ハンチントン病の診断基準は?

ハンチントン病の診断基準は問診や画像検査によって分かることがあります。また、受診機関もその時々の症状に合わせて横断的に受診し、専門医にも診てもらうことをおすすめします。

診断基準

ハンチントン病の診断は主に問診によって行われ、家族歴、臨床所見により臨床判断が可能です。しかし、確定診断は遺伝子検査により診断されます。

■家族歴:
近親にハンチントン病を患った方がいるか、または神経疾患や精神疾患がある方がいるかどうか。

ハンチントン病の原因は親から子への遺伝によるものです。したがって、近親でハンチントン病になったことがある方がいるかどうかを問うことがあります。

■特徴的な臨床所見:
上記で述べたようなハンチントン病特有の運動症状(不随意運動)や精神症状を自覚または他覚できるかどうか。

初期症状では日常生活中のふとした瞬間に手が震える等の軽い不随意運動が起こります。初期症状を他覚するのは難しいですが、自覚があるならば問診時に話してみることをおすすめします。

受診する機関

神経内科や精神科を受診して、専門医に診てもらうことをおすすめします。近親にハンチントン病の方がいらっしゃる場合には、その旨を医師にお伝えください。

検査方法

■CT検査・MRI検査
ハンチントン病の不随意運動(舞踏運動)は脳の一部の大脳基底核と大脳皮質の異常により生じるため、CT検査やMRI検査を行います。さらにこれらの検査は他の病気である可能性を否定するために行うものとされています。また、うつ病の方は共通して大脳基底核と大脳皮質の萎縮が見られますが、これらの特徴がうつ症状にどのように影響しているかはまだ分かっていません。

■遺伝子検査
確定診断のために遺伝子検査を行います。近親にハンチントン病の方がいて、ご自身にも自覚症状がある場合には遺伝子検査を受けることをおすすめします。近親にハンチントン病の方がいるが、ご自身に自覚症状がない場合は、遺伝カウンセリング等を受けることが一般的にすすめられています。

ハンチントン病の治療法

ハンチントン病の原因治療はなく、対症治療がメインになります。主に薬物療法を用いて運動症状・精神症状を和らげています。不随意運動(舞踏運動)の治療薬には2013年から使用が許可されたテトラベナジンがあり、精神症状には抗精神病薬を使用しています。
参考:患者向医薬品ガイド コレアジン錠|独立行政法人医薬品医療機器総合機構
https://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/GUI/530258_1190021F1025_1_00G.pdf

ハンチントン病と診断されたら…

ハンチントン病が進行するにつれて、自分の意思を伝えることが困難になってきます。そのため、本人が自分の意思・希望を伝達するための方法を確保することが重要です。

また、難病指定がされている疾患のため、医療費の助成支援を受けることもできます。以下では、診断を受けたらしておくと良い手続きなどをご紹介します。

事前指示書(アドバンス・ディレクティブ)

事前指示書とは本人が医療についての決断を下すことができなくなった場合に、医療についてのその人の希望を伝達するための文書です。以下の文書を作成し、手続きを行っておくと自分の意思や尊厳を優先することができます。
■リビングウィル
医療に関する患者の指示や希望をあからじめ表明した文書

■医療判断代理委任状
本人が決断を下すことができない状態に陥った場合に本人の代わりに決断を下す(代理人)を指定するための文書
参考サ:事前指示書(アドバンス・ディレクティブ)|MSDマニュアル家庭版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0/01-%E7%9F%A5%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%8A%E3%81%8D%E3%81%9F%E3%81%84%E5%9F%BA%E7%A4%8E%E7%9F%A5%E8%AD%98/%E6%B3%95%E7%9A%84%E5%95%8F%E9%A1%8C%E3%81%A8%E5%80%AB%E7%90%86%E7%9A%84%E5%95%8F%E9%A1%8C/%E4%BA%8B%E5%89%8D%E6%8C%87%E7%A4%BA%E6%9B%B8

難病医療費助成制度の申請

ハンチントン病は国の指定難病にされているため、医療費の助成を受けることができます。指定難病の医療費の自己負担割合は2割です。

また、その他の制度による医療費がすでに1割負担となっている患者さんの場合、負担割合は1割のまま変わりません。難病医療費は世帯の所得に応じた医療費の自己負担上限額(月額)が設定されます。自己負担上限額は、受診した複数の医療機関などの自己負担をすべて合算したうえで適応されます。
参考:難病医療費助成制度の対象疾病について|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000117467.pdf
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