以前ことばのビルを紹介しました。
「ことばを言える」能力はビルの最上階で、毎日の暮らしの中でひとつずつ積み上げていくこと大切です、というお話をさせていただきました。
今回は、ことばのビルを積み上げていくうえで、「わかることがら、わかることばを増やす」という点についてお話をします。
子どもは、あることばを言えるようになる前に、まずそのことばがわかるようになります。「そろそろオムツをかえようかな」などと話していると、お子さんが逃げ出したりするのが良い例です。
生活の中で、実際に行動して様々な体験を重ね、それをことばと結びつけて理解することによって、ことばがわかるようになります。
氷山に例えると、
水面下の「わかることがら」「わかることば」が、たくさん蓄えられてはじめて、「言えることば」が表面上にあらわれます。
ことばが言えることだけを焦らずに、水面下の部分を大きく育てていくことをめざしましょう。
「わかることがら」「わかることば」を大きく育てていくためには、まず音を聞く力、聞き分ける力が不可欠です。
・テレビや音楽が一日中聞こえている状態は避け、音のオンーオフをはっきりさせましょう。
また、生活には色々な音がつきものです。それらの音に注目し、その音源を探す体験を心がけましょう。
(例:洗濯機のブザーの音が聞こえたら、「なんの音かな?」と一緒に洗濯機の場所まで行き確認する)
・テレビや動画は、一緒に遊ぶ楽しさや、なにかを作り上げる喜びや感動を味あわせてはくれません。
実生活の中で、「なにか」をし体験を増やしていきましょう。
(朝や夕方の忙しい時間や手が離せないときに、幼児向け番組や動画を見てもらうなど、上手に活用しましょう。)
・物の名前だけでなく、お子さんの行動をことばに置き換えて聞かせたり、お子さんの気持ちを代弁したりするかかわりを心がけ、感動的・印象的なことがあったら、ことばに換えてその気持ちをお子さんと共有しましょう。
・話しことばを聞く経験だけでなく、ことばを聞きながら物を操作する(例:電車のおもちゃを走らせる)ことで、物の使い方が学習され、ことばの意味理解に繋がっていきます。
お子さんによって成長のスピードに個人差はありますが、子どものことばは身近な人と思いを伝えあいながら育ちます。
現在通所中のお子さんたちは、色々な活動を通して、「わかることがら」「わかることば」が少しずつ大きく育ってきていると感じています。
・ことばとその意味が結びつき言えることばが少しずつ増えてきたお子さん
・単語から2語文の発話表出がみられるようになったお子さん
・ことばではなくとも表情や身振り手振りで伝えてくれるお子さん
これからも日々の活動を通して、「わかることがら」「わかることば」を育てていき、「からだ作り」「心育て」とともに、「言えることば」に繋げていく支援を続けてまいります。
お子さんのことばの発達について気になること、心配なことがありましたら、お気軽にご相談ください。
参考・引用文献
・中川信子著 ことばをはぐくむ 新装版
発達の遅れのある子どもたちのために
・大伴潔・綿野香・森岡典子編著
人とのかかわりで育つ言語・コミュニケーションへのアプローチ
わかることがら、わかることばを増やす(言葉の教室みか先生)
教室の毎日
25/02/02 08:02
