「わからない僕はダメな子?」息子はどれほど悩んでいたのだろう
ライター:林真紀
発達障害児の中には、「分からない」「できない」を伝えるのが苦手な子が多くいます。私の息子もその一人。どうして「分からない」と言えないのでしょう?その理由は、彼らの物事の捉え方の独特さにありました。
就学前の知能検査で知った、息子の一面
先日、小学校入学まで一年を切った息子の知能検査を受けに、病院に行ってきました。
今回受けた検査はWISCというもの。絵や言葉を使いながら子どもの知的発達を調べるものでした。
このテストの特徴は、問題のレベルが年齢相応のものからだんだんと年上の子用のものにまで上がっていくところでした。そのため、6歳の息子にとっては分からない問題が出てくるのは当然です。
ところが、検査中に、驚きの問題が発生しました。
10歳から12歳程度の子どもの問題に取り組んだ息子は、何を聞かれているのかすら分からない問題を前に、何も言わずにイライラしながらいつまでも頭を絞り続けるのです。なかなか「分からない」という言葉を発しない息子に、私も先生もハラハラしました。
そんな息子を見かねた病院の先生は、「分からない?別に分からないなら分からないって言って良いのよ」と声をかけます。すると息子から出てきたのは…
「分からないって言ってもいいんですか?」
「分からないって言っても怒られない?」
息子の「分からない」の一言を待っていた私たちは、この言葉に唖然としてしまいました。
今回受けた検査はWISCというもの。絵や言葉を使いながら子どもの知的発達を調べるものでした。
このテストの特徴は、問題のレベルが年齢相応のものからだんだんと年上の子用のものにまで上がっていくところでした。そのため、6歳の息子にとっては分からない問題が出てくるのは当然です。
ところが、検査中に、驚きの問題が発生しました。
10歳から12歳程度の子どもの問題に取り組んだ息子は、何を聞かれているのかすら分からない問題を前に、何も言わずにイライラしながらいつまでも頭を絞り続けるのです。なかなか「分からない」という言葉を発しない息子に、私も先生もハラハラしました。
そんな息子を見かねた病院の先生は、「分からない?別に分からないなら分からないって言って良いのよ」と声をかけます。すると息子から出てきたのは…
「分からないって言ってもいいんですか?」
「分からないって言っても怒られない?」
息子の「分からない」の一言を待っていた私たちは、この言葉に唖然としてしまいました。
息子の発言に驚いたとき、発達障害特有の捉え方に気がついた
「分からないって言ってもいい?」
息子の一言に驚いた先生は慌てて言いました。
「このテストはね、あなたよりもずっとお兄さんお姉さんがやる問題も入ってるから、分からないときは分からないって言っていいのよ。誰も怒らないよ。」
これを聞いて、息子はちょっとホッとした顔をして、絞り出すように「…分からない」と言いました。ところが言った後に突然頭を抱えてしまったのです。そして、
「やっぱり僕はダメなんだね。僕ってバカなんでしょう?」
と言うではありませんか。
息子の一言に驚いた先生は慌てて言いました。
「このテストはね、あなたよりもずっとお兄さんお姉さんがやる問題も入ってるから、分からないときは分からないって言っていいのよ。誰も怒らないよ。」
これを聞いて、息子はちょっとホッとした顔をして、絞り出すように「…分からない」と言いました。ところが言った後に突然頭を抱えてしまったのです。そして、
「やっぱり僕はダメなんだね。僕ってバカなんでしょう?」
と言うではありませんか。
見えないところで苦しむ子ども。私たち大人は何ができる?
「分からない」=「バカ」「ダメ」
息子は、物事をとらえるときに0か100かのどちらかで考える傾向があります。
これは、発達障害児の特性の一つでもあるのですが、何かをしたときに、「成功」か「失敗」、「褒められる」か「怒られる」など極端にとらえてしまうのです。
難しい問題にぶち当たった息子は、「問題が分からない自分」を「ダメでバカな子」だと考えたのです。
そんなとらえ方をしてしまう息子にとって、「分からない」という言葉を発すること、さらに相手に助けを求めることは、私たちが想像する以上に難しいことだったのです。
分からないことを「分からない」と言えないとき、息子はその気持ちを別の形で表現しようとします。イライラして癇癪を起したり、パニックを起こして全部投げ出して逃げ出したり…。
ひどいときには「出来た」と嘘をつくことさえあるのです。そんな状況に陥らないためにも、「分からない」と言うことはとても大切な行為なのです。
私たちができることは、「分からないことには分からないと言っても何も怖いことは起きない」、「分からないと言えることはすごいことなんだ」ということを子どもに伝え続けていくことだと思います。
実際に「分からない」と自分から言えるようになるまでは、長い道のりかも知れません。本人にとってそれは「恐怖」でしかないのですから。
でも、いつか「分からない」と言えるようになったとき、彼らは今よりもずっと心穏やかに日々を過ごせるようになります。その日を信じて。
息子は、物事をとらえるときに0か100かのどちらかで考える傾向があります。
これは、発達障害児の特性の一つでもあるのですが、何かをしたときに、「成功」か「失敗」、「褒められる」か「怒られる」など極端にとらえてしまうのです。
難しい問題にぶち当たった息子は、「問題が分からない自分」を「ダメでバカな子」だと考えたのです。
そんなとらえ方をしてしまう息子にとって、「分からない」という言葉を発すること、さらに相手に助けを求めることは、私たちが想像する以上に難しいことだったのです。
分からないことを「分からない」と言えないとき、息子はその気持ちを別の形で表現しようとします。イライラして癇癪を起したり、パニックを起こして全部投げ出して逃げ出したり…。
ひどいときには「出来た」と嘘をつくことさえあるのです。そんな状況に陥らないためにも、「分からない」と言うことはとても大切な行為なのです。
私たちができることは、「分からないことには分からないと言っても何も怖いことは起きない」、「分からないと言えることはすごいことなんだ」ということを子どもに伝え続けていくことだと思います。
実際に「分からない」と自分から言えるようになるまでは、長い道のりかも知れません。本人にとってそれは「恐怖」でしかないのですから。
でも、いつか「分からない」と言えるようになったとき、彼らは今よりもずっと心穏やかに日々を過ごせるようになります。その日を信じて。
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