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[第2回]

いくつもの手話を駆使して芝居に挑むとき、「しんどい」は原動力になる。

「女優なんて耳聞こえないから無理」そんな周囲の言葉に負けず、自ら夢へ一歩踏み出した津田絵理奈さん。どんな困難にも負けず、前に進みつづける津田さんの原動力とは。

ろう学校で学んだ手話は、全国共通じゃなかった!

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編集部:前回は、学校生活について教えていただきました。ちょっと気になるのですが、ろう学校では授業をどんな風に進めるんですか?

津田:学校独自の手話を使ってましたね。

編集部:独自?

津田:そうなんです。東京に来て「これは全国共通じゃないんだ」と気づいたんです(笑)

舞台で難聴の女性の役をやらせていただいた時、これまで自分が使ってこなかった日本語対応手話を使うことになりました。とにかく覚えるのが大変で、4ヶ月くらい練習したのかな…

編集部:手話にもいくつか種類があるんですか?

津田:そう。日本手話と、日本語対応手話、と別れていたり、方言と同じように関西と東京で違ったりもするんですよ!関西での「水飲みたい」は東京だと「岩飲みたい」になってしまう(笑)

編集部:そうなんですね!知らなかったです。

津田:学校では口話や文字、学校独自の手話で勉強してたんですけど…なぜかあの頃は「手話は社会にでたら役にたたないんだ」と思っていました。生徒の中でそんな風潮も少しあったのかな…理由はわからないですけど。

過去の自分を想うと「あと1歩踏ん張ろう」と頑張れる

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編集部:女優を辞めたいと思ったこと、ありますか?

津田:あります!即答しちゃいましたね。(笑)

お仕事を辞めたいと思ったとき、親は「頑張りなさい」じゃなくて「帰っておいで」と言ってくれました。その言葉を聞いて「いつだって受け入れてくれる暖かい家族がいるから頑張ろう、頑張りたい」と思いなおしました。

編集部:なるほど。

津田:家族の応援は本当に心強い。でも、映画の撮影現場に来てくれたときは、緊張して20回くらいNG出しました!現場は1人の方が良いですね。(笑)

編集部:あはは(笑)
津田:家族の存在も私の支えですが、事務所に応募する前の自分自身を想うと「もう少し踏ん張ろう、辛いけどまだ頑張りたい」と強く前へ進めるんです。

学校にも行けず、毎日に何も見いだせなくて、すごく辛かった時期がありました。「死のう」と思うこともありました。そんな過去の自分自身を振り返ると、今やりたい事があって挑戦できている。こんなに変われたんだ、と励まされるんです。

だからあの頃を考えると、まだ頑張れる。もう一歩頑張ろう、頑張りたい、そう踏ん張れますね。自分を守れるのは自分だけですからね。

編集部:なるほど。その想いが踏ん張るときのエネルギーになっているんですね。

津田:はい。事務所に所属してすぐに週刊朝日の表紙をさせていただきました。私にとっての一番最初のお仕事です。そのときに「あぁ、勇気だして挑戦して、本当に良かった…」と自分の決断を認める事ができました。

右も左も分からない最初のお仕事でそう思えるなんて、私は本当にこの仕事をやりたいんだと痛感した経験でしたね。

今も昔も変わらない「興味にまっすぐな性格」が自分を支えている

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編集部:「やりたい」と思って実際に応募するまで行動ができる、というのは津田さんの突破力といいますか…

津田:確かに、昔から興味のあることは、迷わずとことん調べたり動くタイプでした。

例えば…坂本龍馬がブームの時期があったんですけど、歴史の授業には全く関係ないのに「龍馬龍馬龍馬…」って本も映画も調べて四六時中頭のなかは坂本龍馬。(笑)

編集部:授業と関係ないのに。(笑)

津田:そうなんです、もったいない。(笑)

今も気になることがあればすぐウィキペディアです。小さいころ学校で勉強したことが、大人になってもっとよくわかる、というのは面白いですよね。

編集部:興味のあることにまっすぐなんですね。

津田:そうかもしれないです。逆に興味が無いと全く…。読書も好きですが、最初の1ページを読んで「入り込めないな」と思うとすぐやめてしまいます。もういいやって。

編集部:わかります、わかります。

津田:あ、入りこめるから女優が楽しいのかもしれませんね。夫は照明関係の仕事をしていて、よく舞台の台本を持って帰ってくるんです。それを読むのが特に好き。スッと入りこめて楽しいんです。

編集部:なるほど、入りこめる、かあ。

津田:台本を読んで、現場にいって、その空気を感じる瞬間がとっても好きです。自分がやるこの役は、こういう環境で育ってきたのかな、と思索したり研究したりする時間を大切にしています。答えはないけど、じっくり考える。

もちろん頭でわかっていることと出来ることは違いますから、演じるのは難しいですけど、それは女優の面白さですね。
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