ADHD(注意欠如多動症)の治療法・療育法は?治療薬は効果的なの?【専門家監修】
ADHD(注意欠如多動症)の治療法にはどんなものがあるのでしょうか?またどのような療育法が適しているのでしょうか?ADHD(注意欠如多動症)の治療薬の効果や副作用、薬以外の治療法としての療育などについてご紹介します。様々な治療法のメリット・デメリットを知り、本人が生きやすい環境を作るように心がけましょう。
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ADHD(注意欠如多動症)の治療はいつから始めるべきなの?
どのような症状であれば治療が必要?
小さい子どものうちは、ADHD(注意欠如多動症)がなくても「不注意」「多動性」「衝動性」のような行動をとることもありますが、このような特徴が年齢や発達に不釣り合いなほど過度に見られ、社会的な活動や学業に支障が出る場合には、保健センターや子育て支援センター、児童発達支援事業所などの専門機関に相談することをおすすめします。
大人の場合には、同じミスばかり繰り返したり、大事な約束を頻繁に忘れてしまったり、整理整頓ができないなど、社会生活や日常生活に支障をきたす症状がある場合には、発達障害者支援センターなどの専門機関や精神科などの医療機関で相談してみましょう。
治療を始める年齢は何歳?
ADHD(注意欠如多動症)は先天性の発達障害ですが、診断は症状が出てからとなるため、治療や療育をはじめる年齢はまちまちです。一般的には療育や教育は年齢には関係なく、いつからでも受けることができますが、困りごとが出てきたり、障害に気づいた時点で早めに取り組むことが大切です。
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療育によるADHD(注意欠如多動症)の治療
■環境調整
この環境は、教育現場や家庭における環境をさします。たとえば集中が難しい場合は、机の周りに無駄な刺激物を置かないようにするなど、教室や身の回りの環境を調整します。片付けが苦手な子の場合に、元の位置に物を戻しやすいようにおもちゃ箱を工夫する、視覚過敏がある子の場合、照明を工夫する、などがあげられます。
■ソーシャルスキルトレーニング(SST)
ソーシャルスキルトレーニングは、略してSSTとも呼ばれます。ここでは様々な特性をもつ本人が社会や生活での適切な行動をうまくできるようにトレーニングしていきます。対人関係をうまく行うための社会生活技能を身につけるためのトレーニングを遊びなどを用いたロールプレイを通じて行います。
■ペアレントトレーニング
保護者が障害のある子どもとの関わり方や、子育ての工夫の仕方を学ぶプログラムです。注意の仕方、子どもの行動に対するアドバイスの仕方、本人の自己肯定感を育む褒め方など、子どもとの接し方を中心に学びます。
このような療育は、発達障害専門の病院や公立・民間の「児童発達支援」「放課後等デイサービス」などで学ぶことができます。療育によって、本人の生きづらさを緩和し、また良い部分を磨いていくことができます。
ADHD(注意欠如多動症)の薬物療法は?
ADHD(注意欠如多動症)で使われる主な治療薬は以下の3種類があります。
■ストラテラ(アトモキセチン)
ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(NRI)です。日本でADHD(注意欠如多動症)に効果効能があるとして承認されている薬のひとつで、効き目が出るまで約1ヶ月かかりますが、24時間効果が持続します。副作用としては食欲不振があると言われています。
■コンサータ(メチルフェニデート)
中枢神経を刺激して、脳内の神経伝達物質であるドーパミンやノルアドレナリンの調節をする薬です。飲んで2時間後ぐらいから効果を感じることができ、効き目は12時間程度持続します。副作用としては、頭痛・寝つきが悪くなる・食欲不振などがあると言われています。しかし服用を続けて薬に慣れてくると、副作用が軽減することもあるそうです。
■インチュニブ
症状に応じて、上記以外の薬が処方される場合があります。人によって合う合わないもあり、副作用が見られこともあります。薬に頼りすぎたり、また自己判断で服用をやめたりしないようにしましょう。医師としっかり治療方針を相談した上で、用法用量を守って使用することが大切です。また、薬物療法のみで子どもを落ち着かせるのでははく、環境調整や落ち着いている時にスキルトレーニングなどを行っていきましょう。(※1)
治療の終わりと二次障害
ADHD(注意欠如多動症)の治療の終え方
ADHD(注意欠如多動症)の二次障害や合併症、併存症の予防と治療
このような合併症を、一般的には「二次障害」と言うこともあります。
また、ADHD(注意欠如多動症)の人には、他の発達障害が「併存症」として一緒に現れることも多いことが知られています。
注意すべき合併症の症状・状態には以下のようなものがあります。
・うつ病
・不安障害
・反抗挑戦性障害
・不登校やひきこもり
・アルコールなどの依存症 など
このような気分障害などの症状や行動上の問題は一般的に思春期に見えやすいと言われています。その子にあった対応をせずに特性に対して叱ったり放っておいたりすると、自信を無くしたり、無気力になってしまったりする可能性があります。その状態が長く続くと、二次障害や合併症を起こしてしまう場合があります。まずは本人の周りの環境を整え、生きづらさを少しでも減らせるように周りは努めましょう。また、これらの二次障害・合併症に対する治療の一つとして、心理療法である認知行動療法の有効性が示されています。
一方、ADHD(注意欠如多動症)と一緒に現れることの多い併存症として、以下のものが知られています。
・ASD(自閉スペクトラム症)
・LD・SLD(限局性学習症)
・てんかん
・トゥレット症候群 など
アメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)からADHD(注意欠如多動症)とASD(自閉スペクトラム症)の併存を認める診断基準に修正されましたが、これらの疾病や障害と併存することで、症状がわかりづらく複雑になり、また対処が難しくなる場合もあります。専門医の診断・治療を受けながら一人一人の症状に合わせて適切な対処をすることが重要です。
ADHD(注意欠如多動症)のある子どもとの関わり方
ADHD(注意欠如多動症)のある人はその特性ゆえに、生活する中で困難にぶつかることが多くなりがちです。同じミスを繰り返して何度も叱られたり、順番やルールを守れずトラブルになったりすることがあります。中には自分に自信をなくしたり、周りに敵意を持ってしまうこともあります。こういった日々の困難さが引き金となって、うつ病やひきこもりなどのいわゆる二次障害や併存症、合併症が発現することがあるのです。特に思春期以降の不安障害や気分障害の予防が大切になってきます。
治療や療育だけではなく、親や周りの人が接し方を変えるだけでADHD(注意欠如多動症)の特徴が軽減されることもあります。
ADHD(注意欠如多動症)の症状を緩和するのに加え、二次障害や併存症、合併症のリスクを極力なくすためにも、周りがADHD(注意欠如多動症)についてよく理解し、本人と一緒に、どのように対応すれば本人が行動しやすいか、生きやすいかなどを考え、生活における困難を解消する最善の方法を見つけていきましょう。(※2)
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