トゥレット症候群とは?症状や治療法、併存しやすい発達障害まで解説【専門家監修】
ライター:医師・専門家監修|発達障害・支援のキホン
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トゥレット症候群とは、児童期から青年期にみられるチック症の一種です。本人とその周囲の人たちが障害に気づかず、日常生活を送る上で困難があることが少なくありません。トゥレット症候群を適切に理解し、支援を行っていくために必要な情報をご紹介していきます。
監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
トゥレット症候群とは?
この記事で分かること
- トゥレット症候群の診断基準:運動チックと音声チックが1年以上続く特徴と、発症(4〜6歳)からピーク(10〜12歳)までの経過
- 原因とされる脳内のドーパミン神経受容体などの異常、および不安や疲労による悪化要因
- ADHD(注意欠如多動症)や強迫性障害を併存しやすい理由と、学習や生活に支障をきたす「二次障害」への注意
- 心理教育・環境調整を軸に、薬物療法や日本でも注目される「習慣逆転法(行動療法)」の概要
- 専門機関(児童精神科・発達障害支援センター等)への相談タイミングと、「心理教育」の重要性
トゥレット症は、チック症群の一つです。チックとは、突然、速く、反復的に繰り返される運動や発声のことをいいます。まばたき、肩すくめ、手足の曲げ伸ばしなど身体の動きのチックを「運動チック」、咳払い、鼻ならし、うなりなどの発声に関するチックを「音声チック」といいます。いくつかの運動チックと1つ以上の音声チックが同時(または症状のある同時期)にあらわれる症状が1年以上続いており、その症状が18歳以前に発症している、物質の生理的作用やほかの疾患が原因ではない場合に「トゥレット症」と診断されます。
トゥレット症候群の推定有病率は学童期の子どもで1000人あたり3~8人の範囲とされています。
トゥレット症候群の推定有病率は学童期の子どもで1000人あたり3~8人の範囲とされています。
チック症について詳しくは次の記事をご覧ください。
【専門家監修】まばたき・咳払い、癖かチック症か?見分け方・原因・治療法を解説
トゥレット症候群の症状経過
トゥレット症候群は、平均的に4~6歳で発症し、10~12歳くらいに重症度のピークがきます。
まず初期の段階で、まばたきや首ふり、顔をしかめるといった「単純運動チック」が始まることがあります。そしてしばらく経つと、物に触る・蹴る、飛び上がるなどの「複雑運動チック」、不謹慎な言葉を唐突に言ってしまうなどの「複雑音声チック」へと進行していく場合があります。その後、一般的には青年期の間に症状は軽減するといわれています。
まず初期の段階で、まばたきや首ふり、顔をしかめるといった「単純運動チック」が始まることがあります。そしてしばらく経つと、物に触る・蹴る、飛び上がるなどの「複雑運動チック」、不謹慎な言葉を唐突に言ってしまうなどの「複雑音声チック」へと進行していく場合があります。その後、一般的には青年期の間に症状は軽減するといわれています。
トゥレット症候群の主な原因と悪化要因
トゥレット症候群の原因
トゥレット症候群の正確な原因はまだ分かっていませんが、家系発症が比較的多いことや双生児研究の結果から遺伝的要因の関連性が指摘されています。
また、情動、注意、意欲、報償、依存、歩行運動などをつかさどる、大脳基底核のドーパミン神経受容体の異常が関連しているともいわれています。
また、情動、注意、意欲、報償、依存、歩行運動などをつかさどる、大脳基底核のドーパミン神経受容体の異常が関連しているともいわれています。
トゥレット症候群の悪化要因
トゥレット症候群の症状を悪化させる要因は環境要因、気質要因、そのほかの要因の3つに分けることができます。
■環境要因
チックの症状は、不安、興奮、強い疲労によって悪化し、落ち着いて集中しているときは改善します。たとえば、テストを受ける、課外活動に参加するなどの、ストレスが多い出来事はしばしば症状を悪化させる一方、勉強や仕事に集中しているときは、症状を軽減させます。
■気質要因
