知能検査とは?知能検査の種類、受診方法など

2016/07/30 更新
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知能検査は心理検査の一つであり、精神年齢、IQ(知能指数)、知能偏差値などによって測定されます。発達支援や学習指導、就学前健診などで活用されています。ウェクスラー式知能検査、田中ビネー知能検査、KABC心理・教育アセスメントバッテリーなどがよく使われています。この記事では、知能検査の種類や受けられる機関、費用などをまとめました。

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発達障害のキホン
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目次 知能検査とは 知能検査の歴史 知能検査の検査形態 知能検査の種類 知能検査の受け方、費用は? 知能検査を受ける前にまずは相談機関へ 知能検査改訂の背景 まとめ

知能検査とは

知能検査とは、主に物事の理解、知識、課題を解決する力といった、認知能力を測定するための心理検査の一つです。

認知発達の水準を評価し、その人の得意分野、不得意分野を分析することで、発達支援や学習指導の方向性を検討するなどの目的で利用されます。

知能検査においてはIQ(知能指数)の値を指標とすることが多くあります。IQはInteligence quotientの略で、知能のレベルを評価するための標準化された尺度です。検査は、精神年齢、IQ(知能指数)、知能偏差値などによって測定されます。IQの値の範囲は測定の手段によって異なりますが、一般的に平均値を100として比較可能な分類がされます

『発達障害事典』(2011年・明石書店刊)によると、IQの値による分類は以下のようになります。

・130以上:極めて優秀
・120-129:優秀
・110-119:平均の上
・90-109:平均
・80-89:平均の下
・70-79:境界線級/ボーダーライン
・70未満:知的障害

出典:https://www.amazon.co.jp/dp/4750333271
一方で、知能についての考え方や測定の方法には、統一的なものがありません。つまり、検査ごとに、認知や知能についての考え方の違いがあり、検査の内容、IQの算出方法などが違っています。

そのため、それぞれの知能検査が、何を目的としてどのような指標で知能を測定しているのかを理解したうえで、検査結果を参考にすることが大切です。

知能検査の歴史

学校教育が始まった当初は、子どもの特性に応じた教育という考え方が十分に認識されていませんでした。

そのため、学習に困難が生じる子どもも多く見られるようになりました。その後、一人ひとりの子どもの個性に合った学習法で教育を提供するべきだという指摘がなされたのがきっかけで、子ども一人ひとりの特性を把握するための手段として、現在の知能検査の原型となる、知能の測定方法が考案・開発されるようになりました。

知能検査は、1905年にアルフレッド・ビネーとテオドール・シモンによって開発された「知能測定尺度(ビネー‐シモン法)」が始まりです。

ビネー‐シモン法は、子どもの能力を測る画期的なテストとして注目され、諸外国で翻訳・普及していきましたが、その過程で各々の国に合う形への再標準化も試みられました。中でも大規模なものが、1916年にアメリカのターマンらによって開発された「スタンフォード改訂増補版ビネー‐シモン知能測定尺度(通称スタンフォード・ビネー法)」です。

スタンフォード・ビネー法における特徴は、1912年にウィリアム・シュテルンが提唱した、「知能指数(IQ)」と「精神年齢」という新たな指標を取り入れたことです。これによって、精神年齢と生活年齢との比で求める比例知能指数(比例IQ)の概念が普及します。

ビネー‐シモン法に端を発する知能検査は、はじめ、知的障害のある子どもを見極めることを主な目的として開発されました。しかし、のちに知能検査の対象は知的障害のある子どもだけではなくなり、さまざまな集団・年齢の人々の知能を測る上での手段として発展していきます。知能指数についての考え方も変化し、現在では比例IQよりも偏差IQが使用されることが多くなっています。偏差IQは、同一年齢集団の平均からの隔たり(これを偏差と言います)の程度に基づいて算出されるもので、平均が100となるように換算します。

その後も、さまざまな研究者が知能検査を開発し、時代の変化とともに改訂を重ねながら現在に至ります。今回の記事では、現在日本で主に使われている知能検査の種類や特徴を中心に紹介していきます。

知能検査の検査形態

知能検査の検査形態は次のように分けられます。なお、個別式と集団式どちらも扱っている検査もあるようです。

個別式知能検査

受検者と検査者の一対一で行う検査です。現在使われている検査の多くがこの個別式知能検査です

集団式知能検査

「団体式知能検査」とも言います。学校などでたくさんの人を検査するための筆記式検査です。集団式知能検査を受けた後、知能や発達に問題が見つかった場合は、続けて個別式検査を受けることでよりきめ細やかに調べることができます

おもに小学校就学時に就学時健康診断で行われる集団式知能検査に、「就学時知能検査」があります(「就学時検査」とも言います)。

就学時知能検査は子どもが就学する際に健康診断とともに一斉に行われる知能検査であり、年齢を基準としての発達の遅れや偏りを把握する手段の一つとしても使われます

文部科学省による学校保健法では、就学時知能検査の技術的基準について、以下のように定められています。

知能については、標準化された知能検査法以外の方法によることも可能であることから、検査法を限定せずに、適切な方法であればよい。なお適切な方法としては医師等の専門家による面接や行動観察があげられる。

