【大人のADHD】仕事での困りごと・対処法まとめ

2016/06/12 更新
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大人になってからADHD(注意欠陥・多動性障害)の特徴との付き合い方を困難に感じる人は多いそうです。仕事や日常生活の様々な場面で出会う困難に、どう対処すればよいのでしょうか。ADHDの大人が仕事で困っていることや、困りごとに対して行っている対処法を紹介します。

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発達障害のキホン
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監修: 井上 雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
応用行動分析学
自閉症支援士エキスパート
LITALICO研究所 客員研究員
目次 ADHDで働いている人はどのくらいいる? 大人のADHD、いつ診断された?きっかけは? ADHDの人が向いている仕事は?向いていない仕事とは? 大人のADHD、仕事の探し方は? 大人のADHD、会社への報告は? 大人のADHD、仕事での困りごと・よくあるミスと対処法 ADHDだから仕事ができないわけではない

ADHDで働いている人はどのくらいいる?

ADHD(注意欠陥・多動性障害)は英語でAttention Deficit Hyperactivity Disorderの略で、不注意(集中力がない)、多動性(じっとしていられない)、衝動性(考えずに行動してしまう)の3つの症状がみられる発達障害のことです。

そもそも大人のADHDが何人いるか、日本でのデータはほとんどありません。ですが、ADHDの大人の中には、自分がADHDであるという自覚がなく、就職して働いている方も少なくないと考えられます。そのためADHDの方の就職率は具体的に数値として出てはいませんが、社会に出て民間企業などで働いている人も大勢いると言えるでしょう。

ADHDの方々の不注意、衝動性、多動性という3つの特徴はネガティブにとらえられることが多いです。しかしこれらの特徴をポジティブにとらえると、「積極性がある」「柔軟性がある」とも考えられます。特性を活かしやすい天職に就くことができると、大きな成果が出せる可能性もあります。周りの人が環境を整え、本人の良い部分を伸ばしていける環境を作っていくことが大切です。
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大人のADHD、いつ診断された?きっかけは?

昔からADHDのような症状に悩む人はいましたが、障害名としては比較的新しく、世の中に広く知られるようになったのはこの20年ほどと言えます。そのため、子どもの頃にADHDの症状が見逃されていて、大人になってから気づく人も多くいます。また、いまだに発達障害であることに気づかず、苦しんでいる人も多いと考えられています。

私は、幼少の頃から記憶力が短期だったり、ケアレスミスが多い、人の話聞かずにボーとしてしまい集中が続かない、ストレス耐性が全くない(頭痛がする)事にずっと悩んでましたが、この歳にもなっても続いているどころかさらに悪化して社会人になってから仕事面・生活面において困ったことになったので、2014年の秋頃から医療機関に行き数回ヒヤリングと検査、テストを行った結果ADHDと診断されました。

出典:http://komachi.yomiuri.co.jp/t/2015/0322/706063.htm
大人になってから診断を受けた人の場合、幼い時から何となく他の人と違うなと感じており、社会人になってからの仕事面や生活面での失敗から疑いを持ち始め、大人になってから医療機関で判定を受ける人が多いそうです。

私は、注意欠陥型の発達障害の傾向があると主治医からは診断されています。最初の5年間の土木関係の調査報告業務(地盤地下とか液状化の予測)はつらかったです。その後18年間社内の情報システム(IT運営)は天職でした。去年総務に移動しましたが、頭がフリーズしてまったく仕事にならず。(このとき自分の発達障害を疑い始めた)最近は上司に相談し、IT系の仕事を回してもらっています。

出典:http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11151056426;_yl...
障害のあるなしにかかわらず言えることですが、ADHDの方の中にも人によって仕事の向き不向きがあります。しかしこの方のように理解のある職場・上司に出会えることによって充実した働き方をしている人もいます。

ADHDの人が向いている仕事は?向いていない仕事とは?

ADHDの人の得意と言われていること

・興味のあることに対して情熱を持ち、集中することができる
・アイデアが豊富で、固定概念にとらわれず自由に考えられる
・行動力がある
・素晴らしいひらめきをすることができる
・独特の感性をもち、考えることができる など

上記の点から、研究職や、行動力を生かして働ける営業職や販売職、独特の感性を発揮できるコンピュータ・プログラマー、CGアニメーター、広告関係、デザイナーなどが向いているといわれている職業です。

ADHDの人があまり得意ではないと言われていること

・単調なことの繰り返し
・持続的に集中力が必要なこと
・一度に多くのことに注意を向けること
・時間やルールが厳しいこと
・ミスが許されないこと など

上記の点から向いていないとされる職業は、製品検査などの確認作業、長時間のデスクワーク、本の校正などです。しかし、これらはあくまで傾向でしかありません。特にADHDの症状は人それぞれです。当然得意なこと、苦手なことも人によって変わってきます。自分の得意なこと、苦手なことを見極め、得意なことや興味のある職業に就くことで、仕事でもやる気が出て、成果を出しやすくなります。

大人のADHD、仕事の探し方は?

