知的障害の若者に大学教育を。福祉型大学「カレッジ」の挑戦
ライター:発達ナビ編集部
障害のある若者にとっての新しい学びの形を実現しようと活動している福祉型大学「カレッジ」。この活動が障害のある人たちの生活をどう変えていくのでしょうか。代表の長谷川正人理事長に発達ナビ編集部が取材に行ってきました。
特別支援学校卒業生の進学率は"0.4%" 知的障害者の教育格差・就職格差に挑む
知的障害のある若者が、特別支援学校を卒業した後の進路をご存じでしょうか。
文部科学省の資料によると、福祉施設や企業への入所・就職が90%以上を占め、大学などへ進学するのはわずか0.4%です。
一般的な高校卒業後に専門学校や大学への進学する人の割合は70%を超えていることから、教育格差の大きさがうかがえます。
また特別支援学校で十分な技能を身につけられないまま卒業してしまうと、就職そのものがうまくいかなかったり、就職後に職場に馴染むことができず退職したりするケースも多く、就職格差も問題となっています。
そんな格差に一石を投じるのが、社会福祉法人鞍手ゆたか福祉会が運営する福祉型大学「カレッジ」です。
「カレッジ」は主に特別支援学校の卒業生を対象として、就職する前の若者にさらなる学びの場を提供しています。2012年の「カレッジ福岡」の開設を皮切りに、現在は全国5か所で展開しています。
今回は、東京都新宿区にある「カレッジ早稲田」の見学とともに、代表の長谷川正人さんにインタビューを行いました。
文部科学省の資料によると、福祉施設や企業への入所・就職が90%以上を占め、大学などへ進学するのはわずか0.4%です。
一般的な高校卒業後に専門学校や大学への進学する人の割合は70%を超えていることから、教育格差の大きさがうかがえます。
また特別支援学校で十分な技能を身につけられないまま卒業してしまうと、就職そのものがうまくいかなかったり、就職後に職場に馴染むことができず退職したりするケースも多く、就職格差も問題となっています。
そんな格差に一石を投じるのが、社会福祉法人鞍手ゆたか福祉会が運営する福祉型大学「カレッジ」です。
「カレッジ」は主に特別支援学校の卒業生を対象として、就職する前の若者にさらなる学びの場を提供しています。2012年の「カレッジ福岡」の開設を皮切りに、現在は全国5か所で展開しています。
今回は、東京都新宿区にある「カレッジ早稲田」の見学とともに、代表の長谷川正人さんにインタビューを行いました。
知的障害者のための新しい学び舎、福祉型大学「カレッジ」とは
社会福祉法人鞍手ゆたか福祉会のカレッジ特設サイトでは、「カレッジ」設立の目的を以下のように掲げています。
健常の青年たちの多くが、大学などにおいて仲間との関わりを通じて様々なことを体験し、青春を謳歌しながら、子どもからおとなへ、学生から社会人へという人生の大きな節目を乗り越える中で、ほとんどの知的しょうがい者は、高等部卒業後、一般就労か福祉サービス利用かという二者択一の道しかなく、進学という選択肢やモラトリアムの期間は準備されていません。現在、高等部専攻科が設置されている知的障害特別支援学校は全国に9校ありますが、知的しょうがい者を受け入れる大学は皆無に等しい状況です。「カレッジ」は、このような青年期知的しょうがい者の学びの現状をふまえ、彼らの学習権を保障することを目的として設立されました。
そしてカレッジでは、社会に出て行くために養うべき力として「知識・技術」「メンタル」「社会生活」の3つを挙げており、最終的にはどんな状況にも適応できるような人材を育成することを目標にカリキュラムを構成しています。
1・2年次が自立訓練事業としての教養課程、3・4年次が就労移行支援事業としての専門課程となっており、基礎学力を養うほか、生活に必要な訓練を行ったり、就職にむけての支援も組み込まれています。
1・2年次が自立訓練事業としての教養課程、3・4年次が就労移行支援事業としての専門課程となっており、基礎学力を養うほか、生活に必要な訓練を行ったり、就職にむけての支援も組み込まれています。
あえて難しいことに挑戦して、社会で通用する「自立心」を育む
カリキュラムの中でも特徴的なのが「自主ゼミ」という科目です。これは自分の選んだテーマについて1年を通じて研究し、研究論文の発表に向けての準備を行う大がかりなものになってます。
代表の長谷川さんはこう語ります。
「1年という長い時間、自分が興味を持ったことをとことん突き詰めて勉強できる環境を整えています。
研究というのは、調べ物をしなくてはいけなかったり、その調べたものを体系立てて整理する力など、総合的な能力が求められます。これはかなり根気のいる作業です。
あえて難しいことに1年かけてチャレンジすることで、取り組めたという経験が自信につながり、継続力を身につけることに繋がります」
同じように、カリキュラムに組み込まれている資格試験の授業も、半年ほどかけて目標の試験に向けて勉強し続けるものです。
このような継続的な学習経験は、仕事で求められる持続力をつけていくのにうってつけなのだそうです。
「合格できたときには継続することに対する喜びを知ることができるし、不合格になった場合でも努力がすべて報われるわけではないことを学ぶ機会になる。こういう経験が、悔しい思いをバネに立ち向かう力を身に付ける機会になっています。」
ただ資格を身につけるだけではなく、挫折しても再び立ち上がれるような自立心の育成も、カレッジの目的のひとつです。
代表の長谷川さんはこう語ります。
「1年という長い時間、自分が興味を持ったことをとことん突き詰めて勉強できる環境を整えています。
研究というのは、調べ物をしなくてはいけなかったり、その調べたものを体系立てて整理する力など、総合的な能力が求められます。これはかなり根気のいる作業です。
あえて難しいことに1年かけてチャレンジすることで、取り組めたという経験が自信につながり、継続力を身につけることに繋がります」
同じように、カリキュラムに組み込まれている資格試験の授業も、半年ほどかけて目標の試験に向けて勉強し続けるものです。
このような継続的な学習経験は、仕事で求められる持続力をつけていくのにうってつけなのだそうです。
「合格できたときには継続することに対する喜びを知ることができるし、不合格になった場合でも努力がすべて報われるわけではないことを学ぶ機会になる。こういう経験が、悔しい思いをバネに立ち向かう力を身に付ける機会になっています。」
ただ資格を身につけるだけではなく、挫折しても再び立ち上がれるような自立心の育成も、カレッジの目的のひとつです。