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手をつなぎたくない「隠れた理由」

こんにちは。
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがいで、理学療法士をしています、内山隆範です。

6月も下旬に差し掛かり、いよいよ夏本番が近づいてきましたね。梅雨の晴れ間を縫ってのお買い物や公園へのお出かけ。そんな日常の中で、お母さん、お父さんから悲痛な声としてよくいただくお悩みがあります。

「外を歩くとき、絶対に手を繋いでくれません。無理に繋ぐとパニックになって振り払われます」
「スーパーや駐車場で、急にパッと手を離して猛ダッシュしてしまい、毎日命がけです」
「『危ないでしょ!』と何度怒っても、またすぐに走り出して迷子になりかけます」

日々の療育の現場でも、そして我が家の子育て(私も、一瞬の隙に走り出す我が子を血の気が引く思いで追いかけた経験が何度もあります…)の中でも、この「飛び出し・手を繋げない」という問題は、本当に深刻な悩みです。

周囲からは「しっかり手を繋いでおかないから」「親が甘やかしているんじゃない?」という冷たい視線を浴びることもあり、お出かけすること自体が怖くなって引きこもりがちになってしまう。そんなお母さんたちの孤独な闘い、痛いほどよく分かります。

「どうしてうちの子は、大人しく歩けないの?」
毎日すり減る思いで追いかけている親御さんに、理学療法士(身体と脳の専門家)として、まず一番に大切な事実をお伝えさせてください。
お子さまが手を繋がず走り出してしまうのは、決して「親の言うことを聞かないワガママ」でも「しつけ不足」でもありません。
これには、お子さまの脳の「感覚の受け取り方」と「視覚の特性」による、明確なエビデンス(医学的根拠)が存在します。

なぜ、手を繋ぐのを嫌がり、急に走り出してしまうのか?

大人の目には「危険な行動」にしか見えませんが、お子さまの身体と脳の中では、以下のような切実な理由が潜んでいます。
① 手のひらの「触覚過敏(しょっかくかびん)」

理学療法士としてまず疑うのが、手のひらの感覚です。私たちの手のひらは非常に神経が集中している場所ですが、発達に凸凹のあるお子さまの中には、この触覚が過敏すぎる子がいます。
お母さんの温かく優しい手であっても、お子さまの脳にとっては「ヤスリでギュッと握られているような痛み」や「ゾワゾワして耐えられない不快感」として変換されてしまっているのです。だからこそ、本能的にパッと手を振り払ってしまいます。

② 脳の「スポットライト視覚」と衝動性

「あ、大好きなアンパンマンのガチャガチャだ!」「面白い形の石がある!」
お子さまの目に魅力的なものが飛び込んできた瞬間、脳の視覚センサーはそこに強烈なスポットライトを当て、周囲の景色(車や自転車)や音(お母さんの「止まりなさい!」という声)のスイッチを完全にオフにしてしまいます。
見えたものに対してブレーキをかける脳の前頭葉(実行機能)が未熟なため、「行きたい!」という欲求のままに、身体が弾丸のように飛び出してしまうのです。

今日からお出かけで即実践!安全を守るための実用アプローチ

「手を繋ぎなさい!」と叱ったり、無理やり手を引いたりすることは、触覚過敏のお子さまにとっては苦痛を増幅させるだけで、お出かけ自体が嫌いになってしまいます。

今日から、以下の3つのアプローチを試してみてください。

1. 「手のひら」以外を繋ぐ(触覚への配慮)

手のひらがダメでも、他の場所なら大丈夫なケースは非常に多いです。
手首を軽く掴む、お母さんのカバンのヒモ(または専用のリングや短いタオル)を「電車ごっこだよ」と言って持たせる、あるいはお子さまの服の袖口を軽くつまむ。直接肌が触れない工夫をするだけで、嘘のように大人しく隣を歩いてくれる子がたくさんいます。

2. 身体に「重み(お仕事)」を与える

急に走り出してしまう子には、固有受容覚(筋肉や関節で感じる感覚)を満たしてあげるのが効果的です。
「このお買い物カゴを一緒に持ってくれる?」「リュックサック(少し重みのあるお茶などを入れる)を背負って隊長になって!」と、身体に少し負荷(重み)のかかる役割を与えます。関節に圧がかかると脳が落ち着き、足元がどっしりとして衝動的なダッシュが減るというエビデンスがあります。

