就学時健康診断とは?検査内容・就学準備・就学先まとめ【専門家監修】

ライター:発達障害のキホン
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就学時健康診断は、来年度小学校へ就学する子どもを対象にした健康診断です。子どもが不安にならないためにも、事前にどんな検査があるのか把握し、子どもに説明しておけると良いですよ。このコラムでは、就学時健康診断の検査の目的や内容、診断後の流れなどをまとめて紹介します。

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監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。
目次

就学時健康診断とは?

就学時健康診断とは、初等教育を受ける5ヶ月から6ヶ月前に行われる健康診断を指します。学校保健安全法により、次年度に初等教育を受ける予定である子どもにたいして、心身の健康を確認するために行われます。

その時点の健康状態を確認するのはもちろん、母子手帳をもとに既往歴、予防接種歴、成育歴などを含め、総合的に子どもの健康状態を判断し、就学先選びや、就学までに体調を整えるなどの準備に役立てます。

就学時健康診断は、一般的に入学予定の小学校において集団でおこなわれるため、来年から同じ教室で学ぶ子どもたちと事前に出会うことのできる最初の機会でもあります。
参考:学校保健安全法|e-Gov
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?openerCode=1&lawId=333AC0000000056_20160401_427AC0000000046#37

就学時健康診断の目的とは?

就学時健康診断には次のような目的があります。

1.児童とその保護者が、児童本人の健康状態について、関心を寄せ認識する
これまでの公的な乳幼児健診では、保護者と児童は一緒に健診を受けていましたが、就学時健康診断では、児童一人で健診を受けることが一般的です。児童本人も、自分の健康や成長に気を配る機会となります。

2.疾病や異常を発見し、必要な治療や支援につなげる
ほとんどの市区町村では、乳幼児健診は3歳で終わりです。3歳から就学時健康診断を受けるまでの期間で見逃されてしまった疾病や異常を発見し、適切な治療や生活習慣の改善などにより、入学時までに健康状態が回復するよう促します。

就学時健康診断を受ける前に

就学前年度の10月上旬頃に、お住まいの市区町村から就学時健康診断通知書が、入学準備の書類などと一緒に送られてきます。

就学時健康診断は、私立、国立の小学校に通う予定である場合でも受けられます。また、既に特別支援学校や通級(通級指導教室)、支援学級への就学を検討している方でも同じく受けることができます。

また、お子さんが健診時に介助やサポートを必要とする場合は、事前に市区町村の教育委員会保健課に相談しておきましょう。

場所

基本的には、お住まいの学区の小学校で行われます。
予定が合わない場合などは、別日に行われる別の学区の健康診断を受けることができます。あらかじめ市区町村の教育委員会に連絡しましょう。体調不良などで当日欠席の場合は、受診会場である小学校に必ず連絡をしましょう。

時期

就学時健康診断は、文部科学省のガイドラインの定めにより、11月30日までに行われます。一般的には、10月上旬から、11月上旬にかけて行われることが多いです。

持ち物

市町村から送られてくる、就学健康診断のお知らせに必要な持ち物が書いてあります。一般的に、保護者用、児童用のスリッパ(上履き)、就学通知書(必要な場合)、母子手帳、健康調査票、そのほか必要な書類、筆記用具(保護者への説明会があるため)です。

服装

健康診断を受けやすい服装で健診に臨みましょう。内科健診では聴診器を使うので、上半身が脱げる服装にしましょう(ワンピースは避けましょう)。また、身長測定があるので髪の長い児童は、髪の毛を頭の上では結ばず、頭の下で結びましょう。

就学時健康診断の内容

一般的には、児童の健康診断は、保護者と別れて行われます。児童が健康診断を受けている間、保護者は別室で学校説明や、就学準備の説明を受けます。説明が終わった頃、児童の健診も終わるので、合流して帰宅します。

児童は基本的に一人で健康診断を受けます。普段経験しないようなことをしたり、器具が口や耳に入って不安に思ったり戸惑うこともあるかもしれません。事前にどんな検査がどんな目的で行われるか、お子さん説明しておくと、当日、比較的スムーズに健康診断を受けられるでしょう。

以下は、児童の流れについて詳しく説明していきます。お子さんへの説明にぜひ役立ててください。

受付

一般的に、ここで健康調査票を提出し、児童とは保護者は分かれます。児童は、健康診断へ向かいます。

健康診断

眼の検査
眼科医が眼の疾病を調べます。

視力検査
視力検査に使う「C」型のランドルト環を使って視力を測ります。右左を口頭で伝えられない児童は黒い円の切れ目を指で指します。メガネやコンタクトの場合は、視力検査を省略する場合があります。

聴力検査
オージメーターという機械を使います。音が流れるヘッドフォンを耳にして音が流れたら流れた方のスイッチを押します。

耳鼻咽頭の検査
医師が、耳鼻咽頭の疾病の有無を確認します。鼻や耳、口に器具が入るので苦手なお子さんにはあらかじめ説明しておくとよいでしょう。

歯科
虫歯、歯周疾患の有無を確認します。

知的発達の検査

知的発達の検査では、一般的に精神発達、言語、情緒の側面から行います。
ここで行われる検査は、時間的にも数分で行われる簡便なものです。知能指数等が算定できるようなものではありません。

具体的には、名前や性別、概念の意味を理解しているかをチェックします。次におはじきや絵カードを使い指示に合わせた行動ができるか、指示が理解できているかなどを確認します。ほかには、言語の側面として、発音や音が正確に言葉になっているかの確認、情緒は検査中の児童の様子を観察します。場合によっては、集団知能検査を行う場合があります。

面接

面接は、市区町村によっては行われない場合があります。行われる場合は、2つのパターンがあります。

一つ目は、児童対先生(もしくは校長先生など)です。健康診断、知的発達の検査の後に、一人ずつ行われます。簡単な自己紹介や、出身幼稚園、保育園などを聞かれます。場合によってはここで併せて知的発達検査をすることもあります。

もう一つは、児童と保護者対先生(もしくは校長先生)です。保護者も参加する場合は、その小学校に入る予定であるかなどの意思確認を行う場合があります。
参考:就学時の健康診断マニュアル|日本学校保健会
https://www.gakkohoken.jp/books/archives/80

アレルギー面談

就学時健康診断の時に、アレルギーのある児童向けに面談を行うことがあります。

あらかじめアレルギー面談を申し込む場合と、就学時健康診断の時にアレルギーを申告し後日面談を行う場合があります。就学時健康診断児に面談をする場合は以下のようなことを事前に準備しましょう。

1.アレルギーに関する問診票(市区町村や学校により異なります)
2.保護者からのアレルギーについてのお願い、対応方法

以下のことは主治医と相談、確認しておきましょう。
3.発作時の対応
4.内服薬・吸入薬・外用薬・エピペンの保存・使用・投与方法
5.アレルギーの対応(除去食・単品の除去・副食の除去・副食の一部取り除き・完全弁当持参)について
参考:学校給食における食物アレルギー対応について|文部科学省
https://www.mext.go.jp/a_menu/sports/syokuiku/1355536.htm
参考:発達障害の子どもはどんな進路が考えられるの?|LITALICOジュニア
https://junior.litalico.jp/about/hattatsu/
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