大人のLD・SLD(限局性学習症)、仕事での困りごとや対処法まとめ【専門家監修】

ライター:発達障害のキホン

LD・SLD(限局性学習症)に関する情報が広く知られるようになったことで、大人になってからLD・SLD(限局性学習症)と診断される人は近年増えています。仕事上の困難が、実はLD・SLD(限局性学習症)の症状によるものだったという例も少なくありません。LD・SLD(限局性学習症)の大人が仕事で直面する困りごとや、それらに対する対処法などをまとめました。

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監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。
目次

LD・SLD(限局性学習症)がある人の中で働いている人はどのくらいいるの?

LD・SLD(限局性学習症)は、学習における技能に困難さがみられる発達障害の一つです。読字不全を伴う場合(ディレクシア)、書字表出不全を伴う場合(ディスグラフィア)、算数不全を伴う場合(ディスカリキュリア)など大きく3つの分類があります。これらの困難が、知的障害(知的発達症)によるものでないこと、経済的・環境的な要因によるものでないこと、神経疾患や視覚・聴覚の障害によるものではないこと、学習における面のみでの困難であること、という場合に限り診断されます。

※学習障害は現在、「SLD(限局性学習症)」という診断名となっていますが、最新版DSM-5-TR以前の診断名である「LD(学習障害)」といわれることが多くあるため、ここでは「LD・SLD(限局性学習症)」と表記します。


LD・SLD(限局性学習症)のある人の就職率として、はっきりとした数字は出ていませんが、2005年に行われた厚生労働省のアンケート結果では知的障害(知的発達症)を伴わない発達障害のある人の中で、通常学級に進学した人の割合が最も多いことが分かっています。
また平成30年度障害者雇用実態調査によると、従業員規模5人以上の事業所に雇用されている発達障害がある人の数は推計3万9,000人であることが分かりました。

これらのことから、LD・SLD(限局性学習症)のある人の中には社会に出て働いている人もたくさんいることが予想されます。
厚生労働省「発達障害のある人の就労の現状と課題 障害者権利条約への対応に向けて」
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/09/dl/s0924-11c.pdf
厚生労働省「平成30年度障害者雇用実態調査」
https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/000521376.pdf

大人のLD・SLD(限局性学習症)、いつ診断された? きっかけは?

LD・SLD(限局性学習症)は今でこそ知っている人が増えてきている障害ですが、昔はそうではありませんでした。

知的発達に遅れが見られないため気付かれにくく、LD・SLD(限局性学習症)があると認識されないまま大学へ進学したり、就職したりすることもありました。LD・SLD(限局性学習症)の症状は「勉強が苦手」「やる気がない」などとひとくくりにされ、大人になって初めて発達障害だったと気づいた人も少なくないのです。

LD・SLD(限局性学習症)の特性が活かしやすい仕事、苦手な傾向にある仕事は?

LD・SLD(限局性学習症)は、能力の凸凹や特性の偏りが多く、苦手なことにかなり個人差がある障害です。そのため、得意な仕事、苦手な仕事も人によってさまざまであるといえます。
一概にはいえませんが、苦手な業務が多い仕事内容だと、困難な場面も増え、ストレスを感じることも多くなるかもしれません。一方、苦手な作業を別の手段で代替できたり、職場の理解や協力があれば乗り越えられる可能性も大いにあります。

たとえば、算数不全(ディスカリキュリア)がある人の場合、多くの計算が必要な仕事は苦手かもしれませんが、計算機を使用することで解決できる場合もあります。また、暗算が苦手な場合、同じ小売業でも、お釣りを計算しなければいけないお店の会計業務は困難に感じるかもしれませんが、バーコードを読み取るだけのレジであれば、問題ないこともあるでしょう。

また、書字表出不全(ディスグラフィア)のある人は、文字を書く業務が苦手かもしれませんが、パソコンでタイプしてプリントすれば解決できることもあります。読字不全(ディスレクシア)のある人も、音声読み上げソフトを使用したり、録音したりすることで困難が解消できることもあります。

テクノロジーや支援ツールを用いて手段を工夫することでうまくいくこともあるので、「この仕事は無理」と決めつけてしまう前に検討するのがよいでしょう。

実際に、障害特性を乗り越えて作家、映画監督、発明家、俳優などさまざまな分野で活躍している人もいます。障害特性と向き合いつつも、自分が希望する仕事に目を向ける、という進路も選択肢の一つかもしれません。
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ディスレクシア(読字不全)とは?症状の特徴や生活での困りごとは?

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