成年後見制度とは?わが子の将来に備えるためにぜひ活用したい制度を紹介

2016/09/18 更新
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成年後見制度とは、障害者や高齢者といった判断能力の乏しい人のお金の管理や相続に関する手続きなどを、その人に代わってサポートする制度です。「もしも私に何かあったら...」と、お子さまや家族の将来のことで不安に感じることはありませんか?成年後見制度の目的や制度、利用する上での注意事項まで、幅広くご紹介します!

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発達障害のキホン
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目次 成年後見制度とは? 成年後見制度の目的 成年後見制度の背景 どのようなときに成年後見制度を使えるの? 法定後見制度とは? 任意後見制度とは? 弁護士もしくは司法書士などに依頼することができます 成年後見制度のメリット・デメリット 後見人になったら気をつけたいポイント 成年後見制度がよく分かる、おすすめ書籍 まとめ

成年後見制度とは?

成年後見制度とは2000年4月より開始した制度で、知的障害や精神障害、認知症などにより判断能力が十分でない人の法律行為を支援する制度のことをいいます。例えば、銀行の手続きや遺産分割、不動産の売却などが挙げられます。

成年後見制度には、家庭裁判所が成年後見人等を選任し既に判断能力が低下している人に対して支援する法定後見制度と、あらかじめ本人が任意後見人を選び近い将来に備え支援者と支援内容を決めておく任意後見制度の2つがあります。申立てには一般的に1~2ヶ月かかるといわれています。
成年後見制度の活用例をご紹介します。精神障害のあるご家族をお持ちの方のケースです。

精神障がいの場合 ~法定後見~
Q 私の妹(21歳)は精神障がいで、日常会話は何とか分かりますが、時間の経過がわからず、また、お金を使って買い物をしたりすることもできません。最近、携帯電話を勝手に契約してきましたが、通話料が必要であることは理解できません。今後、勝手にクレジットカードを作って他人に使われたりしないか心配です。良いアドバイスをお願いします。

A 精神上の障がいにより判断能力が不十分である方のために、家庭裁判所が適切な保護者を選び、本人を保護するための制度が成年後見(法定後見)制度です。本人の判断能力に応じて、家庭裁判所が適切な保護者(成年後見人・保佐人・補助人)を選びます。選ばれた保護者(成年後見人・保佐人・補助人)は、本人の希望を尊重しながら、財産管理や身の回りのお手伝いをします。
妹さんの場合も、成年後見(法定後見)制度を利用することで、妹さんが勝手にしてしまった契約を取り消したり、契約の無効を主張することができるなど、妹さんを法的に保護することができるようになります。
(成年後見Q&A | 公益財団法人 成年後見センター・リーガルサポート 大阪支部)

出典:http://www.legal-support-osaka.jp/info/faq.html#faq4
本人の判断能力は人によりさまざまですので、成年後見制度では、一人ひとりにあったサポートを利用することができます。

成年後見制度の目的

成年後見制度は判断能力が不十分な方々の権利を守り、法的に保護・支援することを目的とした制度です。

近年は精神疾患のある人や1人暮らしの高齢者といった判断能力の乏しい方が、悪質な訪問販売員に騙されるような悪徳商法が後を絶ちません。 このような場合は成年後見制度を利用することによって契約を取り消し、被害を未然に防ぐことができます。

認知症、知的障害、精神障害などの理由で判断能力の不十分な方々は,不動産や預貯金などの財産を管理したり,身のまわりの世話のために介護などのサービスや施設への入所に関する契約を結んだり,遺産分割の協議をしたりする必要があっても,自分でこれらのことをするのが難しい場合があります。また,自分に不利益な契約であってもよく判断ができずに契約を結んでしまい,悪徳商法の被害にあうおそれもあります。このような判断能力の不十分な方々を保護し,支援するのが成年後見制度です。
(「成年後見制度~成年後見登記制度~」 | 内務省)

出典:http://www.moj.go.jp/MINJI/minji17.html#a2

成年後見制度の背景

成年後見制度の成立には、「ノーマライゼーション」の考えと、「自己決定権の尊重・残存能力の活用」という考えが背景にあります。一体どのような考え方なのか、それぞれ見ていきましょう。

■ノーマライゼーション
ノーマライゼーションとは、日常生活に必要な範囲の行為は本人が自由にするという考え方です。障害のある人も家庭や地域で通常の生活をすることができるような社会を作るという考えが広がりを見せています。

■自己決定権の尊重・残存能力の活用
自己決定権の尊重・残存能力の活用とは、判断能力が乏しいとはいえ本人の意思を尊重し、その能力を最大限生かして生活を送ることができるよう支援する考え方のことをいいます。

どのようなときに成年後見制度を使えるの?

