「それは触らないで!」注意しても子どもがガマンできないのはなぜ?
ライター:松本太一
アナログゲーム療育アドバイザーの松本太一です。「触ってはいけない」と注意されている物につい触ってしまう…。この行動は、集団活動や遊びの中で、しばしばトラブルの原因になります。そこには大人が気づきにくい理由が隠れているのです。どう対応すればいいのでしょうか?
執筆: 松本太一
アナログゲーム療育アドバイザー
放課後等デイサービスコンサルタント
NPO法人グッド・トイ委員会認定おもちゃインストラクター
東京学芸大学大学院障害児教育専攻卒業(教育学修士)
フリーランスの療育アドバイザー。カードゲームやボードゲームを用いて、発達障害のある子のコミュニケーション力を伸ばす「アナログゲーム療育」を開発。各地の療育機関や支援団体で、実践・研修を行っている。
放課後等デイサービスコンサルタント
NPO法人グッド・トイ委員会認定おもちゃインストラクター
東京学芸大学大学院障害児教育専攻卒業(教育学修士)
「触っちゃダメ」と注意しても、子どもにはつい触りたくなるときがある
発達障害のお子さんにしばしば見られるトラブルとして、「触ってはいけないものに触ってしまう」ことがあります。
例えば遊びの場面では、ボードゲームをしているときに、他の子のコマを勝手に動かしたり、誰かが一生懸命積み上げた積み木を、崩してしまったり…。
学習場面では、目新しい教材が配られたときに、先生の指示の前に触り始めたり、調理実習や図工では刃物を勝手に触ったりし、叱られてしまうこともしばしばです。
こうした行動は、注意した時にはなくなっても、別の場面で繰り返されることが多く、対応に困っている親御さんや先生が少なくありません。
例えば遊びの場面では、ボードゲームをしているときに、他の子のコマを勝手に動かしたり、誰かが一生懸命積み上げた積み木を、崩してしまったり…。
学習場面では、目新しい教材が配られたときに、先生の指示の前に触り始めたり、調理実習や図工では刃物を勝手に触ったりし、叱られてしまうこともしばしばです。
こうした行動は、注意した時にはなくなっても、別の場面で繰り返されることが多く、対応に困っている親御さんや先生が少なくありません。
大人と子どもでは関心の持ち方が違う
実は、「触っていはいけないものに触る」ことの背景には、大人とは異なる子どもならではの関心の持ち方が関わっています。
まだ言葉を持たない1歳半くらいまでの子どもたちは、色や音・手触りといった、感覚的な刺激に興味を持っていますが、それが大人に成長する過程で、感覚的なものから、概念的なものに少しずつ興味・関心が移っていきます。
幼児から小学校低学年のお子さんの場合、こうした関心の移り変わりの過渡期にあり、ゲームのルールのような概念的なものも理解できる一方で、色や音、手触りへの興味が、大人よりずっと強く残っています。
まだ言葉を持たない1歳半くらいまでの子どもたちは、色や音・手触りといった、感覚的な刺激に興味を持っていますが、それが大人に成長する過程で、感覚的なものから、概念的なものに少しずつ興味・関心が移っていきます。
幼児から小学校低学年のお子さんの場合、こうした関心の移り変わりの過渡期にあり、ゲームのルールのような概念的なものも理解できる一方で、色や音、手触りへの興味が、大人よりずっと強く残っています。
つい触りたくなってしまうけれど、阻止すると…
たとえば、キラキラと輝く宝石が目を引くこちらのボードゲーム。大人がこれをみたら、まず「この宝石はゲームの中でどう使われるのだろう?」という関心を持つと思います。
ところが子どもの場合は、「この宝石はどんな触り心地なのだろう?」「手にたくさん持って上から落としてみたら、どんな音がするのだろう?」という感覚的な興味が優先します。
こうした理由から子どもたちは、手を出してその宝石を触ろうとするのです。
ところが子どもの場合は、「この宝石はどんな触り心地なのだろう?」「手にたくさん持って上から落としてみたら、どんな音がするのだろう?」という感覚的な興味が優先します。
こうした理由から子どもたちは、手を出してその宝石を触ろうとするのです。
大人からすると、ゲームの説明もしないうちから宝石を触ろうとするので、つい「宝石を置いて、ちゃんと説明を聞きなさい。」と注意しがちです。
しかし、この状態では子どもの感覚的興味は満たされていないので、説明の途中で再び宝石に触ったり、プレイ中宝石をいじってゲームに集中できないことがあります。
しかし、この状態では子どもの感覚的興味は満たされていないので、説明の途中で再び宝石に触ったり、プレイ中宝石をいじってゲームに集中できないことがあります。