教育相談とは?相談の流れ、申し込み方法など【専門家監修】
ライター:発達障害のキホン
教育相談とは、子ども、保護者、教員の悩みごとの解決に向けて行われる相談活動のことです。「子どもが学校に行きたがらない……」「子どもの爪かみやチックが気になる……」など子どもの教育や発達などに悩みごとがあるときに活用できます。ここでは、教育相談を扱う機関や相談の流れや、内容などを具体的にご紹介します。
監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
教育相談とは
教育相談とは、子どもの発達と教育にかかわる問題について、子ども本人、保護者、学校の教員などに対して行われる、心理的・教育的援助のことです。
文部科学省では教育相談について以下のように記しています。
文部科学省では教育相談について以下のように記しています。
「教育相談は、一人一人の生徒の自己実現を目指し、本人又はその保護者などに、その望ましい在り方を助言することである。その方法としては、1対1の相談活動に限定することなく、すべての教師が生徒に接するあらゆる機会をとらえ、あらゆる教育活動の実践の中に生かして、教育相談的な配慮をすることが大切である。」
「いじめや不登校への早期対応、児童虐待の深刻化や少年非行・犯罪の低年齢化等に適切に対応するため、小学校における教育相談体制の充実を図っていくことが必要である。」
「教育相談に当たる教員の児童生徒の抱える課題や効果的な指導・対応に関する姿勢と意識が大切であり、様々な校務分掌に教育相談の機能を生かしていく発想や、教育相談に関する教員研修の充実が必要である。」
教育相談というと、学校からすすめられてはじめて相談に行くことが可能となる、というイメージがある方もいらっしゃるかもしれませんが、学校からすすめられなくても悩みごとがあれば相談できます。
相談できるのは、18歳までの子ども本人のほか、保護者、学校の教員など、子どもの教育・養育に関わる全ての人です。相談を受けているのは、学校や、校内のスクールカウンセラー、地域の教育相談センター、特別支援学校などです。
教育相談は今、非常に広い概念として捉えられています。「何らかの問題が起こったときに悩みを抱えた人が、学校の教員や専門家に相談をすること」これが以前まで、教育相談という言葉が指していた意味合いでした。
ですが、近年子どもの問題が多様化、深刻化するにつれ、教育相談に求められる役割は多岐にわたっています。求められる役割の広がりに伴い、「相談」という言葉から連想されにくい事柄についても教育相談の担う範囲とされています。
教育相談の内容は、主に2つに分けることができます。
一つ目は、問題を解決するために、問題を抱えた人が専門家に対して相談する、問題解決型の教育相談です。
例えば
・学校以外の機関が行う、匿名での電話相談サービス
・特別支援学校や教育委員会が行う、発達が気になる乳幼児の保護者への子育て相談
などがこれにあたります。
二つ目は、問題が起こる前に、学校の教職員などによって行われる予防的な教育相談です。例えば、教師が学級活動の中で、児童生徒に対して行うロールプレイングや感情コントロールのトレーニングなどです。
このように、教育相談が担うのは、問題が起こったときのみに行われる相談業務だけではありません。何か問題が起こったときに保護者や子どもが自ら課題を突きとめ、主体的に問題解決をできるように、これらの支援や活動は日ごろから行われています。
教育相談の事業を通して、困りごとがあるときにも、子どもに関わる誰もが気軽に相談をできるような体制づくりが目指されています。学校を中心として、教育センターや特別支援学校、NPOなど、地域全体を通して、そのような体制づくりが行われています。
相談できるのは、18歳までの子ども本人のほか、保護者、学校の教員など、子どもの教育・養育に関わる全ての人です。相談を受けているのは、学校や、校内のスクールカウンセラー、地域の教育相談センター、特別支援学校などです。
教育相談は今、非常に広い概念として捉えられています。「何らかの問題が起こったときに悩みを抱えた人が、学校の教員や専門家に相談をすること」これが以前まで、教育相談という言葉が指していた意味合いでした。
ですが、近年子どもの問題が多様化、深刻化するにつれ、教育相談に求められる役割は多岐にわたっています。求められる役割の広がりに伴い、「相談」という言葉から連想されにくい事柄についても教育相談の担う範囲とされています。
教育相談の内容は、主に2つに分けることができます。
一つ目は、問題を解決するために、問題を抱えた人が専門家に対して相談する、問題解決型の教育相談です。
例えば
・学校以外の機関が行う、匿名での電話相談サービス
・特別支援学校や教育委員会が行う、発達が気になる乳幼児の保護者への子育て相談
などがこれにあたります。
二つ目は、問題が起こる前に、学校の教職員などによって行われる予防的な教育相談です。例えば、教師が学級活動の中で、児童生徒に対して行うロールプレイングや感情コントロールのトレーニングなどです。
このように、教育相談が担うのは、問題が起こったときのみに行われる相談業務だけではありません。何か問題が起こったときに保護者や子どもが自ら課題を突きとめ、主体的に問題解決をできるように、これらの支援や活動は日ごろから行われています。
教育相談の事業を通して、困りごとがあるときにも、子どもに関わる誰もが気軽に相談をできるような体制づくりが目指されています。学校を中心として、教育センターや特別支援学校、NPOなど、地域全体を通して、そのような体制づくりが行われています。
教育相談ではどんな相談に乗ってもらえるの?
