発達障害の息子にとって、「相手と目を合わせること」は決して当たり前ではなかったと知り…

ライター:林真紀
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発達障害児の特性として「視線が合いにくい」というものがあります。息子は幼いころからおしゃべりが得意だったのですが、コミュニケーションに困難さを抱えていました。息子の六年間を振り返り、発達障害児にとって「目を合わせる」とはどういうことなのか?考えてみました。

お喋りな息子は、「コミュニケーションができている」と思っていた

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息子の発達障害を疑い、初めて発達相談に行った日。

私の相談を聞いていた臨床心理士さんから、開口一番に言われたこと、それは「息子さん、お母さんと視線が合いますか?」でした。

私は咄嗟に「目ですか?合ってますよ!」と言いました。それは、息子が2歳にしては年齢不相応なほどよく喋る子であったこと、そして私は息子ときちんとコミュニケーションしているという自信があったからです。

よく喋っているから、息子がどこを見ているかについては感知していなかったのだと思います。けれども、ある日ふと、息子は1人で好き勝手なことを喋っているだけで、私の目を全く見ていなかったことに気付いたのでした。
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息子は話せるけれど、コミュニケーションはとれない子でした

療育で始まった「目を合わせる練習」。一体どんなことをするの?

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その後、息子の支援は発達相談から療育に繋がりました。

療育では毎回、さりげなく息子が視線を合わせる働きかけをしていました。息子が目で追うおもちゃを、先生が自分の目元に持っていったり、何かができたときに先生の顔を見ると褒めたりを繰り返してくれました。

次第に、息子が人に何か働きかける際、相手と視線を合わせることが増えていきました。
息子と視線が合うようになって初めて、「ああ、これまでこんな風に目線が合うことってなかったな」と私は気付いたのでした。

視線が合うようになって何が助かったかというと、息子がこちらの表情を見るようになったことです。

コミュニケーションを成立させるためには、相手が喋っている、ムッとしている、笑っている…といった、細かい表情から状況を読み取っていく必要があります。

息子は「人の気持ちがわからない」訳ではなく、「人の顔を見ていないから、相手の気持ちとそぐわないことをやってしまう」ようでした。

目を合わせる回数が増えるにつれ、一方的に相手にまくしたてるような行動が減っていきました。

目が合うようになった息子の、新たな問題

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息子と視線が合うようになり、小さな幸せを感じていた私でしたが、今度はまた新たな問題が生じたのです。
それは息子が、人の目を至近距離からジーーーっと見つめ、視線が外せなくなったことでした。

相手が小さな子どもであれば、背丈も同じぐらいですから、当然怖がります。

相手を覗き込むようにジーーーーっと見つめて喋る息子は、みるみるうちに他の子どもたちから変な子扱いされるようになってしまいました。

相手と目を合わせること自体が息子にとっては大変なことでしたが、今度は目線の外し方と適度な距離が分からなくなってしまったのです。
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