摂食障害(拒食症・過食症)とは?症状や治療法、関連のある心の病気などを詳しく解説【精神科医監修】
ライター:発達障害のキホン
摂食障害とは心理的な問題を背景に起こる食行動の障害をいい、一般には拒食症、過食症などが知られています。単に食欲が増減するだけでなく、発達障害や精神疾患と併存したり、二次的に症状が現れたりすることが少なくありません。今回は摂食障害の原因や症状、関連のある心の病気や治療法を詳しくご紹介します。
監修: 増田史
精神科医、医学博士
滋賀医科大学 精神医学講座 助教
NPO法人ストップいじめナビ 特任研究員
精神疾患の偏見解消に向けた活動や、自閉スペクトラム症や注意欠如・多動症の脳機能に関する研究を行なっている。
滋賀医科大学 精神医学講座 助教
NPO法人ストップいじめナビ 特任研究員
摂食障害とは
摂食障害とは、食行動の異常やそれに伴う認知のゆがみと体重・体型への強いこだわりを主な症状とする障害です。症状はさまざまですが、主に拒食(神経性やせ症)、過食(神経性過食症)、特定不能の摂食障害の3つに分けられます。自尊心の低さなどが原因として考えられています。
●摂食障害の特徴
・体重や体型に関する認知(考え方)の歪み
・自分で食欲がコントロールできない
・極端なやせ願望や太ることに対する恐怖心
・見た目に現れるくらいの体重の変動
・代償行動(一度に大量の食べ物を食べてしまい、そのことを非常に後悔し、食べた分だけ体重が増えないように、下剤をたくさん使ったり、自分で吐き出したり、過剰な運動をしたりすること)
摂食障害は、身体面だけでなく、精神面にも影響を及ぼします。例えば極度な不安や気分の落ち込み、怒りっぽくなるなど心の動きの異変がありえます。精神疾患とも深く関わっていることが多くあり、抑うつや不安症状などが現れ、時には自傷行為や自殺に至ることもあります。
このようなさまざまな症状が一時的ではなく、繰り返し発症する可能性があることも摂食障害の大きな特徴です。
次から摂食障害の具体的な症状や治療法、サポートの方法を順に見ていきましょう。
●摂食障害の特徴
・体重や体型に関する認知(考え方)の歪み
・自分で食欲がコントロールできない
・極端なやせ願望や太ることに対する恐怖心
・見た目に現れるくらいの体重の変動
・代償行動(一度に大量の食べ物を食べてしまい、そのことを非常に後悔し、食べた分だけ体重が増えないように、下剤をたくさん使ったり、自分で吐き出したり、過剰な運動をしたりすること)
摂食障害は、身体面だけでなく、精神面にも影響を及ぼします。例えば極度な不安や気分の落ち込み、怒りっぽくなるなど心の動きの異変がありえます。精神疾患とも深く関わっていることが多くあり、抑うつや不安症状などが現れ、時には自傷行為や自殺に至ることもあります。
このようなさまざまな症状が一時的ではなく、繰り返し発症する可能性があることも摂食障害の大きな特徴です。
次から摂食障害の具体的な症状や治療法、サポートの方法を順に見ていきましょう。
摂食障害の分類
摂食障害は拒食症、過食症、特定不能の摂食障害の大きく3つに分けられます。それぞれを詳しくご説明します。
拒食症
一般的に知られる拒食症は、日本でも診断基準として用いられるアメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)において、「神経性やせ症」や「神経性無食欲症」 と呼ばれます。
特徴としては極端なやせ願望と肥満恐怖があり、ダイエットや食欲不振などをきっかけに発症することが挙げられます。発症時期は10~19歳に最も多く、拒食症の90%が女性であると言われています。
神経性無食欲症は食べることを拒否する"制限型"と、一度は過食をした後の無理な嘔吐・下剤の大量使用によって、食べた分を排出し、低体重を維持する"むちゃ食い/排出型"に分けることができます。特に後者は、過食・自己嫌悪・無理な排出を繰り返してしまい、悪循環してしまいがちです。
特徴としては極端なやせ願望と肥満恐怖があり、ダイエットや食欲不振などをきっかけに発症することが挙げられます。発症時期は10~19歳に最も多く、拒食症の90%が女性であると言われています。
神経性無食欲症は食べることを拒否する"制限型"と、一度は過食をした後の無理な嘔吐・下剤の大量使用によって、食べた分を排出し、低体重を維持する"むちゃ食い/排出型"に分けることができます。特に後者は、過食・自己嫌悪・無理な排出を繰り返してしまい、悪循環してしまいがちです。
過食症
過食症は、『DSM-5』で「神経性過食症」または「神経性大食症」と呼ばれます。
過食症の人は食べることをやめられず、人よりも明らかに多い量を摂取することが特徴です。これは食べることを自分でコントロールできないことから起こります。また摂食行動とは反対に嘔吐・利尿を行い、体重を減らすような代償行動も行います。むちゃ食いし、健忘を伴うケースも報告されています。