出典:http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/t20020329008/t20020329008.html

知能検査の種類

知能検査には、言語を用いる検査「A式」と、言語ではなく数字や図形などを用いる検査「B式」があります。「A式」と「B式」どちらも取り入れた検査「AB式」もあります。

最近では、「ウェクスラー式知能検査」、「田中ビネー知能検査」、「KABC心理・教育アセスメントバッテリー」が比較的よく使われています。どの知能検査を扱うかは、専門家(医師、臨床心理士など)が判断することが多いです。ここでは、個別式知能検査の種類をいくつか紹介しますので、参考にしてみてください。

ウェクスラー式知能検査

ウェクスラー式知能検査は児童期や成人期においてもっともよく使われる知能検査です

受験者の年齢に応じて、

・児童版のWISC(Wechsler Intelligence Scale for Children、通称ウィスク)
・成人用のWAIS(Wechsler Adult Intelligence Scale、通称ウェイス)
・幼児用のWPPSI(Wechsler Preschool and Primary Scale of Intelligence、通称ウィプシ)

の3つに検査の種類が分けられています。日本語版では、WISCは第4版(WISC-IV)、WAISは第3版(WAIS-III)が最新となっています。WPPSIは2016年現在、改訂が進められているところです。

・適用年齢の範囲: WISCは5歳0ヶ月〜16歳11ヶ月、WAISは16歳〜89歳、WPPSIは3歳10ヶ月〜7歳1ヶ月。
・実施時間: WISCとWAISは概ね90分以内、WPPSIは60分以内。

ウェクスラー式知能検査では、精神年齢は算出されません。また比例IQではなく、偏差IQが算出されます。また複数のテスト(下位検査)の結果を総合した全検査IQの他に、知的機能の領域ごとの指標が算出できます。例えばWISCであれば、言語理解指標、知覚推理指標、ワーキングメモリ指標、処理速度指標が算出されます。IQも各指標も平均が100となるように作られているため、比較することができ、得意、不得意の判断に使うことができます。
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田中ビネー知能検査

田中ビネー知能検査は、ビネー-シモン法の伝統を残した知能検査の一つです。基本的に精神年齢を用いた比例IQを算出するものとなっていますが、近年の動向を反映し、偏差IQを算出することもできます(14歳以上に関しては、比例IQは算出せず、偏差IQのみ算出)。子どもが興味を持てるように、検査に使われる道具が工夫されています。現在は、『田中ビネー知能検査Ⅴ(ファイブ)』が最新版であり、病院以外に発達相談や教育相談における知的発達のアセスメントとして活用されています。

難易度別に問題が分かれ、1歳級から13歳級までの各年齢の問題、成人の問題があることが特徴です。1歳級以下を対象にした検査では、「発達チェック」項目も設けられています。

小学校に就学する5~6歳の年齢にフォーカスをあて、特別な配慮が必要かどうかを判断するための「就学児版田中ビネー知能検査V(ファイブ)」という検査もあります。

・適用年齢の範囲: 2歳~成人
・実施時間: 60分~90分

田中ビネー知能検査に関しては、株式会社LITALICOが運営する0~18歳向けの児童発達支援事業を含む学習塾/幼児教室「LITALICOジュニア」でも受けることができます。平均より早い期間での実施が可能で、検査後は、必要なご家庭での対応方法やLITALICOジュニアの指導における重点課題を含めた報告書を作成し、詳しくご説明することもできます。
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KABC心理・教育アセスメントバッテリー

KABC心理・教育アセスメントバッテリーは、子どもの知的能力を認知処理過程と知識・技能の習得度の両面から評価することが特徴の検査です。検査結果からその子どもが得意な認知処理様式を見つけ、それを実際の指導・教育に活かすことを目的としています。

最近では、2013年に第2版である「日本版KABC-Ⅱ」が刊行され、検査内容が大幅に変更されました。KABC-Ⅱでは、適応年齢が12歳から18歳に変更され、認知処理の焦点が広がりました。

・適用年齢の範囲: 2歳6ヶ月~18歳11ヶ月
・実施時間: 30分~60分

DN-CAS 認知評価システム

DN-CAS認知評価システムは、「プランニング」、「注意」、「同時処理」、「継次処理」の4つからなる、神経心理学における「PASS理論」を基礎としている心理検査です。

LD(学習障害)やADHD(発達障害)、自閉症スペクトラム等の子どもたちに見られる認知的偏りの傾向を捉えることができ、その援助の手掛かりを得るために有効です。

・適用年齢の範囲: 5歳~17歳11ヶ月
・実施時間: 40分~60分

レーヴン色彩マトリックス検査

レーヴン色彩マトリックス検査は、いわゆる知能の流動性の側面を測定する検査です。課題は、図版の配列の規則性を推論するもので、言語能力に大きく依存しません。短時間かつ簡便に行うことのできる検査で、失語症や認知症の検査としても広く使われています。

・適用年齢の範囲: 45歳以上
・実施時間: 10分~15分

知能検査の受け方、費用は?

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