ADHDの人が仕事を探す場合、ADHDのない人と同じ方法で探す方法もありますが、特に診断名のある人は、公的な支援などを受けることも検討してみましょう。

■ハローワーク
まず、最寄のハローワークでの相談をおすすめします。障害者雇用の窓口もあるので、そこでご自身のADHDの特性について伝え、仕事を探していること、仕事で不安に感じていることなどの相談をすることができます。適職があれば求人に応募してもよいでしょう。障害者を対象とする障害者合同就職面接会などの情報を得ることもできます。

「若年者コミュニケーション能力要支援者就職プログラム」として、発達障害などでコミュニケーションに困難を抱えている場合の支援も行っており、不安がある場合には、発達障害者支援センターや医師との連携をとってもらうことができます。適職を自分では探すことが難しい場合には、適職を探す方法や調べてもらえるところも紹介してもらえます。

ハローワークは発達障害のある人が就職された場合、その事業主に対して助成を行う「発達障害者雇用開発助成金」という制度を設けています。他にも「障害者トライアル雇用奨励金」という短期間の試行雇用を行い、仕事に慣れることで実際の雇用につなげる制度もあります。

就職に不安をかかえている場合には、就労移行支援という方法で就職をすることもできます。これは障害者総合支援法に基づいた支援で、自治体や、自治体の指定を受けた事業者が、就労移行支援事業所を運営しています。この就労移行支援は手帳を取得していなくても支援を受けることができます。

まずは最寄のハローワークや就労移行支援事業所に連絡をとってみましょう。また、就労移行支援事業所を探す際には、複数の事業所を掲載した検索サイトなども参考にすることができます。
就職後も相談に乗ってほしい場合はジョブコーチによる支援を受けることもできます。これは、就職後、職場にジョブコーチが出向き、職場でうまく仕事をしていくための支援をしてくれる制度です。
■障害者雇用制度を利用する
精神障害者保健福祉手帳や療育手帳を取得している場合、いわゆる「障害者雇用制度」の対象となります。

・手帳所持者を事業者が雇用した際の、障害者雇用率へのカウントの対象となり、障害者雇用枠での就職ができる
・障害者職場適応訓練を受けられる 
など、就職への支援が受けられます。実際に障害者雇用制度を利用して就労する人の数は年々増加しています。

ですが、希望している職種や企業が障害者雇用枠で募集しているとは限らないこと、賃金などの面で希望と合わないこともあるでしょう。一般の求人に応募したい場合などには、手帳を持っているからと言って必ずしもこの制度を利用しなくてもよいですし、手帳取得者であることを報告する義務はありません。制度を利用するかどうか、よく考え、支援機関などと連携し、相談しながら進めていくとよいでしょう。

大人のADHD、会社への報告は?

会社へADHDであることを報告するかどうかはとてもデリケートな問題です。会社に報告する人が多くなってきていることは事実ですが、周りや会社には報告しないことを選択している人も少なくありません。しかし報告をすることによって周りからの理解が得られ、離職率が低下するということも考えられます。

報告した際のメリットとしては、サポートを受けやすくなったり、フォローしてもらえるようになるということがあげられます。業務の相談もしやすくなると思いますし、以前より職場環境を快適に感じることにつながるかもしれません。

しかし中には偏見を持ったり、あまりADHDに対して理解をしてくれない人もいる場合があるかもしれません。そのため、一概には言えません。ご自身と職場の状況をよく考えた上で、ADHDの特性があると報告をする場合は人を選んで報告し、仕事のどういうところで具体的にフォローが必要かを伝えるのが良いのではないでしょうか。

どのように報告すべき?