教育相談が取り扱う事柄はさまざまです。例えば、いじめや不登校、学習に対する不安などの学校生活に関わることから、就学や進路、子どもの発達のことなど、子どもの教育、養育上の問題に関するあらゆる内容を取り扱っています。
心配ごとがあるときに、教育相談では以下のような相談を行うことができます。
例えば、
◇学校生活のこと
・クラスでいじめにあっています。もう学校に行きたくありません。
・子どもが朝になるとお腹が痛いと言って学校を休むようになりました。無理矢理、学校へ連れていった方がよいでしょうか。
・学級に不登校の児童がいます。どのように対応したらよいでしょうか。
◇子育てや家庭のこと
・子どもが発達障害ではないかと心配しています。
・忘れ物が多くて困っています。
・子どもが自傷行為をしているようです。
・子どもが反抗的で親の言うことを聞きません。
◇就学先のこと
・障害が重くても、地域の学校で学ぶことができますか。
・小学校や特別支援学校に就学したあとに、転学の相談はできますか。
◇情報関係
・SNSに子どもの悪口が書かれています。どうしたらよいでしょうか。
教育相談では、相談者の意見を尊重し、肯定的に受けとめながら、相談者にとって最適な解決方法を一緒に考えていきます。
心配ごとがあるときに、教育相談では以下のような相談を行うことができます。
例えば、
◇学校生活のこと
・クラスでいじめにあっています。もう学校に行きたくありません。
・子どもが朝になるとお腹が痛いと言って学校を休むようになりました。無理矢理、学校へ連れていった方がよいでしょうか。
・学級に不登校の児童がいます。どのように対応したらよいでしょうか。
◇子育てや家庭のこと
・子どもが発達障害ではないかと心配しています。
・忘れ物が多くて困っています。
・子どもが自傷行為をしているようです。
・子どもが反抗的で親の言うことを聞きません。
◇就学先のこと
・障害が重くても、地域の学校で学ぶことができますか。
・小学校や特別支援学校に就学したあとに、転学の相談はできますか。
◇情報関係
・SNSに子どもの悪口が書かれています。どうしたらよいでしょうか。
教育相談では、相談者の意見を尊重し、肯定的に受けとめながら、相談者にとって最適な解決方法を一緒に考えていきます。
教育相談はどこで誰がしてくれるの?
では、教育や養育に関する悩みごとがあり教育相談を受けたいと思ったら、どこへ行ったらいいのでしょうか。
教育に関する相談を扱っているのは、学校の教職員、学校内の相談室、教育センター、特別支援学校などです。それぞれの相談先の特徴と、ご自身の悩みごとの内容に合わせて、相談先を選ぶことが大切です。
教育に関する相談を扱っているのは、学校の教職員、学校内の相談室、教育センター、特別支援学校などです。それぞれの相談先の特徴と、ご自身の悩みごとの内容に合わせて、相談先を選ぶことが大切です。
学校の教職員が行う教育相談
教育相談の活動で中心的な役割を担っているのが学校です。学校では、学級担任や管理職をはじめとして、養護教諭などの全ての教職員が協力をして、子どもの悩みを解決する体制が作られています。
学校では、通学する児童生徒本人や保護者が教職員に対して相談することができます。いじめや不登校などの問題の他にも、子どもの気になる行動や、学習についての不安を中心に相談ができます。
学校は子どもが毎日通うなじみのある場所であり、そこにいる教職員は毎日子どもに接しています。相談を行うことは、教員が子どもに対してより配慮のある対応をしてくれることにもつながります。
学校における教育相談に特徴的なのは、教職員の側から子ども、保護者に対し、相談できる機会を積極的に設けていることでしょう。通称、呼び出し相談や定期相談といわれています。教職員が積極的に子どもや保護者に声をかけていくことにより、問題が起こる前に、その火種を発見でき、問題を未然に防ぐことが可能となります。
学校における教育相談には、もう一つの側面があります。それは、悩みごとを抱える一部の子どものみを対象とするのではなく、全ての子どもを対象とする予防的な教育相談活動です。
いじめを例にして考えてみましょう。いじめの被害者に対する心のケアは重要ですが、いじめに対して「やめてほしい」と主張をする力や助けを出すための力が必要な場合もあります。また、いじめの加害者側が高いストレスに晒されていることもあります。そのような子どもが加害者にならないようにするために、事前の予防的な教育が行われています。
