みなさんこんにちは。
名古屋市昭和区にある児童発達支援事業所「フォレストキッズ八事教室」代表の森です。
当教室では、発達に特性のあるお子さま一人ひとりの「その子らしさ」に寄り添いながら、「できた!」という喜びを積み重ねる個別支援を大切にしています。
さて、今回は、以前のブログでも少しご紹介した“我が家のカブトムシ”にまつわる続報です。
昨年の夏から飼い始めたカブトムシが、卵を産み、冬を越えて蛹となり、6月に成虫として羽化したという出来事をお伝えしました。そしてその中で、我が家の双子の弟は大喜びだった一方、重度の知的障害を伴う自閉症の特性をもつ兄は、まったく興味を示さなかったというお話をさせていただきました。
ですが先日、その兄にとっての大きな「変化」がありました。
ある晩のことです。
寝る前に私がカブトムシの餌を交換していると、ふと気づけば、彼が静かに隣に立っていたのです。
それまで一度も自ら近づいたことはなかったカブトムシのカゴを、興味深そうに覗き込んでいる姿に、私は驚きと嬉しさでいっぱいになりました。
その時、偶然にもカブトムシがカゴの中で羽を広げ、ブンブンという大きな羽音を立てて飛び回ったのです。
その音と動きに、彼は本当に驚いた様子で、体を少し引きつつも、目を見開いてその様子をじっと見つめていました。
あの羽音は、大人の私でも思わずびくっとしてしまうような、迫力のあるものです。
そして、さらに驚いたのは翌日のこと。
いつものように寝る前、絵本やおもちゃを片付け終えた後、我が息子がぽつりと「カブトムシ」と言いました。
誰に言われたわけでもなく、自分の言葉でそう言ったのです。
私は、「見に行きたいのかな?」と思い、そっとカゴの前に一緒に行きました。我が息子はじっとカブトムシを見つめながら、こう言いました。
「ブンブン、ハチさん。」
昨日見たカブトムシの羽音を、彼なりに記憶に残し、ブンブンの音をハチが飛ぶ音に例えて表現していたことに驚きました。
誰かに教えられたわけでもなく、自分の中に浮かんだ印象を、自分の言葉で表現する。
それは彼にとって、とても大きな一歩だったのです。
しかも、それだけでは終わりませんでした。
その日から、彼にとって「寝る前にカブトムシを見ること」が小さなルーティンとなりました。
カゴの前に立ち、じっと観察しながら、「ブンブン来るかな?」といった表情を見せることもあります。飛ばなかった日は少し残念そうにしていますが、それでもまた次の日も見に行きます。
これまで興味を示さなかったものに、ある瞬間から心が動く――
子どもが“ワクワク”したとき、自分の中にある力を引き出すきっかけになることを、私はあらためて感じました。
発達に特性のある子どもたちは、関心の持ち方や表現の仕方が一人ひとり異なります。そして、周囲の大人がいくら働きかけても、心が動かないこともあります。でも、自分の中から湧き上がる「見たい」「知りたい」という思いに出会ったとき、彼らは確かに前へ進みます。
興味の幅が広がるということは、その子の視野が広がるということ。
彼の世界が、少しずつ、ゆっくりと広がっていく――そんな尊い瞬間を、家族としてそばで感じられることに感謝しています。
フォレストキッズ八事教室では、子どもたち一人ひとりが「自分の世界」を広げていけるように、その子のペースに合わせた支援をこれからも大切にしていきたいと思っています。
そして、今回のこのカブトムシたちも、教室に通う子どもたちと一緒に関わりながら、命の不思議やワクワクする体験を共有していけたらと考えています。
これからも、子どもたちの心が動く瞬間を大切にしながら、日々の支援に取り組んでまいります。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
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