対人関係が不器用、不安やストレスを感じやすい、緊張を感じやすいなど、デリケートな気質の子どもがトゥレット症候群を発症しやすいといわれています。
■そのほかの要因
併存したADHD(注意欠如多動症)の症状緩和のために使用される中枢刺激薬などが、トゥレット症候群の症状を促進することがあります。また、結膜炎を生じた際の目のかゆみでまばたきをしていたのが癖になったケースや、テレビの見過ぎによる目の疲れが原因となったケースもあります。
■環境要因
チックの症状は、不安、興奮、強い疲労によって悪化し、落ち着いて集中しているときは改善します。たとえば、テストを受ける、課外活動に参加するなどの、ストレスが多い出来事はしばしば症状を悪化させる一方、勉強や仕事に集中しているときは、症状を軽減させます。
■気質要因
対人関係が不器用、不安やストレスを感じやすい、緊張を感じやすいなど、デリケートな気質の子どもがトゥレット症候群を発症しやすいといわれています。
■そのほかの要因
併存したADHD(注意欠如多動症)の症状緩和のために使用される中枢刺激薬などが、トゥレット症候群の症状を促進することがあります。また、結膜炎を生じた際の目のかゆみでまばたきをしていたのが癖になったケースや、テレビの見過ぎによる目の疲れが原因となったケースもあります。
トゥレット症候群によく見られる合併症
トゥレット症候群のある人は、ほかの障害が併存することが少なくありません。代表的なものとして、ADHD(注意欠如多動症)と強迫性障害の2つが挙げられます。
これらが合併症として現れる理由は、トゥレット症候群、ADHD(注意欠如多動症)、強迫性障害(強迫症)がいずれも、ド-パミン系やセロトニン系などの脳内神経伝達物質の機能不全に起因するためであると推測することができます。
そのほか、LD・SLD(限局性学習症)、睡眠障害、抑うつ症、双極性障害(双極症)、自傷行為などが併存することがあります。これらは、日常生活においてチックが現れることへの不安や、チック症状そのものが学習活動や仕事をするうえでの支障となることで生じる二次障害であると考えられます。
これらが合併症として現れる理由は、トゥレット症候群、ADHD(注意欠如多動症)、強迫性障害(強迫症)がいずれも、ド-パミン系やセロトニン系などの脳内神経伝達物質の機能不全に起因するためであると推測することができます。
そのほか、LD・SLD(限局性学習症)、睡眠障害、抑うつ症、双極性障害(双極症)、自傷行為などが併存することがあります。これらは、日常生活においてチックが現れることへの不安や、チック症状そのものが学習活動や仕事をするうえでの支障となることで生じる二次障害であると考えられます。
ADHD(注意欠如多動症)、強迫性障害(強迫症)について、詳しくはこちらをご覧ください。
【専門家監修】ADHD(注意欠如多動症)の3つのタイプとは?「不注意」「多動・衝動性」「混合」それぞれの特徴を解説
強迫性障害(強迫症)とは?症状や原因、治療法、相談先、周囲の対応も解説
トゥレット症候群の治療方法
トゥレット症候群の基本的な治療方針は、トゥレット症候群を除去することを目的としていません。トゥレット症候群や合併症があっても本人が社会に適応できるようにしたり、周囲の環境を整備して症状や困難を緩和するという考えに基づいて、治療が行われています。
そのため、本人や周囲への心理教育や環境調整などの治療法を基本としつつ、チック症や併存症の症状に合わせて、認知行動療法や薬物療法などの治療法がとられることが多いのです。
そのため、本人や周囲への心理教育や環境調整などの治療法を基本としつつ、チック症や併存症の症状に合わせて、認知行動療法や薬物療法などの治療法がとられることが多いのです。
心理教育および環境調整
比較的軽度の症状であれば、家族や学校など周囲の理解を得ることで、通常通りに生活することができます。
心理教育および環境調整とは、患者の家族や学校に対して適切な支援を行うための情報提供やアドバイスを行うことで、社会適応できるようにサポートしていける環境を整備することです。
心理教育および環境調整とは、患者の家族や学校に対して適切な支援を行うための情報提供やアドバイスを行うことで、社会適応できるようにサポートしていける環境を整備することです。
行動療法