具体的には、授業やホームルームの中で、自分の言いたいことを適切に主張するためのアサーション・トレーニング、自分の怒りの感情をコントロールし、衝動的な行動に出ることを防ぐためのアンガーマネジメント、相手の立場になりきるロールプレイングなどが取り入れられています。
学校では、通学する児童生徒本人や保護者が教職員に対して相談することができます。いじめや不登校などの問題の他にも、子どもの気になる行動や、学習についての不安を中心に相談ができます。
学校は子どもが毎日通うなじみのある場所であり、そこにいる教職員は毎日子どもに接しています。相談を行うことは、教員が子どもに対してより配慮のある対応をしてくれることにもつながります。
学校における教育相談に特徴的なのは、教職員の側から子ども、保護者に対し、相談できる機会を積極的に設けていることでしょう。通称、呼び出し相談や定期相談といわれています。教職員が積極的に子どもや保護者に声をかけていくことにより、問題が起こる前に、その火種を発見でき、問題を未然に防ぐことが可能となります。
学校における教育相談には、もう一つの側面があります。それは、悩みごとを抱える一部の子どものみを対象とするのではなく、全ての子どもを対象とする予防的な教育相談活動です。
いじめを例にして考えてみましょう。いじめの被害者に対する心のケアは重要ですが、いじめに対して「やめてほしい」と主張をする力や助けを出すための力が必要な場合もあります。また、いじめの加害者側が高いストレスに晒されていることもあります。そのような子どもが加害者にならないようにするために、事前の予防的な教育が行われています。
具体的には、授業やホームルームの中で、自分の言いたいことを適切に主張するためのアサーション・トレーニング、自分の怒りの感情をコントロールし、衝動的な行動に出ることを防ぐためのアンガーマネジメント、相手の立場になりきるロールプレイングなどが取り入れられています。
校内の心の相談室で専門家が行う教育相談
学校内に設置されている心の相談室・カウンセリングルームでは、スクールカウンセラーに相談することができます。学校の教職員に言いづらいことは、学校内の相談室で相談をするのがよいでしょう。
スクールカウンセラーとは、公認心理師、臨床心理士などの資格を持つ心の専門家です。また学校によっては、「子どもと親の相談員」というスタッフが相談を受けることもあります。
学校内の相談室で相談をするメリットは、学校の教員とも保護者とも違う「第三者」としての立場から話を聞いてもらえることでしょう。これらの相談員は、保護者や他の教職員とも利害関係がないために、客観的で中立な立場から冷静に話を受け止めてくれます。
また、相談員は外部の機関との連携を密に行っています。ですので、相談員や学校のみでは問題解決ができないと判断した場合には、相談者の了承を得た上で児童相談所や医療機関などの機関と連携することもあります。
スクールカウンセラーや子どもと親の相談員は、各学校に配置されている場合と教育委員会から派遣されて学校へやってくる場合があります。週に1~2回、学校内、あるいは学校の近くにある心の相談室・カウンセリングルームなどの場所で勤務を行っています。文部科学省の資料によると2020年度の配置状況は全国で29,939人となっています。
スクールカウンセラーとは、公認心理師、臨床心理士などの資格を持つ心の専門家です。また学校によっては、「子どもと親の相談員」というスタッフが相談を受けることもあります。
学校内の相談室で相談をするメリットは、学校の教員とも保護者とも違う「第三者」としての立場から話を聞いてもらえることでしょう。これらの相談員は、保護者や他の教職員とも利害関係がないために、客観的で中立な立場から冷静に話を受け止めてくれます。
また、相談員は外部の機関との連携を密に行っています。ですので、相談員や学校のみでは問題解決ができないと判断した場合には、相談者の了承を得た上で児童相談所や医療機関などの機関と連携することもあります。
スクールカウンセラーや子どもと親の相談員は、各学校に配置されている場合と教育委員会から派遣されて学校へやってくる場合があります。週に1~2回、学校内、あるいは学校の近くにある心の相談室・カウンセリングルームなどの場所で勤務を行っています。文部科学省の資料によると2020年度の配置状況は全国で29,939人となっています。
教育センター・教育相談センターが行う教育相談
教育に関する相談の受け付けを行っているのは学校だけではありません。