3. 「止まれ!」をゲーム化する

外に出る前に、「お母さんが『ピッ!』と言ったら、氷みたいにカチコチに固まるゲームね!」とおうちの中で練習しておきます。外で興奮している脳には「危ない!」という抽象的な言葉より、「氷!」「ストップ!」という短い指示の方が届きやすくなります。

専門家(療育)に相談を考えてほしいサイン

成長とともに前頭葉が発達すれば衝動性は落ち着いていきますが、以下のような状態が見られる場合は、命に関わる事故のリスクが高いため、早急な専門的アプローチが必要です。

車道や駐車場でも全く危険を認知できず、毎日命の危険を感じている。
迷子防止のハーネス(リュック)などをつけることもパニックになり、外出が一切できない。
お母さん自身が外に出るのが怖くなり、親子で孤立してしまっている。

このようなときは、どうかご家庭だけで抱え込まず、私たち専門家を頼ってください。

エコルドはぐみのおうちでは、理学療法士としての知見をフルに活かし、サーキット運動やアスレチックを通じて「動きのブレーキをかける練習(ストップ&ゴー)」を遊びの中で徹底して行います。また、トランポリンや手押し車などで「固有受容覚」をたっぷりと満たすことで、外出先での突発的な行動を脳の根っこから落ち着かせていきます。

毎日、周囲に頭を下げながら、汗だくになって我が子を追いかけているお母さん、本当にお疲れ様です。

「どうして普通に歩いてくれないの」と涙が出る日もあると思います。でも、お子さまはわざとお母さんを困らせているわけではありません。
「うちの子の飛び出し、どうしたら安全にお出かけできるかな」と思われた時は、いつでもエコルドはぐみのおうちへお気軽にご相談ください。専門家として、全力でお子さまと保護者様に寄り添い、安全なお出かけの方法を一緒に考えてまいります。

【求人のお知らせ】一緒に働く仲間を募集しています!

そして最後に、エコルドから大切なお知らせがございます。
おかげさまで、現在大変多くの利用者様にご愛顧いただいており、子どもたち一人ひとりとより深く、丁寧に向き合っていくために、新たな「児童指導員」の仲間を募集することとなりました。
私たちは、単に「預かる」場所ではなく、今日お話ししたような身体のメカニズムや脳科学のエビデンスに基づいた療育を何よりも大切にしています。そのため、以下のような専門的な資格やバックグラウンドをお持ちの方の力を必要としています。

保育士・幼稚園教諭:子どもの発達段階を理解し、日常の遊びや関わりから成長を促せる方。
理学療法士(PT)・作業療法士(OT):姿勢や動き、粗大・微細運動の分析と、身体の根っこからのアプローチに強みをお持ちの方。
公認心理師・臨床心理士:子どもたちの心の動き、感覚統合の特性、そして保護者様への心理的サポートに専門性をお持ちの方。
大学または大学院で心理学を専修する学科・研究科を修了された方:心理学の知見を、実際の療育現場で活かし、探求したい方。

「まだ経験が浅くて不安……」という方も、ご安心ください。
エコルドでは、私のような理学療法士をはじめ、異なる専門性を持つスタッフがチームとなり、日々の療育についてエビデンスを元にディスカッションし、共に学び合う文化があります。あなたの専門性を、子どもたちの「できた!」の笑顔に変える場所が、ここにあります。
また、現在上記の資格取得を目指して勉強中の学生の皆さん。
教科書で学ぶ理論が、実際の療育現場でどのように子どもたちの身体や心の変化に繋がるのか、その「生きた学び」を、エコルドで一緒に体感してみませんか?アルバイトやインターンシップからのスタートも大歓迎です。
子どもたちの無限の可能性を信じ、身体の土台から人生を豊かにするサポートをしたい。そんな熱い想いをお持ちのあなたと、一緒に働ける日を楽しみにしています。

求人の詳細やご応募、ご見学については随時受け付けております。

ページ内の【電話でのお問い合わせ】または【問い合わせフォーム】より、お気軽にご連絡ください。まずは見学だけ、という方も歓迎です!

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理学療法士 内山 隆範
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