会社や同僚へADHDについて報告をする場合は、下記のポイントに注意して行うようにしましょう。

■手順
・まずは信頼できる直接の上司や同僚に相談し、どの範囲の人たちに公表するのかを決める
・自分がどのような障害でどんなサポートが必要かを簡潔に報告する

■伝える点
何が苦手で何が得意か、どんなフォローが必要かなど、具体的に伝え相談します。
(例)
・人間関係が上手に構築できない場合があることを報告する
・会話を表面通りに受け取りやすい、明確な指示がないと行動しづらいことを伝える
・一つに集中すると、周りが見えなくなりやすいこと
・スケジュール管理やタスク管理が苦手なこと
・自分では気がついていない点があるため、注意や指示してほしいこと など

人によって特性が異なるため、あくまで自分の特性に応じた内容を伝えるようにしましょう。

■注意するべき点
・ADHDだからサポートしてもらって当たり前といった、一方的な報告にならないようにする
・ADHDの特性への理解と把握をお願いし、報告したら、自分なりの解決策を提示する
・その解決策が正しいかどうか、上司や同僚に確認してもらう
・仕事が好きなこと、挑戦してみたいことを伝え、そのためにはどうしたらよいのか具体的な目標を一緒に考えてもらう など

大人のADHD、仕事での困りごと・よくあるミスと対処法

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仕事の段取りがうまくいかない

複数の仕事を同時進行でしようとすると中途半端になってしまいがちです。一つずつ確実に仕事を終わらせることを心がけて仕事をすすめていくようにしましょう。
・やる仕事を書き出して優先順位をつけて目に付くところに貼っておく
・やり終わったら消していく
・仕事をパターン化する
といった工夫によって、仕事がしやすくなることがあります。もし、仕事の優先順位が分からない場合には、上司や周りの人に相談して優先順位を決めてもらうことがおすすめです。

片付けることが苦手で、物を無くしがち

書類を忘れてしまったり、なくしてしまうこともあり、職場で困ることがあります。その場合には、次のことを試してみましょう。
・しまう場所を決める
・保管場所を一覧表にまとめ、目に付くところに貼っておく
・定期的に整理をして物を増やさないようにする
・書類・メモはデータとしても保存しておく など

報告や相談のタイミングが分からない

職場で報告や相談をするタイミングが分からずにトラブルになってしまうこともあります。その場合には次のことを試してみましょう。
・報告や相談の内容をメモにして相手の机に置いておく
・「今よろしいでしょうか?」とたずねる
・上司と相談して、報告や相談をするタイミングを定期的に決めておく
・上司と相談して業務のフローを決め、どのタイミングで報告をするか決めておく など

どの相談を誰にしたらいいのか分からなくなってしまう場合には、「□□については○○さんに相談する」など決めておく方法があります。

報告・相談・連絡と言われても、何を報告したらいいのか分からない場合には次のことを試してみてください。
・仕事ごとに、何をどんな風に報告したらいいのか具体的に教えてもらう
・報告する前に頭を整理するため、何を報告するのか書き出してまとめておく(報告する時に見ながら報告できる)
・口頭で報告することが苦手な場合には、メールや文書での報告も一部だけでもOKにしてもらう など

苦手なことでも、工夫次第でできることがたくさんあります。でも、苦手なことばかりに目を向けているのではなく、自分の得意なことも活かせるような方法も考えることもおすすめします。

ADHDだから仕事ができないわけではない

ADHDの人が就業する場合、多少の困難はもちろんつきものです。中には、雇用者や職場の方から虐待をうけてしまうこともあります。本人から周りに助けを求めるのが難しい場合もあるので、虐待に気づいた場合、周りの人が各自治体の障害者虐待防止センターなどの専門機関に虐待の存在を知らせましょう。本人からの申告も可能ですし、またこの虐待は就業場に限らず家庭内の虐待も含みます。

障害者虐待防止センターに相談すると、支援・指導を受けることができ、問題の糸口を探すお手伝いをしてくれます。強制的に仕事や家族から隔離されたりすることはありませんので、安心して相談することができます。

ADHDの人は仕事面で困難に直面することが多くあります。だからといって、就職ができないわけではありません。また、就職をしても仕事ができないということでもありません。苦手なことでも工夫をすることで対処できるようになります。

また、自分の得意なことを仕事に活かせると、その人ならではの強みを作っていけいます。得意分野を見つけても、どう仕事に活かせたらいいのか分からない場合には、取り組んでいて時間がたつのが早く感じるような仕事を見つけてください。それが適職となって、自分を最大限に活かせる職場とめぐり合うきっかけになることがあります。
図解 よくわかる大人のADHD
榊原 洋一 (著),‎ 高山 恵子(著)
ナツメ社
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