そのため、過食症は"過食と嘔吐を繰り返すパターン"と、"過食のみを繰り返すパターン"の2つのパターンに分けることができます。
過食症は20~29歳に多く、90%の患者が女性と考えられています。発症前にダイエットをしたことがあり、拒食症から移行するケースも多くあります。過食や体重の急激な増減、下痢や嘔吐などが症状として挙げられます。
過食症の人は食べることをやめられず、人よりも明らかに多い量を摂取することが特徴です。これは食べることを自分でコントロールできないことから起こります。また摂食行動とは反対に嘔吐・利尿を行い、体重を減らすような代償行動も行います。むちゃ食いし、健忘を伴うケースも報告されています。
そのため、過食症は"過食と嘔吐を繰り返すパターン"と、"過食のみを繰り返すパターン"の2つのパターンに分けることができます。
過食症は20~29歳に多く、90%の患者が女性と考えられています。発症前にダイエットをしたことがあり、拒食症から移行するケースも多くあります。過食や体重の急激な増減、下痢や嘔吐などが症状として挙げられます。
特定不能の摂食障害
特定不能の摂食障害という診断は、拒食症、過食症いずれの診断基準にも当てはまりませんが、摂食の障害のために何かしらの診断名をつける必要がある場合に使われます。
例えば女性で拒食症の診断基準にほぼ当てはまりますが、月経は問題なくあるという状態の場合、特定不能の摂食障害の診断になります。
例えば女性で拒食症の診断基準にほぼ当てはまりますが、月経は問題なくあるという状態の場合、特定不能の摂食障害の診断になります。
摂食障害を引き起こす要因
摂食障害を引き起こす要因としては体型に関する周りの見方、風潮といった社会的要因と性格や考え方の癖、対人関係などから来るストレスといった心理的要因が関連していると考えられています。
社会的要因
「痩せていることが美しい」「痩せているほうが望ましい」という風潮があります。これにより、痩せていることは自己実現や成功の証として考えられがちです。テレビや雑誌、インターネットといったマスコミなどの影響は大きく、ダイエットの流行も摂食障害の要因として考えられています。
心理的要因
性格や考え方、ストレスは摂食障害に大きな影響を及ぼすといわれています。そのストレスを引き起こす要因として下記の5つが考えられます。
◇自尊心が低い
摂食障害になる人には自尊心が低い人が少なくありません。過去に太っていることを指摘された、痩せることで褒められたといった経験があることや、周囲の人から認めてもらいたいという気持ちが強い場合が多いです。また、ありのままの自分を肯定することが難しく、努力が結果として数字であらわれるダイエットにのめりこみがちです。
◇完璧主義
あらゆることに対して完璧であることを求め、自分に要求します。それは時に過度なストレスとなり、ダイエットのきっかけになることもあります。体型に対して不満がある場合は極限まで食事制限などをしてしまうことがあります。
◇八方美人
他人から良く思われたい、嫌われたくないと強く思う人は、自分の希望や気持ちを抑えてしまう傾向にあります。周囲の人の顔をうかがうことに気を遣い、知らないうちにストレスをため込んでしまうことがあります。
◇家族関係
保護者が過干渉あるいは支配的な場合、子どもは自分の気持ちを主張できないことがあります。そのとき、子どもは伝えたいことを伝えられず、ストレスを感じてしまうことがあります。
◇決めることが苦手
幼少期に過保護な生育環境におかれた場合、何も自分で決められなくなってしまうことがあります。自分は何をしたいのか分からず、心の中に葛藤を抱えることがあります。
◇自尊心が低い
摂食障害になる人には自尊心が低い人が少なくありません。過去に太っていることを指摘された、痩せることで褒められたといった経験があることや、周囲の人から認めてもらいたいという気持ちが強い場合が多いです。また、ありのままの自分を肯定することが難しく、努力が結果として数字であらわれるダイエットにのめりこみがちです。
◇完璧主義
あらゆることに対して完璧であることを求め、自分に要求します。それは時に過度なストレスとなり、ダイエットのきっかけになることもあります。体型に対して不満がある場合は極限まで食事制限などをしてしまうことがあります。
◇八方美人
他人から良く思われたい、嫌われたくないと強く思う人は、自分の希望や気持ちを抑えてしまう傾向にあります。周囲の人の顔をうかがうことに気を遣い、知らないうちにストレスをため込んでしまうことがあります。
◇家族関係
保護者が過干渉あるいは支配的な場合、子どもは自分の気持ちを主張できないことがあります。そのとき、子どもは伝えたいことを伝えられず、ストレスを感じてしまうことがあります。
◇決めることが苦手
幼少期に過保護な生育環境におかれた場合、何も自分で決められなくなってしまうことがあります。自分は何をしたいのか分からず、心の中に葛藤を抱えることがあります。