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どうにもならない・・・衝動性の強いお子様との関わり

TOTOFULLからのおはなし
よく「衝動性が強い」なんて言い方聞いたりすると思うのですが、わかりやすく言うと、「自分の思いが止められない、我慢できなくなる、イライラしてしまう」という事です。

発達でこぼこのお子様で、このような衝動性が強くて、どう接してあげればよいかと困っていませんか?

思いを受け止めてあげたいけれど、全部が全部通してあげるわけにはいかないことだってありますよね!それに、成長するにつれて、関わる人も環境も広がっていく中で、思い通りにならない事が増えていきます。なので、いつまでも思いを聞いてあげる接し方だけでは、お子様自身が困る事になってしまいます。

今回は、衝動性の強いお子様との関わりと成長を例にあげたいと思います。

☆気になる兆候

1歳児の時に担当し、3歳児でまた担任を持ったMちゃん。

実は1歳児の時からぼんやりのんびりとした性格であり、決まって私の膝に座りに来る体幹も弱いお子様でした。1つだけ・・・食事の時だけすごい勢いで食べ、食べても食べても満足できず給食が無くなってしまうと他のお友だちの食べ物を見ながらもぐもぐと口を動かしていました。気にはなりながらも家庭環境にもいろいろと問題もあったお子様なので、2歳児クラスになるとまた成長が見られるだろうと思っていました。3歳児のMちゃんは、おしゃべりもよくするようになっていました。しかし、上を見ながら脈略のない話をただ独り言のように話していました。

☆衝動的な思いが・・・

幼児クラスになり、ロッカーが一人ずつ壁沿いに並んでいる作りの部屋に変わった為、お散歩前など準備が出来て待機する場所として、「自分のロッカーの前」で座るというスタイルでした。

Mちゃんも問題なく自分のロッカーもわかり、そこに座って待つ事も理解できていました、しかし、自分のロッカーの前と言っても多少隣のお友だちと接触する場面もあります。それがどうにもMちゃんには納得のいかないようでした。

ついお友だちが「Mちゃ~ん」と帽子をかぶせてあげようとした時です!

お友だちの身体を強くつかみ、揺さぶり出しました。

Mちゃんがこうなったのは

・自分の場所に踏み込まれたという、場所へのこだわり
・自分のペースでやりたかったことを邪魔された

これが衝動的にお友だちを攻撃してしまう要因となってしまいました。
こんなにまで攻撃的な姿を見たのが初めてだったので、本当にどうしていいのかわからず、悩んだことを今でも覚えています。

☆目に見える境界線

まず、衝動的なMちゃんの行動で、周りのお友だちとのトラブルにならない環境を作るところから始めました。

・Mちゃんのロッカーの前に、カラービニールテープで四角く囲いを作る
・周りのお友だちにテープを張った理由、Mちゃんの気持ちをお話する

Mちゃんは、自分の場所がはっきりと目で見てわかる事で、より「自分の場所」が確保できた安堵感も出たようでした。しかし、どうしても入ってしまう事もある、嫌な時は「来ないで!」と言う等、回避の方法を伝えていきました。

そして、周りのお友だちには、「自分のものを勝手に触れると嫌」その気持ちをゆっくりと一緒に共感し、「Mちゃんはロッカーの近くにお友だちが来るのが嫌なの」と伝えました。3歳児クラスでの説明はなかなか難しいものでしたが、何となく・・・『嫌な事だからしない』という理解はあったように思います。そして、「Mちゃん〇〇しようか?」とお手伝いしてあげたくなったらまずは聞いてあげてとも伝えました。

本人への安心できる場所の確保、回避方法を伝えただけでなく、周りのお友だちの理解があり、トラブルになる事はなくなりました。

そして「来ないで!」「見ないで!」とお友だちや周りに嫌な気持ちを知らせる手段もしっかりと身に付ける事が出きました。

☆食べたい欲求への衝動!

お友だちとの関わりも時に衝動的に攻撃しそうになりながらも、イライラをぶつけたりせず過ごせていましたが、今度は給食時間に衝動性の強さが表れ始めました・・・。

満腹度が低く何度も欲しがるので、おかわりもできるようには配慮してはいたのですが、だんだんとその量でも満足できなくてなってきてしまい、空っぽになったお皿やスプーン、フォーク等手当たり次第投げるという行動を起こすようになってしまいました。

衝動を表す手段として”物を投げる”事はいけない事だと伝え、「空っぽになったら先生のそば来て”おかわりください”という」をできるする。

・食べる量を小分けにし、数回に分けて食べられるようにする。
(時間をかけて食べらえるようにする)
・食べた後の活動を楽しめる物を用意する。

今回は、なかなか大変で時間もかかりました。まず、保育者のそばに来るのは、「おしまい」となった時の攻撃にならないようにしました。そして、怒らずに”ごちそうさま”が出来た時には、たくさんほめることも忘れずに行いました。

ですが、数回に分けてもあっという間に食べてしまい、食事が一番の楽しみだったMちゃんは”ごちそうさま”と別の活動に移ること自体がつらいことでした。
結局、みんなが食べ終わるまでは、怒り続けていました。
時間はかかりましたが、楽しい活動や遊びが成長と共に広がった事で、改善を見せていきましたが、Mちゃんは、この後てんかんの影響や薬の影響も出てきてお友だちと一緒に過ごせなくなったり、別の部屋でこもってしまったりと、過ごしにくい出来事が多くなっていきました。

☆活かす、身に付ける関わりを!

「衝動性が強い」というのは、それだけやる気やエネルギーもあり、悪い事ではないと思います。

何かに取り組む時は、この思いを受け止めて上手く活かせるように関わる事が必要だと思います。しかし、自分の思いがコントロールできない事での起こる問題には、別の手段を知らせたり、気持ちの切り替える方法を伝えていくことが大切だと思います。

お友だちと一緒に過ごすことが難しく事も多くなっていったMちゃんですが、それでも卒園までお友だちに囲まれ過ごす事が出来ました。お友だちや周りの大人の理解してくれる環境、気持ちのコントロール表す手段や方法の取得があったからだと思います。

お子様が社会に出ても、たくさんの人に関わり、過ごしていけるといいなと思います。

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