チック症とは?癖のように見えるチック症状の見分け方と治療法は?

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まだたきや咳払いが特徴的なチック症。一見癖のように見え、おかあさんは精神障害と気づきづらいことが多くあります。単なる癖なのか、チック症か一緒に考えていきましょう。

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目次 チック症とは チック症の主な症状 チック症の4つの診断分類とその基準 チック症を引き起こす要因 チック症によく見られる合併症 チック症の治療 チック症の体験談 子どものチックが気になるとき、保護者の方に意識してほしいこと チック症には、周囲の理解とサポートが不可欠

チック症とは

チック症とは、まばたきや首振りなど一見癖のように見える行為が現れる精神疾患です。

2013年に出版されたアメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患のための診断と統計のマニュアル』第5版)においては、チック症群/チック障害群という疾患分類に位置づけられます。

本記事では疾患の呼称をチック症と統一して説明していきたいと思います。『DSM-5』では、チックは以下のように定義されています。

チックは, 突発的, 急速, 繰り返される不規則な運動もしくは発声(例:瞬目, 咳払い)である.(DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル 日本精神神経学会 医学書院 p239)

出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4260019074
チック症は心の動きと関係があると考えられており、決して稀な疾患ではありません。

一般には幼児期(3~4歳)から始まり、学童期(7~8歳)に特に多く症状がみられます。しかしこれは、大人になるにつれて自然に治癒する傾向があります。

チック症の主な症状

チック症の症状は、動作の種類と動作の持続時間により、4つのグループに分けることができます。

まず、生じる動作の種類によって音声チック・運動チックに分けられ、さらに、その動作の持続時間によって単純性チック・複雑性チックと分類されます。

チック症の症状分類方法と具体例を一覧表にまとめたのが、下の図になります。一つひとつ、具体例とともに見ていきましょう。
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チック症の症状、4つの分類
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動作の種類

音声チック
音声チックの症状としては、咳払いがもっとも多くみられます。他には、単純な音声や複雑な発声、汚言、卑猥な言葉などがあります。

咳払いは日常よくみられるものであるため、周囲の人もさほど気にかけないことが多いです。他方、「あー」といった甲高い奇声や汚言は、周囲の注目をより集めやすい症状となります。本人が周りの目を気にして登校を渋ったり、外出を控えることも少なくありません。

運動チック
運動チックとは一見すると癖に見える、まばたきや肩すくめなどの身体の動きのことを言います。

例えば、まばたきは日常動作でみられるものであり、多少まばたきが多くても周囲の人間はあまり気にしません。しかし顔や肩の動きといった目立ちやすいチックでは、周囲も本人も気にしやすいと言えるでしょう。また、手のチックなどでは、字を書くのが困難になるなど、日常生活に支障をきたすことがあります。

動作の持続時間

単純チック
一般に瞬間的(1秒未満のことが多い)に発生し、明らかに無意味かつ突然起こるものです。

複雑チック
単純チックに比べて動きが少し遅く、意味があったり周囲の環境に反応しておこるように見えるものです。

チック症の4つの診断分類とその基準

2013年に出版されたアメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患のための診断と統計のマニュアル』第5版)の診断基準を参考にすると、チック症の診断は以下の5つに分けることができます。

①トゥレット症/トゥレット障害
②持続性(慢性)運動または音声チック症/持続性(慢性)運動または音声チック障害
③暫定的チック症/暫定的チック障害
④他の特定されるおよび特定不能のチック症群

上記の診断分類によらず、4つすべてに共通する診断基準が3点あります。
・発症が18歳以前であること
・物質の生理学的作用(例:コカイン)または他の医学的疾患(例:ハンチントン病、ウイルス性脳炎)によるものではないこと
・一度ある階層レベルのチック症と診断されると、それより下位の階層の診断がなされることはないこと

⑤特定不能のチック症/特定不能のチック障害

続いて、診断分類ごとの症状と基準を見ていきましょう。

①トゥレット症/トゥレット障害

以下の基準に当てはまる場合は、トゥレット症/トゥレット障害と診断されます。

・多様な運動チック、1つ以上の運動チックの両方が同時とは限りませんが、症状のある時期に存在する
・チックの頻度は増減することがある
・最初にチックが始まってから一年以上持続している

②持続性(慢性)運動または音声チック症/持続性(慢性)運動または音声チック障害

以下の基準に当てはまる場合は、持続性(慢性)運動または音声チック症/持続性(慢性)運動または音声チック障害と診断されます。

・①にあてはまらない
・1種類または多様な運動チック、または音声チックが同時に存在したことがある
・運動チックと音声チックの両者がともにみられることはない
・チックの頻度の増減することある
・最初にチックが始まってから一年以上は持続している
 ※該当する場合、運動チックのみ・音声チックのどちらかかを特定する必要がある