どういった場合に成年後見制度を利用することができるのでしょうか。成年後見制度を利用することに決めた、きっかけの上位5位をご紹介します。

【きっかけベスト5】
第1位 預貯金等の管理・解約
第2位 施設入所等のための介護保険契約
第3位 身上監護
第4位 不動産の処分
第5位 相続手続き
圧倒的に多いのが、本人の預貯金等の管理のためです。この他にも、保険金の受取や訴訟手続等のために成年後見制度を利用するケースが増えています。
(成年後見関係事件の概況 -平成26年1月~12月- | 最高裁判所事務総局家庭局)

出典:http://www.seinen-kouken.net/1_riyo/index.html
成年後見制度は、金銭的なやりとりや契約の取り決めをきっかけに利用を検討する方が多いようです。

成年後見制度には家庭裁判所が成年後見人などを選任し、すでに判断能力が低下している人に対して支援する法定後見制度と、あらかじめ本人が任意後見人を選び近い将来に備え支援者と支援内容を決めておく任意後見制度の2種類があります。違いとしては、後見人の選出方法、サポート内容、報酬、サポートの内容があります。

両者には具体的にどのような違いがあるのか、どのような方を対象にしているのか、なにができるのかを詳しくご説明していきます。

法定後見制度とは?

法定後見制度とは、現時点ですでに判断能力が低下している方を支援する制度です。認知症や精神疾患のある方といった現時点で判断能力が低下している方は生活を送る上で、色々な困難さがあります。お金を自分で管理することが難しい場合や悪徳商法に巻き込まれてしまうことが少なくありません。

そういった支援を必要とする人を本人(それぞれを成年被後見人・被保佐人・被補助人という)、支援する人をそれぞれ成年後見人保佐人補助人と呼びます。本人の判断能力の度合いに応じて、後見、保佐、補助の3類型に分かれています。

後見: 自分ではほとんど物事を判断できない場合
 ・家庭裁判所は本人のために成年後見人を選任します
 ・成年後見人は本人の財産に関するすべての法律行為を本人に代わって行うことができます
 ・成年後見人または本人は、自ら行った法律行為に関しては日常行為に関するものを除いて取り消すことができます  

保佐: 判断力が著しく不十分な場合(簡単なことは自分でできますが、法律行為は全く判断できません)
 ・家庭裁判所は本人のために保佐人を選任します
 ・保佐人に対して当事者が申し立てた特定の法律行為について代理権を与えることができます
 ・保佐人または本人は本人が自ら行った重要な法律行為に関しては取り消すことがができます

補助: 判断力が不十分な場合(大体のことは自分で判断できますが、難しい事項については手伝いが必要です)
 ・家庭裁判所は本人のために補助人を選任します
 ・補助人には当事者が申し立てた特定の法律行為について代理権または同意権(取消権)を与えることができます

支援を必要とする人(本人)を、それぞれ成年被後見人・被保佐人・被補助人といい、支援する人を成年後見人・保佐人・補助人と呼びます。

成年後見人、保佐人、補助人とは

成年後見人、保佐人、補助人とは家庭裁判所に選ばれ、本人に代わって法律行為など定められた行為を行う人をいいます。

成年後見人は本人にどのような保護・支援が必要かといった事情に基づき、家庭裁判所が最も適任と判断する人物を選任します。ただし、希望通りになるとは限りません。そのような場合でも、申請を取り下げることはできないので、注意が必要です。

成年後見人には、本人の子どもをはじめとする親族や、法律・社会福祉士の専門家、福祉関係の公益法人が選ばれる可能性があります。また、成年後見人は1人だけ選ばれるとは限りません。専門職の後見人を置きつつ、身の回りの法律行為については親族と役割分担する場合もあります。

成年後見人、保佐人、補助人のすべてに共通する役割には、大きく分けて財産管理、身上監護、報告の3つがあります。

■財産管理
財産管理とは、証明書・契約書などの保管や法務手続きを行い、生活費を管理することです。一般的には多額の現金や預貯金は成年後見人が管理し、必要な分のみ本人が持つという形をとります。定期的に家庭裁判所にお金の動きを表す収支予定表を提出し、指示指導を受ける必要があります。これを後見監督といいます。このために領収書を常時管理し、金銭出納帳に記録することが求められます。