重症・慢性化した症状の場合、習慣逆転法(ハビット・リバーサル)という行動療法がとられることがあります。
習慣逆転法(ハビット・リバーサル)とは、意識化練習、拮抗反応の学習、リラクゼーション練習、偶然性の管理、汎化練習の5つのステップを用いた治療法のことで、これらを習得することで症状が改善されるというものです。
ただし、現在のところ日本ではあまり普及しておらず、一般的な治療法ではありません。
習慣逆転法(ハビット・リバーサル)とは、意識化練習、拮抗反応の学習、リラクゼーション練習、偶然性の管理、汎化練習の5つのステップを用いた治療法のことで、これらを習得することで症状が改善されるというものです。
ただし、現在のところ日本ではあまり普及しておらず、一般的な治療法ではありません。
薬物療法
上記の療法では解決できない場合、薬物療法が行われることもあります。併存症も含めて、どの症状に的を絞るのか、副作用の程度などを考慮して選択されます。ドーパミンの過剰な働きを抑制するハロペリドールのほか、リスペリドン、クロルプロマジン、アリピプラゾールなどが用いられます。
薬は人によって合う・合わないもありますので、主治医と相談し、指示のもと用法用量を守って治療を進める必要があります。
薬は人によって合う・合わないもありますので、主治医と相談し、指示のもと用法用量を守って治療を進める必要があります。
外科治療
以上に示したいずれの方法でも治療できない場合は、外科治療が施されることもあります。大脳基底核に電極を埋め込んで持続的に刺激を与える、深部脳刺激療法という手術が行われます。
トゥレット症候群の診療・相談先
幼児期・乳幼児期に発症した場合は、小児診療内科・児童精神科などで診療できます。大人の場合は、精神科や神経内科、心療内科などが適切です。そのほか相談先には、市区町村窓口、保健所、精神保健福祉センター、発達障害支援センターなどがあります。
トゥレット症候群には、周囲の理解とサポートが不可欠
トゥレット症候群はあまり知られていない精神・神経疾患で、悪い癖やしつけが足りないなどと周囲から誤解されることが少なくありません。
そのため、本人だけでなく周囲の人たちがチック症を正しく理解し、適切な対応や望ましい接し方を身につけることが求められます。病気について学び、正しい対応法などを学ぶことを心理教育といいます。保護者や周囲に対するトゥレット症候群における心理教育は次のようになります。
そのため、本人だけでなく周囲の人たちがチック症を正しく理解し、適切な対応や望ましい接し方を身につけることが求められます。病気について学び、正しい対応法などを学ぶことを心理教育といいます。保護者や周囲に対するトゥレット症候群における心理教育は次のようになります。
・チックは運動を調整する脳機能の特性やなりやすさが基盤にあり、親の育て方や本人の性格に問題があって起こるの
ではない。
・チックの変動性や経過の特徴を理解し、些細な変化で一喜一憂しない。
・チックを悪化させるかもしれない状況があれば、その対応を検討する。
・チックを本人の特徴の一つとして受容する。
・チックのみにとらわれずに、長所も含めた本人全体を考えて対応する。
・チックや併発症及びそれに伴う困難を抱えつつも本人ができそうな目標を立て、それに向かって努力することを勧める。
(トゥレット障害を含むチック障害 発達障害者支援関係報告会 金生由紀子)
また、小学生以上でトゥレット症候群のある人が生活する上で生じる困難に対する理解をサポートする教材として、次のようなものがあります。心理教育を通してトゥレット症候群に対する理解を深めましょう。
まとめ
もしトゥレット症候群の症状が見られたら、まずは専門機関での相談・受診をおすすめします。早期から適切な支援を行うためには、自分たちの判断ではなく、専門家に相談するのが一番です。
仮にトゥレット症候群ではないと診断された場合でも、困難を乗り越えるためのさまざまなアドバイスをしてもらえることが多いので、一度相談してみることをおすすめします。
仮にトゥレット症候群ではないと診断された場合でも、困難を乗り越えるためのさまざまなアドバイスをしてもらえることが多いので、一度相談してみることをおすすめします。
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