③暫定的チック症/暫定的チック障害

以下の基準に当てはまる場合は、暫定的チック症/暫定的チック障害と診断されます。

・①②にあてはまらない
・1種類または多様な運動チック、または音声チックが病期に存在したことがある
・運動チックと音声チェックの両者がともにみられることはない
・チックの持続は最初にチックが始まってから一年未満である

④他の特定されるおよび特定不能のチック症群

チック症に特徴的な症状はありますが、チック症または精神発達症の診断分類の中で、どの疾患の基準にも当てはまらない場合はこちらに分類されます。

・他の特定されるチック症:
臨床家が、チック症または特定の神経発達症の基準を満たさないという特定の理由を伝えることを選択する場合

・特定不能のチック症:
臨床家が、チック症または特定の神経発達症の基準を満たさないとする理由を特定しない場合、およびより特定の診断を下すのに十分な情報がない場合

⑤特定不能のチック症/特定不能のチック障害

特定不能のチック症/特定不能のチック障害はチック症と考えられますが、チック症または神経発達症の診断基準をいずれも満たさない場合に診断されます。

特定不能のチック症カテゴリーは,臨床家が,チック症または特定の神経発達症の基準を見たないとする理由を特定しないことを選択する場合,およびより特定の診断を下すのに十分な情報がない状況において使用される。(『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』日本精神神経学会 (監修))

出典:https://www.amazon.co.jp/dp/4260019074
以下の表は、チック症の診断分類とその基準を簡潔にまとめたものです。
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チック症の診断分類と基準まとめ
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チック症を引き起こす要因

チック症の要因は、世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)によると以下のように推定されていますが、厳密には特定されていません。ただし少なくとも、身体的要因と環境的要因の両方が影響していることが分かっています。

病因に関しては、トゥレット症候群を中心とした研究から慢性チックは遺伝的要因と環境要因とが合わさって関与しているという理解が形成されてきた。遺伝的要因としては双生児研究や家族研究からトゥレット症候群に家族集積性が指摘された。また環境要因としては胎生期や周産期の障害の関与が関係されてきている。最近注目されているものとしては溶連菌感染症の自己免疫疾患(pediatric autoimmune neuropsychiatric disorders associated with streptococcal infections: PANDAS)という概念も存在するが、チック障害のすべてをそれだけで説明することは難しいようである。(『ICD-10精神科診断ガイドブック』 中根允文・ 山内俊雄、医学書院)

出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4521737056

身体的要因

遺伝的要因と生理学的要因は、チック症の出現率と重症度に深くかかわっています。例えば、低出生体重妊娠中の母親の喫煙との関連が挙げられます。

環境要因

不安や興奮、激しい疲労によりチック症は悪化し、落ち着いて集中しているような環境では症状が安定する傾向があります。そのためストレスがかかる条件下ではチック症が起こりやすいといえます。

チック症によく見られる合併症

チック症のある人は、他の障害も合併していることが少なくありません。

代表的なものとして、ADHD(注意欠陥・多動性障害)と強迫性障害が挙げられます。

チックに関連した疾患の中でも、多彩な運動性チックと音声チック、および特異な性格傾向を示すトゥレット症候群では、40%以上に注意欠陥・多動性障害(ADHD)を合併します。また学習障害を合併していることもあります。 鑑別診断としては意識がはっきりしていて、不随意運動をきたす様々な疾患が対象となります。すなわち舞踏(ぶとう)病、突発性ジスキネジア、部分てんかんなどです。

出典:http://www.dr-maedaclinic.jp/dp110.html

チック症の治療

チック症は、一般の小児科心療内科で診察・治療を受けることができます。上述した、『DSM-5』(米国精神医学会編集による『精神疾患のための診断と統計のマニュアル』第5版)の基準をもとに診断が下されることが一般的です。診断の後は、一人ひとりの症状にあった治療をすることが重要となります。

チック症の程度に応じた治療方針

軽度の場合:
できるだけ身体や心理的なストレスを減らす環境を整えましょう。遊戯(ゆうぎ)療法、行動療法・認知行動療法などの心理療法、親へのカウンセリングが重要となります。

重度の場合:
薬物療法が有効となります。主としてハロペリドールやリスペリドンなどの向精神薬が挙げられます。症状が長期・慢性化し、多発・激症化などする場合は、お近くの子ども専用の精神科を受診しましょう。ただし副作用として、ふらつきが生じる場合があります。年少者に使用するときにはとくに注意が必要です。

チック症の発症時期に応じた受診先

初診の場合、かかりつけの小児科・神経内科・精神科の病院やクリニックが適しています。チック専門医の受診でなくても問題ありません。

年齢・症状の程度によって受診する科が異なりますので、以下を参考に診療科に選ぶことをおすすめします。

小児期 (0~15歳)の場合
症状が軽度な場合はかかりつけの小児科を受診しましょう。重度の症状が出現している場合もしくは、かかりつけの小児科での受診が難しい場合は診療情報提供書(紹介状)を作成してもらい、専門の病院を受診することをおすすめします。

青年期 (15~24歳)の場合
軽度・重度ともに、神経内科もしくは精神科を受診しましょう。

チック症の体験談

LITALICO発達ナビでは、チック症について次のような質問がよせられました。

弟はチック症でしょうか?

