のあと、僕が「なかなか離席がおさまらなくて困ってまして…」と話してみたのです。

何かアドバイスを貰えるかなと期待していたのですが、返ってきたのは

「それは困っているのはお子さん本人ですか?」という問いかけでした。

これは本当に衝撃的でした。

確かに、息子本人は困っていない

全く意識していなかった視点での指摘に思わず「あっ」と変な声が出てしまったように記憶しています。

「ああ、そうか。離席で困っているのは、それを見て“なんとかならないか”と思っている僕だ。確かに息子は困ってはいない」

それまで、「息子のために」と色々考えてきたつもりだったのですが、周囲や親が困ることと、息子が困ることの切り分けができていなかったと気付かされたわけです。

この事実に思い当たり、うまく言葉が出ませんでした。

「お子さんが困っていないことで、周囲も特にそれに困らないのであれば別にいいんですよ」

「『こういう特性があるんです』と説明しておくだけで済むこともあります」

「親が困る。親が恥ずかしい。だからこれをやめさせたい。でも、本人が困ってなければ納得できないし、やめようと思わないですよね」

誰が困っているかが見えないというのは案外多いんです。本人が困っていることを助けるのが一番大切なことです」

スパスパと切られていくような感覚と、

「確かにそうだけど、定形発達の子と一緒に生活していくにあたっては、できれば解消したい行動もあるしなぁ」という割り切れなさが混在した複雑な気持ちになったのでありました。

頭でわかったつもりでも、中々スッキリしない…その時先生は?

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頭のなかでグルグルと考えが回っているうちに

「あ、本人が困ってなければ対応しなくてもいいってことではなくて、困っている主体が誰なのかを意識することが重要ってことなのか」

と思い至ったりはしたのですが、いかんせん考えがまとまりません。

うーん、と唸っていると、先生が「どうですか?」と訊ねてきたので

「よく分からなくなってます。というか、分かっていなかったように思います」

と答えると、先生のお言葉はこうでした。

「素晴らしい!もう既に『分からない』ということが分かってるじゃないですか!ここからやっていけばいいんですよ」

まるで禅問答ですが、多分、この「分からない」ということをスタートにするのが大切なのだと思います。
次ページ「何よりも、「子ども本人が困っていること」の解決を優先しよう!」

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