■身上監護(しんじょうかんご)
身上監護とは、本人の体調や環境を考慮の上で、適切な医療・看護を受けられるよう手配を行うことです。例えば住居・生活環境の確保や整備、介護や入院の手続きなどが挙げられます。ただし、成年後見人自身が本人を介護することは意味しません。専門職の方が後見人に選ばれた場合は親族が協力することがあります。

■報告
報告とは家庭裁判所から要請がある場合に、後見事務に関する報告書を家庭裁判所に提出することをいいます。これは義務付けられており、一般的に1年に1度行います。 

法定後見制度の手続き

法定後見制度を利用するにはどのような手続きをしたらよいのか、ご説明します。

1. 申し立ての予約をしましょう
家庭裁判所に対して申し立ての予約をします。電話もしくは郵送で行うところがありますので、事前に確認しましょう。

2. 申し立てをしましょう
お住まいの地域の家庭裁判所にて申し立てを行います。申し立ては本人のほかに配偶者、四親等内の親族などができます。

3. 面接を受けましょう
家庭裁判所が関係者に事情を聴きます。面接に必要な書類は事前用意しておきましょう。また面接には本人、申し立て人、後見人候補などが出席する必要があります。医師による精神鑑定などの鑑定をする場合があります。その場合は別途、鑑定料がかかります。

4. 家庭裁判所による審判が行われます
主に後見人が必要かどうか、誰を後見人にするのかの2点を中心に協議されます。 

5. 審判の告知と通知
裁判所から審判書が送られます。申立書に記載した成年後見人候補者がそのまま選任されることが多くあります。しかし家庭裁判所の判断により弁護士・司法書士などが選任される場合もあります。不服の場合は2週間以内に不服申し立てを行います。ご本人、配偶者、四親等内の親族のみが可能です。承認の場合は後見開始の審判が確定し、正式に後見人となります。手続きは自治体により異なる場合があります。詳しくは自治体のホームページをご確認ください。

法定後見制度の手続きに必要な書類

法定後見制度の手続きには、いくつかの資料を準備する必要があります。東京家庭裁判所を一例にご紹介します。

・申立書類
・戸籍謄本
・住民票(世帯全部、省略のないもの)
・登記されていないことの証明書
・診断書(成年後見用)、診断書付票
・知的障害の場合、療育手帳(愛の手帳・みどりの手帳・愛護手帳)のコピー
・総合判定の記載のあるページのコピーも必ず添付してください。

上記の資料を提出する際には個人番号(マイナンバー)の記載がない書類を提出することが求められます。

法定後見制度の申請にかかる費用

法定後見制度の申請には費用がかかります。

なお,手続費用については,申立人が負担することが原則ですが,この手続を 行うことが本人の保護となりその利益になると考えられることから,東京家庭裁 判所では,申立手数料,後見登記手数料,送達・送付費用及び鑑定費用について, 本人負担とする裁判をする運用です。審判確定後,選任された後見人等に対し, 本人の財産の中から本人負担とされた手続費用の償還を求めることができます。
【手続費用】
・ 申立手数料(後見・保佐・補助共通) 800円 (代理権又は同意権の付与) 各800円
・ 登記手数料 2,600円
・ 送達・送付費用 3,200円又は4,100円
・ 鑑定費用 実費(通常は裁判所に予納した金額
(平成28年7月(電子版)成年後見申立ての手引 ~東京家庭裁判所に申立てをする方のために 東京家庭裁判所
東京家庭裁判所立川支部)

出典:http://goo.gl/DR5Lcx
鑑定を要する場合は別途、鑑定費用が5~10万円かかります。また申立てを弁護士や司法書士に依頼する場合、費用は自己負担となり別途お金がかかります。依頼する専門家により報酬は異なるので確認しましょう。

法定後見制度に対する報酬

本人の財産や事情などに基づき、適当な額を家庭裁判所が決定し、本人の財産の中から報酬を受け取ることができます。申し立てがある場合は審判で決定されます。

任意後見制度とは?

任意後見制度とは、本人十分な判断能力があるうちに、判断能力が不十分な状態になったときに備えて、あらかじめ自らが選んだ代理人、公証人または任意後見人に代理権を譲渡し、契約を定める制度をいいます。これにより本人の意思に基づいて財産管理や支援を行うことができます。

公証人の作成する公正証書によって契約を結びます。本人の判断能力が低下したら家庭裁判所に申し立てを行い、家庭裁判所が任意後見監督人を選任することで初めて効力が発生します。任意後見監督人のもと、任意後見人は本人を代理して契約などを行います。

任意後見人・任意後見監督人とは

任意後見人とは、本人に判断能力があるうちに、契約内容をあらかじめ取り決めてお願いする人物をいいます。近い将来に判断能力が低下した時のことが不安な方におすすめです。

