気分障害(うつ病・双極性障害)とは?「感情がコントロールできない」症状や原因、診断基準を説明します

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気分障害とは気分の上がり下がりが主な症状となる疾患です。その中にはうつ病や双極性障害がふくまれており、厚生労働省も「一生のうちに、うつ病になる頻度は約15人に1人と考えられている」とデータをあげているように、決して珍しい疾患ではありません。気分障害の症状や原因、相談先や治療法を詳しく説明します。

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発達障害のキホン
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目次 気分障害とは 気分障害の種類と症状 気分障害を発症しやすい年齢 気分障害の原因 気分障害の相談先と治療先 気分障害の治療 まとめ

気分障害とは

気分障害とは常に気分が落ち込んだり、逆に高まることで日常生活に様々な支障をきたしてしまう心の病気です。この障害名は世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)により定められています。

気分障害とは気分に関する障害がある病状・疾患を一群としてまとめたものをさしますが、主に以下が含まれます。

・うつ病エピソード
・躁(そう)病エピソード
・双極性障害(躁うつ病)
・反復性うつ病性障害
・持続性気分障害

「エピソード」とは、症状が現れている状態であるということを表す用語です。上記の分類に当てはまらない場合は、その他の気分障害や特定不能の気分障害と診断されます。

人は生活を送っていると少なからず嬉しいことや悲しい出来事に直面しますが、その際に気分が上がったり、気分が落ち込んだりしてしまうことは当たり前のことです。しかしこのように発生した感情を、自分でコントロールできなくなることがあります。

こうした状態が一定期間以上続いて仕事や私生活など普段の生活に支障がでている場合は、気分障害の可能性があります。

気分障害の種類と症状

『ICD-10』によると気分障害は大きく分けて5つに分類することができます。

うつ病エピソード

うつ病エピソードは気分の持続的な落ち込みを主体とした症状が現れている状態のことです。医師によってうつ病エピソードが確認されると、いわゆるうつ病と診断されます。うつ病エピソードが当てはまると診断された場合は、他の細かい基準が用いられ障害の程度が判断されます。

厚生労働省のデータによると、日本においては「一生のうちにうつ病になる頻度は約15人に1人と考えられている」とされるとてもメジャーな疾患ですが、その中の4分の3の人は治療を受けたことがないと言われています。

症状としては、

・通常なら快楽を感じる活動に対して興味または喜びを感じなくなる
・喜怒哀楽などの感情の変化が顕著に無くなってしまう
・通常より2時間以上早く起床する
・重度の抑うつ気分が午前中に現れる
・食欲が激しく低下する
・体重の減少
・様々な欲求への著しい減退


が挙げられます。

現れる症状は人それぞれですが、『ICD-10』によるとこれらの症状のうち4つ以上の症状が2週間以上つづくとうつ病の基準を満たしていると診断されます。また、うつ病が重症になると妄想の症状が出ます。

代表的なものは体の過度な不調があると妄想する心気妄想、自分はまずしいと思い込んでしまう貧困妄想、自分は犯罪など悪いことを行ってしまったと確信してしまう罪業妄想です。

1990年のWHOの研究では「健康な生活を障害する疾患」の4位として発表されていましたが、2020年には虚血性心疾患に次いで2位に上昇すると言われています。その理由として社会のストレス要因が増えてきていることがあると言われています。

また慢性疾患を抱えているとうつ病が合併しやすいといわれていることも挙げられます。例えばがんを発症している人のうちの20~38パーセント、糖尿病は25パーセントの人がうつ病を合併していると言われています。

躁(そう)病エピソード

躁病エピソードは爽快感、身体の快調感、幸福感があり、自信に満ち溢れ楽観的な考えに支配される症状が現れている状態のことです。医師によって躁病エピソードが確認されると、いわゆる躁病と診断されます。躁病エピソードが当てはまると診断された場合は、他の細かい基準が用いられ障害の程度が判断されます。

躁病の症状としては、

・活動的になる
・口数が多くなる
・注意不足、集中力低下によるミスが増える
・睡眠欲求の低下
・性的欲求が高まる
・リスクを考えない浪費や無謀な運転などの常識をはずれた行動を起こす
・社交的になる、または過度に馴れ馴れしくなる

が挙げられます。

『ICD-10』によると躁病の診断には上記の症状のうち3つの症状が4日以上持続していること、日常生活に本人が感じる程度のトラブルを起こしてしまっていることが条件となります。

多くの場合、躁病の症状は徐々に始まり、何となく元気がみなぎってきたり、仕事の能率が上がったりすることで調子がいいと感じていきます。症状が重くなっていくと活動性が増加し、多くのアイデアを実行しようと一日中活動し続けます。この場合に睡眠時間が短くなってしまったとしてもあまり疲れたと感じません。

当初は意識的に活動量を調整するように気をつけることができます。しかし、次第に調子が出すぎているという認識がなくなり周囲の人を考えない言動をするようになります。

最終的には口数が多く、自己主張が強くなり、しきりに他人の世話を焼こうとし、対人関係トラブルを起こしてしまう傾向にあります。生涯にわたって躁病の症状しか発症しない単極性躁病はとても珍しく、躁病エピソードを発症している人のほとんどは双極性障害を発症しているといわれています。

