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脳が「自分の境界線」を探しているサインかも?

こんにちは。
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがいで、理学療法士をしています、内山隆範です。

6月もいよいよ7月に入り、うだるような夏の暑さが本格的に始まりますね。

ただでさえ暑くて体力を奪われるこの時期、お母さん、お父さんからこんな「密かなお悩み」をよく伺います。

「ソファーに座っていると、必ず上に乗ってきて全体重を預けて(寄りかかって)くる」
「機嫌が良いときでも、ドーン!と強い力で何度も体当たりをしてくる」
「立っていても足にギュッと絡みついてきて、重いし暑いし、正直しんどい…」

日々の療育の現場でも、そして我が家の子育て(我が子も、私が座るとすかさず背中に乗ってくる『人間ホッカイロ』でした…)の中でも、この「親への激しい密着・体当たり」は本当によく目にする光景です。
小さい頃は「甘えん坊で可愛いな」と思えても、体が大きくなってくると体重も重くなり、毎日のしかかられると親の体力が持ちませんよね。

「暑いからちょっと離れて!」「痛いからドーンってしないで!」と注意しても、ヘラヘラ笑ってまたぶつかってくる我が子に、「愛情不足なのかな?」「私の気を引きたいのかな?」と悩んでしまうお気持ち、本当によく分かります。

でも、理学療法士(身体と脳の専門家)として、そして同じ子育てに奮闘する親として、まず一番に大切な事実をお伝えさせてください。

お子さまが常に寄りかかったり体当たりしたりしてくるのは、決して「親の気を引くためのワガママ」でも「愛情不足」でもありません。
これには、お子さまの「筋肉の特性」と「脳の感覚センサー」による、明確なエビデンス(医学的根拠)が存在します。

なぜ、常に親に寄りかかり、体当たりをしてくるのか?

大人の目には「極端な甘えん坊」や「乱暴な遊び」に見えますが、お子さまの身体と脳の中では、以下のような切実な理由が潜んでいます。

① 親を「外付けの骨格(杖)」代わりにしている(低緊張)

これまでの記事でも何度かお話ししましたが、発達に凸凹のあるお子さまの中には、生まれつき筋肉の「ハリ」が弱い(低緊張)子がいます。
自分の腹筋や背筋だけで姿勢を保つのは、常に重いリュックを背負って立っているようなもの。すぐに疲れてしまうため、一番身近で、絶対に自分を支えてくれる安全な壁=「お母さん・お父さん」を杖代わりにして、重力から逃れようとしているのです。

② 脳が「強い圧迫(固有受容覚)」を強烈に求めている

ドーン!と体当たりをしてくる子に多いのがこの理由です。関節や筋肉にギュッ!と強い圧力がかかる感覚(固有受容覚)は、脳をスッキリと落ち着かせる「精神安定剤」のような役割を持っています。
不安なときや、逆に興奮して感情がコントロールできないとき、親の体に思い切りぶつかって強い衝撃を得ることで、無意識に自分の脳を「安心モード」にリセットしようとしているのです。お母さんは、お子さまにとっての「極上のヒューマン・ブランケット(重い毛布)」になっています。

③ 自分の身体の「境界線」を確かめている

自分の身体がどこからどこまであるのか(身体図式)が曖昧なお子さまは、宙に浮いているようなフワフワした不安を抱えています。硬いもの(親の体)に強く押し付けることで、「ここが僕の肩だ!」「ここが私の背中だ!」と、輪郭を確かめて安心しているのです。

今日からおうちで即実践!親の負担を減らす実用アプローチ

「暑いから離れて!」「体当たりはやめなさい!」と突き放すことは、杖を取り上げられたり、精神安定剤を奪われたりするのと同じで、お子さまの不安をさらに煽ってしまいます。

今日から、以下の3つのアプローチで「感覚の代用品」を用意してあげてください。

1. 「人をダメにするクッション」など、代わりの壁を用意する

親の体に寄りかかってきたら、「お母さんは今暑いから、こっちのフカフカの島(大きなビーズクッションやバランスボール)にダイブしておいで!」と、別の寄りかかり先を提案してあげてください。身体をすっぽり包み込んで圧をかけてくれるクッションは、低緊張のお子さまにとって最高の休憩場所になります。

2. 安全な「押し合いっこ・引っ張り合いっこ」で欲求を満たす

体当たりをしてくる子には、安全な形で関節に強い圧(固有受容覚)を入れてあげます。
「よーし、お母さんとお相撲勝負だ!手と手を合わせて、どっちが強いか押し合いっこね!」と遊びに変換してください。または、太いタオルをお互いに引っ張り合う綱引きも効果的です。正しいルートで感覚が満たされると、日常での不意打ちの体当たりは驚くほど減っていきます。