任意後見監督人とは、任意後見人を監督する人物をいいます。任意後見人は大きな権限を与えられるため、成年後見制を悪用してしまう可能性が少なからずあります。そのため、任意後見人をチェックするという意味で任意後見監督人がいます。

任意後見人・任意後見監督人は誰がなれるのか

任意後見人には特に法律的な資格は要求されず、誰でもなることができます。家族、友人、弁護士、司法書士等の専門家など信頼できる人を選びましょう。ただし、任意後見人には大きな権限が与えられるので慎重に選びましょう。

それに対し、任意後見監督人は家庭裁判所が選任します。一般的に、第3者である弁護士や司法書士、社会福祉士、税理士や法律、福祉に関わる法人などが選ばれることが多くなっています。

任意後見制度の3つのかたち

任意後見制度の利用は本人の判断能力の状況により、3つのかたちにわけることができます。判断能力の増減に応じて支援内容を変更することができます。

■将来型
現在は元気で判断能力があることから、将来判断能力が不十分になったときに効力を発生させます

■即効型
現在、体力・判断能力ともに衰えがあることから、任意後見契約の直後に契約の効力を発生させます

■移行型
現在は体力の衰えがあるが判断能力はあることから、できる範囲は自分で管理を行います。しかし自己の判断能力の低下後は、任意後見監督人の監督の下で任意後見人に事務処理を行ってもらいます。

任意後見制度の手続き

任意後見制度の手続きをご紹介します。お住まいの自治体により手続きが異なることがあります。詳しくは自治体のホームページをご確認ください。

1. 公正証書での任意後見契約の締結をします
本人の判断能力が十分にあるうちに任意後見人と具体的な支援内容を話し合い、公正証書という文書の形で契約を締結します。

2. 任意後見契約内容の登記
契約内容は法務局で登記されます。その内容は法務局にて後見登記記事証明書で確認できます。

3. 家庭裁判所への任意後見監督の選任申し立て
本人の判断能力が低下したら、本人は家庭裁判所に申し立てを行います。申し立ては本人(任意後見契約の本人)もしくは配偶者、四親等内の親族、任意後見受任者ができます。これにより、家庭裁判所が任意後見監督人の選任を行います。そして任意後見制度の効力が発生し、あらかじめ決められた契約内容に基づき任意後見監督人の監督のもと支援が開始されます。

任意後見制度の手続きに必要な書類

任意後見制度の手続きには、いくつかの資料を準備する必要があります。東京家庭裁判所を一例にご紹介します。

・申立書類
・戸籍謄本
・住民票(世帯全部,省略のないもの)
・後見登記事項証明書(任意後見)
・後見登記されていないことの証明書
・任意後見契約公正証書の写し
・診断書(成年後見用)

任意後見制度にかかる費用

■任意後見制度の申請
任意後見制度の申請には主に次のような費用がかかります。
・公証役場の手数料
・法務局に収める印紙代
・法務局への登記委託料
・郵送費
・正本、謄本の作成手数料など

■効力が発生するとき及び効力が発生したあと
効力が発生したとき及び効力が発生したあとには主に次のような費用がかかります。
・任意後見監督人の選任申立て費用
・任意後見契約で定めた、任意後見人に対する報酬
・任意後見監督人の報酬

任意後見制度は必ず公証人役場で公正証書を作成する必要があります。公正証書を作成する費用は以下のとおりです。
 (1)公正証書作成の基本手数料⇒1万1,000円
 (2)登記嘱託手数料⇒1,400円
 (3)登記所に納付する印紙代⇒2,600円
この他にも当事者に交付する正本等の証書代や登記嘱託書郵送代がかかりますが、詳しくは公証人役場に聞いてみるのがよいでしょう。
(成年後見制度の手続きの流れ | 成年後見制度完全マニュアル)

出典:http://www.seinen-kouken.net/2_nini/

任意後見人・任意後見監督人に対する報酬

任意後見人に対する報酬は本人との話し合いで自由に報酬を決められます。請求があった場合、家庭裁判所の判断に基づき本人の財産から支払われます。任意後見監督人に対する報酬は家庭裁判所が決定します。

弁護士もしくは司法書士などに依頼することができます

成年後見制度は大変複雑で、必要な書類を集めるだけでも一苦労です。そこで弁護士もしくは司法書士に成年後見制度の手続きを依頼することにより、提出書類の作成にかかる時間と手間を大幅に節約することができます。また専門家に相談することができ、本人の状況にあった支援内容を決めることができます。