反復性うつ病性障害

うつ病エピソードのみを2週間以上継続し、2回以上繰り返すと反復性うつ病性障害と診断されます。反復していると診断される基準として、先述したうつ病を発症した後2ヶ月以上同じような症状が現れない期間が存在することがあげられます。

反復性うつ病性障害の一例として季節性感情障害が挙げられます。季節性感情障害とは主に秋から冬にかけて抑うつ状態となり、春には症状が改善するなど、抑うつ症状になる期間と回復する期間の転換が1年のうちの特定の時期に起こる疾患です。

双極性障害(躁うつ病)

双極性障害とは一般的に躁うつ病と呼ばれる疾患です。双極性障害はうつ病エピソードと躁病エピソード両方を反復する場合、基準に当てはまると診断されます。

初めのエピソードを発症してから次のエピソード発症するまで平均5年程度かかるといわれますが、エピソードを繰り返すごとに再発までの期間は短くなり、一つ一つのエピソードの継続期間はながくなるといわれています。

躁病エピソードは急に発症することが多く、2週間から5か月程度持続します。一方うつ病エピソードは徐々に発症し、躁病エピソードに比べて発症期間が長い傾向にあります。

双極性障害によって気分が高揚し、いらいらしたり、注意散漫になったり、誇大的になったりするなど対人関係などにも様々な障害を引き起こすことがあります。

双極性障害は再発率が高いと同時に、自殺をしてしまう確率が精神障害の中で最も高い精神疾患の一つといわれています。
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持続性気分障害

主に気分循環症・気分変調症をまとめて指す疾患です。躁病やうつ病の症状は当てはまらないけれど、明らかに気分が変わっていることが分かる状態をさします。

気分循環症
通常は成人早期までに発症する双極性障害の軽症型です。うつ病エピソードと双極性障害の症状すべての条件を満たさない程度で、数日単位で落ち込んでいる状態と気分が良い状態が不規則に反復する期間が2年間以上続きます。

気分循環症の症状としては、うつ病期間と気分高揚期間にそれぞれ3つ以上の症状が当てはまることが条件となります。

うつ病期間:
・エネルギーあるいは活動性の低下
・自信が急に無くなるなどの自己評価の激しい変化
・不眠
・集中ができなくなる
・引っ込み思案になり、社会からひきこもる
・欲求の低下、喜びの感情の喪失
・口数が少なくなる

気分高揚期間:
・エネルギーがありあまり、活動性が高くなる
・睡眠欲求がなくなる
・自己評価が過大になる
・頭の働きがとてもよくなる
・社交的になり、人付き合いがとてもよくなる
・口数が多くなる
・欲求を追い求めるようになる
・過剰に楽観的になったり、過去に成し遂げたことに対して過大評価をしてしまう

軽うつエピソードが優位の抑うつ型、軽うつエピソードと軽躁(そう)エピソードが同じ頻度で出現する定型的な気分循環症、軽躁(そう)エピソード優位の軽躁型の3つのパターンがあります。

抑うつ型を発症している人が一番多く、割合としては気分循環症を発症している人の50パーセントを占めていると言われています。

気分変調症
うつ病の診断基準を満たさない程度の軽度の抑うつ状態が2年以上持続する疾患です。うつ病と違い比較的短期間であれば気分が落ち込まない正常な期間が存在しても診断内容に影響がないと言われています。

気分変調症の症状としては、気分循環症のうつ病期間に発症する症状に加えて、
・涙もろい
・物事に対して絶望感を感じる
・日常生活でこなさなければいけない課題を対処しきれないという考えに陥る
・将来や過去の出来事に対して考え込んでしまう
などの症状を発症します。これらの症状のうち3つ以上が当てはまると気分変調症を発症していると診断されます。

持続性気分障害を発症している人自身は無気力感や気分の大きな落ち込みを感じていますが、社会的・職業的にはトラブルが発生していない場合が多いです。そのため本人も周囲の人も疾患を発症していると認識できず、本人は不調をそのままにしてしまう傾向があります。

気分障害を発症しやすい年齢

うつ病・反復性うつ病性障害

うつ病はいかなる年齢においても発症しますが、発症率は思春期以降に大きく増加します。平均発症年齢は20歳代ですが、高齢者になって初めて発症する人も少なくはありません。厚生労働省研究班のデータによると、日本においては「一生のうちにうつ病になる頻度は約15人に1人と考えられている」とされています。

女性のほうがかかりやすく、有病率は男性の1.5倍~3倍であると言われています。これは女性ホルモンの増加、妊娠、出産など女性に特有のトラブルが多いことが原因の一つであると考えられています。

双極性障害

双極性障害の発症年齢をみてみますと、15~19歳が最も多く、20~24歳がそれについで多く、それ以上では50歳以上も稀にあると言われます。発症平均年齢は30歳と言われています。

5、6歳くらいの子どもについても双極性障害の発症が認められていますが、ADHD(注意欠陥・多動性障害)との識別が難しく、まだ研究が進められている段階です。

持続性気分障害

気分循環性障害は通常青年期または成人期早期に始まる疾患です。性別関係なく発症すると言われており、子どもの気分循環性障害では症状発症の平均年齢は6.5歳です。気分循環性障害がある人が双極性障害を発症する可能性は15~50パーセントです。

気分変調症は小児期、青年期、あるいは成人期早期に発症し、慢性化する場合が多いです。

気分障害の原因

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