広汎性発達障害(PDD)とは?年齢別に症状の特徴を解説!(2ページ目)

広汎性発達障害の診断基準

広汎性発達障害の症状・特徴チェック

広汎性発達障害について、気になる症状がある場合は医師に相談し、診断を受けることもできます。医療機関での診断は、アメリカ精神医学会のDSM-5(『精神障害のための診断と統計のマニュアル』第5版)や世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)(※)による診断基準によって下されます。

医療機関では、診断基準に基づいたテスト、生育歴の聞き取り、その人のライフスタイルや困難についての質疑応答など、しっかりと話を聞いた上で総合的に判断されます。原因や治療は「自閉症」と共通するパターンが多いです。個々のニーズにあった療育や支援、投薬が必要となってきます。

DSM-5では、ICD-10で広汎性発達障害の診断名の下にあったレット障害をのぞくすべての障害名が、自閉症スペクトラム障害という名に統合されました。そのため、今後は広汎性発達障害の診断は少なくなると思われます。本記事ではDSM-5における自閉症スペクトラム障害を診断する基準をご紹介します。

A. 複数の状況で社会的コミュニケーションおよび対人的相互反応における持続的な欠陥があり、現時点または病歴によって、以下により明らかになる(以下の例は一例であり、網羅したものではない)。
(1)相互の対人的・情緒的関係の欠落で、例えば、対人的に異常な近づき方や通常の会話のやりとりのできないことといったものから、興味、情動、または感情を共有することの少なさ、社会的相互反応を開始したり応じたりすることができないことに及ぶ。
(2)対人的相互反応で非言語コミュニケーション行動を用いることの欠陥、例えば、まとまりの悪い言語的・非言語的コミュニケーションから、視線を合わせることと身振りの異常、または身振りの理解やその使用の欠陥、顔の表情や非言語的コミュニケーションの完全な欠陥に及ぶ。
(3)人間関係を発展させ、維持し、それを理解することの欠陥で、例えば、様々な社会的状況に合った行動に調整することの困難さから、想像上の遊びを他人と一緒にしたり友人を作ることの困難さ、または仲間に対する興味の欠如に及ぶ。

B.行動、興味、または活動の限定された反復的な様式で、現在または病歴によって、以下の少なくとも2つにより明らかになる(以下の例は一例であり、網羅したものではない)
(1)常同的または反復的な身体の運動、物の使用、または会話(例:おもちゃを一列に並べたり物を叩いたりするなどの単調な常同運動、反響言語、独特な言い回し)。
(2)同一性への固執、習慣へのかたくななこだわり、または言語的・非言語的な儀式的行動様式(例:小さな変化に対する極度の苦痛、移行することの困難さ、柔軟性に欠ける思考様式、儀式のようなあいさつの習慣、毎日同じ道順をたどったり、同じ食物を食べたりすることへの要求)
(3)強度または対象において異常なほど、きわめて限定され執着する興味(例:一般的ではない対象への強い愛着または没頭、過度に限定・固執した興味)
(4)感覚刺激に対する過敏さまたは鈍感さ、または環境の感覚的側面に対する並外れた興味(例:痛みや体温に無関心のように見える、特定の音、感覚に逆の反応をする、対象を過度に嗅いだり触れたりする、光または動きを見ることに熱中する)

C. 症状は発達早期に存在していなければならない(しかし社会的要求が能力の限界を超えるまで症状は明らかにならないかもしれないし、その後の生活で学んだ対応の仕方によって隠されている場合もある)。

D. その症状は、社会的、職業的、または他の重要な領域における現在の機能に臨床的に意味のある障害を引き起こしている。

E. これらの障害は、知的能力障害(知的発達症)または全般的発達遅延ではうまく説明できない。知的能力障害と自閉スペクトラム症はしばしば同時に起こり、自閉スペクトラム症と知的能力障害の併存の診断を下すためには、社会的コミュニケーションが全般的な発達の水準から期待されるものより下回っていなければならない。

出典:https://www.amazon.co.jp/dp/4260019074
※ICD-10について:2019年5月、世界保健機関(WHO)の総会で、国際疾病分類の第11回改訂版(ICD-11)が承認されました。日本国内ではこれから、日本語訳や審議、周知などを経て数年以内に施行される見込みです。
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広汎性発達障害の疑いを感じたらどうすればいい?

広汎性発達障害の診断は専門機関・医療機関での総合的な検査が必要です。自己判断はさけ、上記の基準の中に当てはまる項目や気になることが多い場合は、専門機関での相談・検査をおすすめします。

特に見た目から判断しづらい広汎性発達障害の場合、大人になるまで気づかないケースも多々あります。障害と知らずに様々な困難に直面することで自信をなくしたり、周りからいじめにあうなど辛い思いをする人も多くいます。早めに障害を発見し対応することで、その後の人生の困難が少なくなります。

また、早めに障害を理解して対応することは、うつ病や精神障害などの二次障害の予防にもなります。少しでも広汎性発達障害の症状や特徴が見られたら、早めに対処することが大切です。

診断を受ける前にまずは専門機関で相談を

医療機関での診断は、子どもの場合は、発達障害の専門外来がある小児科、脳神経小児科、児童精神科などで行われることが多いです。また、18歳以上の場合は一般的に精神科や心療内科で診断がなされます。しかし、広汎性発達障害を診療できる専門の医療機関はまだまだ少ないのが現状です。いきなり専門医に行くのは難しいので、障害なのかな、と疑問を持った場合、まずは地域にある身近な専門機関で相談するようにしましょう。

子どもか大人かによって、行くべき専門機関が違うので、以下を参考にしてみてください。

【子どもの場合】
・保健センター
・子育て支援センター
・児童発達支援事業所
・発達障害者支援センター など

【大人の場合】
・発達障害者支援センター
・障害者就業・生活支援センター
・相談支援事業所 など

知能検査や発達検査は児童相談所などで無料で受けられる場合もありますし、障害について相談することも可能です。その他、発達障害者支援センターで障害についての相談ができます。自宅の近くに相談機関が場合には、電話での相談にものってくれることもあります。

以下は小児神経学会が発表している、発達障害診療医師の名簿です。この他にも、児童精神科医師や診断のできる小児科医師もいます。各地域の「発達障害者支援センター」に相談をして、障害の疑いがあれば、そこから専門の医療機関を紹介してもらう方法をおすすめします。担当者との相性も大切なので、納得のいく医療機関を選ぶようにしましょう。

まとめ

広汎性発達障害には様々な症状がありますが、その症状には個人差があります。

早期にそれらの特性に気づき、一人一人に合った環境をつくること、早期療育や適切な教育を行っていくこと、苦手なことの対応方法を工夫していくことで、逆に特性を強みとして活かすこともできます。広汎性発達障害のある人の中でも、特性を活かして活躍している人がいます。特性を活かせるような環境づくりをすることで、本人の生活上の困難さを解消し、その人らしく生きることが可能になるでしょう。
イラスト図解 発達障害の子どもの心と行動がわかる本
田中康雄 (監修)
西東社
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