弁護士は本人に代わって申請を進めることができます。他方、司法書士は制度や申立手続きの相談などをおこなうことができます。目的に応じてどちらにお願いするか判断するとよいでしょう。依頼先により報酬は異なりますので、事前によく確認することが求められます。

成年後見制度のメリット・デメリット

これまで成年後見制度を法定後見制度と任意後見制度の2つにわけ、それぞれの制度の内容や手続きの流れをご紹介しました。では、成年後見制度を使うと、本人には具体的にどんなメリットやデメリットがあるのかご紹介します。

成年後見制度のメリット

■悪徳商法の被害を防止
判断力不足により結んでしまった不利・不当な契約を、一方的に取り消すことができます。これにより悪質商法などの被害を防ぐことができます。

■財産管理
家庭裁判所が財産管理に関与する、親族や第三者などが本人の意思に反して本人の財産を使っている場合、それらを防ぐことができます。

成年後見制度のデメリット

■財産管理の自由度の限定
後見人が本人の代わりに財産管理をするため、本人が管理する自由度が減ります。

■資格・役職の制限
成年後見制度を利用すると判断能力がないと判断されることから、本人は会社の社長・役員や弁護士、医者など一部の資格を必要とする仕事に就くことができません(法定後見人の補助を除く)。また選挙権・被選挙権、会社の役員などに就くことができず、また印鑑登録ができなくなります。

■財産の移転や相続に関わる行為の制限
成年後見制度を利用すると、生前贈与や生命保険契約、養子縁組といった行為に制限がかかります。

・生前贈与
成年後見制度を利用すると、財産の移転は本人の財産を減らすことを意味するため、認められていません。財産の移動は家庭裁判所に定期的に報告し、そこで家庭裁判所の監督を受けます。

・生命保険契約
遺産相続が発生すると、場合によっては多額の相続税を納める必要があります。しかし、いきなり多額のお金を準備するのはたやすいことではありません。そうしたとき、亡くなった直後すぐに死亡保険金を現金で受け取ることのできる権利が生じる生命保険契約を活用することでスムーズに対応することができます。ただ成年後見制度を利用すると、生前贈与と同様に財産の移転は本人の財産を減らすことに当たり、生命保険契約は認められない可能性が高いです。

・養子縁組
養子縁組により相続税の基礎控除額の基礎控除枠を増やすことができます。しかし成年後見制度を利用すると、本人の意思を尊重することや家庭裁判所の監督がある点から、養子縁組での相続税対策はすることができません。

■投資・貸し付けの禁止
投資や親族に貸し付けるのは禁止されます。援助や冠婚葬祭費の利用を行う場合は家庭裁判所に相談しましょう。また住宅用不動産を処分する場合も同様です。

後見人になったら気をつけたいポイント

成年後見人になるとき、いくつか気をつけたいことがあります。「財産の不正利用」と「成年後見制度が続く期間」、「成年後見人の解除方法」の3点をご説明します。

■財産の不正利用
万が一不正に財産を利用した場合は、民事上の責任として解任されます。さらに刑事上の責任として損害賠償請求・業務上の横領の罪に問われます。

■成年後見制度が続く期間
成年後見制度は原則的に判断能力が回復するもしくは、亡くなるまで続きます。なので後見人の業務が場合により長期間に及ぶことがあるので、後見人の仕事を長い間続けることができるか確認することが必要です。

■成年後見人の解除方法
不正な行為がある場合や後見人としての品位に欠けると判断される場合などは、本人の親族、検察官の申立てまたは職権により後見人を解除することができます。しかし後見人が気に入らないからといって簡単に解除できるわけではありません。解任後は家庭裁判所が新たな後見人を選任することになります。

■後見人が遺産の相続をする場合
後見人自身も遺産相続人である場合は、家庭裁判所で特別代理人を選定する必要があります。

成年後見制度がよく分かる、おすすめ書籍

これまで成年後見制度の目的や支援内容などを紹介してきましたが、さらに詳しい情報が必要な方は次のような書籍をおすすめします。

まとめ

障害者や高齢者といった判断能力の乏しい人の法律行為や契約をサポートするのが成年後見制度です。悪質商法から本人を守ったり、不利益になる契約を締結してしまうリスクがなくなります。

その一方サポートが長期間に及ぶことや定期的に家庭裁判所に報告することを考えると、後見人への負担は少なくありません。本人と相談し、必要性の有無を話し合いのうえ申請しましょう。”何かあったとき”のために、成年後見制度の利用を考えてはいかがでしょうか。
障害のある子の家族が知っておきたい「親なきあと」
渡部 伸 (著)
主婦の友社
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