弟は20歳なのですが、舌打ちを急にしたり、人の嫌がる言葉を話したりします。
外でどのような態度かは分からないのですが、家の中では家族がいる目の前でも急に人が不快になるようなことを言ったりします。
また、口から出す音もかなり不快でとてもイライラします。
私から何か言うと全身をかきむしったりします。
これらの症状が気になって調べたところ、「チック症」というものを見つけました。
このような症状はチック症なのでしょうか?

出典:https://h-navi.jp/community/questions/25424
これに対して、投稿された回答の一つをご紹介します。

「人の嫌がる言葉」「口から出す音」「年齢が20歳」から、もしかしたら息子と同じトゥレットの可能性があるのかな?と思いコメントしています。一般的に言われるチックはストレスや疲労により、一過性で出ます。だから出たり消えたりです。トゥレットなら手足や顔面が動く「動作チック」と口から意味不明な音を出す「音声チック」が様々な形で、出てきます。その中でも「人の嫌がる言葉」は「汚言症」とも言われています。「動作チック」は私自身が見なければ(視界に入らなければ)やりすごせるのですが、「音声チック」は嫌でも耳に入ってくるので、少々つらい時期もありました。幸い「汚言症」はそんなにひどくはならなかったのでよかったのですが、ひどくなったらタルトさんのように辛かったと思います。今でも「ぐんぐん!」「あ~は~」など言いますが慣れたので気にならないし、外ではかなり抑えているようです。どちらにせよ、ストレスや疲れは症状を増幅させるので、ゆったりリラックスできたらいいですね。

出典:https://h-navi.jp/community/questions/25424
ストレスを減らし、疲れを減らすことで症状を軽減することができるようです。本人がストレスを感じず快適に過ごせる環境を見つけることで、より安定した生活を送ることができるでしょう。

子どものチックが気になるとき、保護者の方に意識してほしいこと

チック症の症状はまばたきや首振りなど一見癖のように見える行為も少なくありませんが、単なる癖ではない精神疾患であるため、無理やりおさえつけるのではなく、一人ひとりに合った治療や支援をおこなうことが重要です。

お子さんに、「チック症かな?」と思われる、気になる症状がある場合は、以下のような点に注意してお子さんと接してみてください。

・症状の出現をやめるよう、いたずらに叱責して注意を促すことは避けましょう。
・チック症をを引き起こす緊張状態や不安を軽減することで、症状を和らげることができます。
 - 全身発散など気を紛らわせることも有効です。
 - また長期的な取り組みとして、緊張や不安をもたらす場面に対する耐性や精神的抵抗力を高めることも有効です。
・本人の意識、理解:本人がどのように症状を認識しているのか確認し、年齢に応じて説明することが大切です。
・チック症かどうかが気になる場合は、ご家庭だけで判断せず早めに小児科や心療内科に相談しましょう。

チック症には、周囲の理解とサポートが不可欠

チック症の多くはごく稀に重症なチックが続いたり成人後に再発したりすることがありますが、一般的には一過性の精神疾患であり、成人期初めまでに症状が改善することが大半です。

チック症は癖や悪ふざけと誤解され、つらい経験をされる方も多くいらっしゃいます。そのためチック症のある方が日常生活を円滑に行えるようになるためには、本人はもちろん周囲も正しい理解を身につけ、なによりも周囲の協力を得ることが不可欠です。家族および周囲の人に症状を説明し、理解を求めましょう。また症状が長期化・悪化する場合には抱え込まず、小児科や精神科などの医療機関を受診しましょう
チックをする子にはわけがある―トゥレット症候群の正しい理解と対応のために
日本トゥレット協会 (編集)
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監修: 井上 雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
応用行動分析学
自閉症支援士エキスパート
LITALICO研究所 所長 (アドバイザー)
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氷砂糖 さん
2016/12/25 09:48
私はきっとトゥレット症だと思います。
小さな頃から 同じ症状に悩みましたが、どうしても 自分の力だけでは止める事ができませんでした。
今は結婚し、子供もいてだいぶ良くはなりました。
きっと主人が私の一番の理解者なんだと思います。
子供のころから大学生まで、症状が出る度に母親から 激しく叱責されました。
『この キチガイが!』
と言われた事が今でも心に刺さっています。
発達しょうがいの理解が今くらい 世の中に理解されていれば、母親が世間体を気にせずもっと 理解してくれていれば、、今となっては何を考えても仕方ないですが。
母親とは仲良くしていますが、あの頃の事が胸につかえたままです。

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