教育相談センターや、教育センターという施設でも子どもの育ちや教育に関する悩みごとの相談をすることができます。
例えば、不登校やいじめの問題について、学校が対応しきれず困りごとの解決が難しいときもあると思います。学校に言いづらい悩みごとは、学校以外の機関に相談するという選択肢があると知っておくことで、新しい問題解決の道が開けることもあります。
これらのセンターは都道府県・市区町村が設置している施設であり、さまざまな専門をもつ相談員が相談に乗ってくれます。
相談をすることができるのは、18歳までの子どもとその保護者、および教員です。相談には、心理相談を専門とする相談員が対応し、必要に応じて、継続的な面接やプレイセラピー、心理検査などを行います。
またこれらのセンターでは、定期的に不登校に特化した相談会や、学校復帰・社会参加に向けた講演会が開かれていたりします。学校では得ることのできない情報を知ることができる場としても活用できるでしょう。
相談者の状態や、何らかの事情によりセンターに来所することが困難な場合には、メールや電話でも相談をすることができます。
相談内容によっては、児童相談所や医療機関などの関係機関を紹介される場合があります。例えば、相談員のみでは解決ができない、医学的な診断の必要である、また福祉的・法的な措置が必要な場合などです。
また、相談の内容によっては、保護者の方にあらかじめ確認をとった上で、相談の内容を学校に伝えることがあります。というのも、学校の教職員と保護者が子どもの状況を共通理解することにより、柔軟で充実した対応を行うことができ、結果的に問題の解決への近道となることもあるためです。
教育相談センターや、教育センターという施設でも子どもの育ちや教育に関する悩みごとの相談をすることができます。
例えば、不登校やいじめの問題について、学校が対応しきれず困りごとの解決が難しいときもあると思います。学校に言いづらい悩みごとは、学校以外の機関に相談するという選択肢があると知っておくことで、新しい問題解決の道が開けることもあります。
これらのセンターは都道府県・市区町村が設置している施設であり、さまざまな専門をもつ相談員が相談に乗ってくれます。
相談をすることができるのは、18歳までの子どもとその保護者、および教員です。相談には、心理相談を専門とする相談員が対応し、必要に応じて、継続的な面接やプレイセラピー、心理検査などを行います。
またこれらのセンターでは、定期的に不登校に特化した相談会や、学校復帰・社会参加に向けた講演会が開かれていたりします。学校では得ることのできない情報を知ることができる場としても活用できるでしょう。
相談者の状態や、何らかの事情によりセンターに来所することが困難な場合には、メールや電話でも相談をすることができます。
相談内容によっては、児童相談所や医療機関などの関係機関を紹介される場合があります。例えば、相談員のみでは解決ができない、医学的な診断の必要である、また福祉的・法的な措置が必要な場合などです。
また、相談の内容によっては、保護者の方にあらかじめ確認をとった上で、相談の内容を学校に伝えることがあります。というのも、学校の教職員と保護者が子どもの状況を共通理解することにより、柔軟で充実した対応を行うことができ、結果的に問題の解決への近道となることもあるためです。
特別支援学校が行う、子どもの発達・障害に関する教育相談
・子どもの発達についての相談
・特別支援学校への入学や転学への相談
・小中学校での教育についての相談
相談には、特別支援学校の教員が対応してくれます。子どもの発達とその支援に関する知識や経験のあるスタッフが対応してくれるので、就学のことや、子どもの発達で心配がある場合には気軽に相談してみるとよいでしょう。
特別支援学校で行われる教育相談は、小中学校の児童生徒、乳幼児やその保護者に対しても行われています。これは、平成23年に改正された障害者基本法を受けて、障害のある、または支援の必要な乳幼児とその保護者に対し、就学前から情報の提供の機会をより増やそうという国の動きによるものです。
相談対応の他にも、特別支援学校では以下のように障害のある子どもに関わる大人や、本人を手助けするさまざまなサポートも行っています。学校によってもサポート内容は異なります。
保護者や教師など、子どもに関わる大人は、子ども発達や障害に専門とする教員やコーディネーターとともに、遊びの工夫や、子どもとの適切な関わり方などを一緒に考えていきます。
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