3. お手伝いで「重いもの」を運んでもらう

これも固有受容覚を満たす最高のアプローチです。「スーパーの袋、少し重いけど運べるかな?」「洗濯物が入ったカゴを一緒に押して!」と、関節に負荷がかかる「お仕事(Heavy Work)」を頼んでみてください。「ありがとう、助かったよ!」と自己肯定感も高まり一石二鳥です。

専門家(療育)に相談を考えてほしいサイン

成長とともに体幹が育ち、感覚が整理されてくれば自然と落ち着いていきますが、以下のような状態が見られる場合は、対人トラブルに発展する可能性があるため専門的なアプローチが必要です。

体当たりの力が強すぎて親が怪我をしたり、お友達に対しても同じようにドーンとぶつかってトラブルになっている。
体幹が弱すぎて、少し歩いただけで座り込み、常に親に抱っこやオンブを要求して生活に支障が出ている。
親が少しでも身体を離そうとすると、見捨てられたような激しいパニックを起こす。

このようなときは、どうかご家庭だけで抱え込まず、私たち専門家を頼ってください。
エコルドはぐみのおうちでは、理学療法士としての知見をフルに活かし、キャスター付きの台車に重りを乗せて押す遊びや、トランポリン、大型クッションへのダイブなど、お子さまの「身体の境界線を確かめたい」「強い圧が欲しい」という欲求を、療育のプログラムの中で安全に、たっぷりと満たしていきます。
毎日毎日、汗だくになりながらお子さまの体重を受け止め、「もうしんどい…」とため息をついているお母さん、本当にお疲れ様です。
寄りかかってくるのは、お母さんがお子さまにとって「世界で一番安全で、安心できる基地」である証拠です。
「うちの子の体当たり、感覚の欲求から来ているのかも?」と思われた時は、いつでもエコルドはぐみのおうちへお気軽にご相談ください。専門家として、全力でお子さまと保護者様に寄り添い、親子で心地よい距離感を保てる方法を一緒に考えてまいります。

【求人のお知らせ】一緒に働く仲間を募集しています!

そして最後に、エコルドから大切なお知らせがございます。
おかげさまで、現在大変多くの利用者様にご愛顧いただいており、子どもたち一人ひとりとより深く、丁寧に向き合っていくために、新たな「児童指導員」の仲間を募集することとなりました。
私たちは、単に「預かる」場所ではなく、今日お話ししたような身体のメカニズムや脳科学のエビデンスに基づいた療育を何よりも大切にしています。そのため、以下のような専門的な資格やバックグラウンドをお持ちの方の力を必要としています。
保育士・幼稚園教諭:子どもの発達段階を理解し、日常の遊びや関わりから成長を促せる方。
理学療法士(PT)・作業療法士(OT):姿勢や動き、粗大・微細運動の分析と、身体の根っこからのアプローチに強みをお持ちの方。
公認心理師・臨床心理士:子どもたちの心の動き、感覚統合の特性、そして保護者様への心理的サポートに専門性をお持ちの方。
大学または大学院で心理学を専修する学科・研究科を修了された方:心理学の知見を、実際の療育現場で活かし、探求したい方。
「まだ経験が浅くて不安……」という方も、ご安心ください。
エコルドでは、私のような理学療法士をはじめ、異なる専門性を持つスタッフがチームとなり、日々の療育についてエビデンスを元にディスカッションし、共に学び合う文化があります。あなたの専門性を、子どもたちの「できた!」の笑顔に変える場所が、ここにあります。
また、現在上記の資格取得を目指して勉強中の学生の皆さん。
教科書で学ぶ理論が、実際の療育現場でどのように子どもたちの身体や心の変化に繋がるのか、その「生きた学び」を、エコルドで一緒に体感してみませんか?アルバイトやインターンシップからのスタートも大歓迎です。
子どもたちの無限の可能性を信じ、身体の土台から人生を豊かにするサポートをしたい。そんな熱い想いをお持ちのあなたと、一緒に働ける日を楽しみにしています。

求人の詳細やご応募、ご見学については随時受け付けております。

ページ内の【電話でのお問い合わせ】または【問い合わせフォーム】より、お気軽にご連絡ください。まずは見学だけ、という方も歓迎です!

療育センターエコルドはぐみのおうち かすがい
理学療法士 内山 隆範
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