「もっと早く気づいていたら」そう自分を責めてしまうパパとママへ

ライター:じゅん
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次男の障害告知を経て、「遅れを取り戻さなければ」「きっとみんなに追いつくはず」と焦っていた私。子どもを「普通に近づける」のではなくて、子どもと「普通に暮らす」、それができればいい。シンプルだけど大切なことに気づかせてくれたのは、親子で最初に出会った療育園でした。

母の勘は野生の勘?何かが違うと感じたとき

まさかわが子の障害が見落とされているとは思いもよりませんでした。

わが家は3つ子。
3人とも、1000g台の未熟児として生まれました。

多胎児出産や未熟児医療に長けた大学病院で
妊娠から出産、そしてNICUから乳児検診に至るまで一貫してお世話になっていたので、安心してお任せしていました。
 
しかし、歩行の遅れに発語の遅れ・・・。
三人三様といっても明らかに1人だけ取り残されているかのような次男の発達。

いくつかの相談窓口で不安を打ち明けてみたものの、返ってくる言葉は「未熟だったしね。もう少し様子を見ましょう」「お母さん、疲れているのね。子どもの発達は様々で、3人そろってとはいかないものよ。」等、新米ママを励ます言葉ばかりでした。

そんな周囲の思いやりさえも、当時の私の心には虚しく響くばかり。
大丈夫と思いたい母の気持ちを掻き消すように、やはり何かが違うと胸がざわつくのです。

母の勘というものは、新米だろうがベテランだろうが、野生動物のそれと同じなのかもしれません。
漠然とした不安が現実のものとなったのは、不安を感じてから半年後、3つ子が1歳9か月のときでした。
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気づけるチャンスはあったのに・・・自分を責めて悔やむ日々

赤ちゃん特有のパンダ座りができず、常にちんまりと正座姿の次男を見て、主治医が慌てて撮ったMRI画像。
そこには、ところどころ白いもやがかかったような、次男の脳が写っていました。

「脳室周囲白質軟化症」

これが、次男についた最初の診断名でした。
なぜ今になって?出産時にも全身の検査を受けたはずなのに?

「このくらいならそんなに大きな遅れはないと思いますよ」

さらりと言う主治医のこの言葉に、腹を立てる余裕もありませんでした。
もっと重たい病と闘っている赤ちゃんを診ている主治医にしてみたら、次男の障害は命の心配のない、程度の軽いものに思えたのでしょう。

でも、私たち夫婦にとってはかけがえのない大切な子ども。
障害を負ってから1年以上、何も気づかずに放置してしまったのです。

もっと早く検査を希望していたら・・・もっと早くからリハビリをしていたら・・・
親として不甲斐なくて、次男に申し訳なくて。

「無駄にしてしまった1年半を取り戻そう」と療育を開始することを決めました。
「まだ早いですよ」という市の担当者に頼み込み、地域の療育園に通わせてもらうことになったのが、3つ子が2歳3か月の冬でした。

呪縛を解いてくれた先生の言葉

療育園と聞いて真っ先に頭に浮かんだイメージは、がむしゃらに訓練に勤しむ親子の姿でした。
うん、次男のためなら頑張れる。そうしたらきっと次男は他の2人に追いつくはず!
ドキドキしながら療育園の門をくぐった私を迎え入れてくれたのは、思いがけずゆったりとした、穏やかな空間でした。
「お母さん、上手に子育てしてきたのね。次男くん、とてもいい笑顔をするね。」

驚きました。
自分が人前で、しかも療育教室で、しゃくりあげて泣くなんて予想もしていませんでした。

次男に対して
「母として取り返しのつかないミスをしてしまった」「こんなに遅れてしまったのは私のせい」と、
無意識のうちに自分を縛っていた自責の念。


その呪縛を、先生がスルッと解いてくれた瞬間でした。

今までの時間は無駄じゃなかったよ、次男はちゃんと幸せに育ってるよ、そう言ってもらえたようでホッとしたのです。

同時に療育園の子どもたちの屈託のない笑顔や、全身全霊をかけて泣いたり怒ったり笑ったりする姿に(本当に、どうしてそこまで元気なの?!と感心するような全力投球っぷりなのです)、すっかり魅了されている自分がいたのです。
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