問題行動と言われるとドキッとする親御さんがいるかもしれません。
まるでお子さんに何か問題があると言われたように感じるかもしれませんが、
お子さん「自身」に問題があるわけではなく、お子さんの「学習」に対して問題があると考えていただきたいと思います。
「授業中離席が多い」「お店の中でほしいものを買ってもらうまで大騒ぎをする」
こういった保護者の方にとって頭を抱えたくなるような行動を、私たち心理士は「問題行動」と呼びます。
問題行動に対してどのようにアプローチしていくのか。
そのアプローチ方法の一つに応用行動分析というものがあります。
応用行動分析では、日常の中で「特定の行動(問題行動)」のみを切り取って観察をします。
そのため「ADHDだから椅子に座ってられなくて……」という考えは一度除外して、「ここまでは座っていられたけれど、この時から立ち歩いてしまった」の「この時から」の前後を分析します。
実際にどのように分析するのか。
応用行動分析では、問題行動をABC分析という考え方に基づいて理解を進めます。
行動の前には必ず何か「先発刺激(Antecedent:A)」があり、その刺激に対して「行動(Behavior:B)」を起こし、その結果何らかの「後続刺激(Consequence Stimulus:C)」を得るとABC分析では捉えます。
例えば喉が渇いたときに飲み物を飲みますよね。
その行動をABC分析で見てみると、
「喉が渇いたという先発刺激(A)」があったため「飲み物を飲む行動(B)」をとって「喉が潤ったという後続刺激(C)」を得られた、と考えることができます。
意識をしたことはないかもしれませんが、喉が渇くと飲み物を飲むという行動を起こす誰もが昔に「飲み物を飲んで喉が潤った学習」をしたためこういった行動をとるのです。
もし飲み物を飲んでも喉が潤わなかったら、こういった行動は減少、あるいは消去されてしまします。
つまり、得られた後続刺激(C)によって行動は増加、もしくは減少すると考えられます。
そして問題行動をこのABC分析の考え方でアプローチをするとどのような考え方になるか。
例えば「授業中の離席」がどうすれば減るのかを考えてみましょう。
先述の通り、得られた後続刺激によって行動の回数は増減します。
座るよう促して座れた際には即座に必ず「褒める」。
「座ると褒められて嬉しい」と学習するような環境を作る。
これが有効です。
「即座」にというところと「必ず」というところが、難しいのですが重要です。
即座に褒めなければなぜ褒められたのか行動と後続刺激が結びつきません。
必ず褒めなければむしろ「せっかく言われた通りやっても無意味」と誤学習をさせてしまうこともあります。
「褒めたくらいでなんとかなるの?」と思われるかもしれませんが、よっぽど本人の中で嬉しい・楽しい行動以外は1度の学習ではほとんど定着しません。
何度も行ってようやく1つの行動が定着するのです。
大変なように聞こえますよね。
実際大変です。
叱る方法も勿論あり、短期的な目で見ればそちらの方が有効な場面もあります。
しかし、悲しい思いをしただけで何が悪かったのか分からなかったという場合や、本人の自己肯定感のことを考えると、やはり地道に褒めて行動を学習する方が有効かと思います。
今回は「問題行動」と「ABC分析(応用行動分析)」についてご紹介しました。
今後も心理士の視点から何かご家庭や学校場面で役立てる情報があれば共有していきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
問題行動とABC分析(心理部あきら先生)
教室の毎日
24/04/04 20:18