「長男の自閉症が治せたら」そんな私の思いを変えた、次男の言葉

ライター:シュウママ
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我が家には7歳の双子がいます。長男は重度の自閉症で、最近少しずつ単語が出始めた状態です。そのためまだ周囲と言葉でコミュニケーションを取る事は難しく、定型発達の次男と仲良く会話したりすることもできません。公園などでよその兄弟が楽しく遊んでいる姿を見るとき、私は次男が「僕もお兄ちゃんと二人でおしゃべりしたいな」と他の兄弟をうらやむ気持ちがあると思っていました。

自閉症でまだ言葉が少ない7歳の長男。ある日、双子の弟が…

重度自閉症である7歳の長男は、単語をぽつりぽつりと話す程度でまだ上手く会話を交わすことはできません。

親である私には、それが「自閉症」という発達障害によるものだということが分かりますが、まだ幼い双子の次男にはなかなか理解できるものではありません。

ある日の夕方のことです。支援学校から帰宅し疲れて眠る長男を見ながら、次男が私に問いかけてきました。
どうして兄はしゃべらないのか聞く次男
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私はきちんと話したことがなかったなと気付き、次男に長男の障害について説明することにしました。
兄の障害について説明する母
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お兄ちゃんには自閉症という障害があること、上手くおしゃべりできないのはこの障害のせいで、お兄ちゃんには何の責任もないこと。でも今、お兄ちゃんは言葉が少しずつでるようになっているから、いつかいろんなおしゃべりができる日がくるかもしれないねということを話しました。

「自閉症って、治せないの?」次男からの質問に思わず口から出た言葉

すると次男はしばらく考え込み……
自閉症は治せないの?と聞く次男
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私は「生まれつき脳の働かせ方が違うんだ。だから治すことはできないんだよ」と伝えました。
「もしシュウが自閉症じゃなかったら、一緒に遊んだり、お話できたかもしれないね。自閉症を治す魔法の薬があればいいのにね」

私はつい、半ば愚痴のようなことを口にしてしまいました。

そんな薬が出来るわけもないのに……反省していると、次男から意外な言葉が返ってきました。

「もし魔法の薬があったら、10分間だけおしゃべりしたいな」

「もし魔法の薬があったら、10分間だけおしゃべりしたいな」
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私は次男の言葉の意味がわからず「10分間だけでいいの?」と訊ねました。

「お兄ちゃんとお話したり一緒に遊びたい。でも、お話するお兄ちゃんはお兄ちゃんじゃないんだよ。急におしゃべりになったら、違う人みたいな気がすると思う。でも薬を飲んで10分間だけなら元に戻るでしょ。元に戻ったときにお話した言葉が頭の中に残ってて、少しずつお兄ちゃんが変わっていくならいいよ」

すやすやと眠る長男の顔を見ながら次男はそう言いました。
すやすやと眠る長男の側でほほえむ母と次男
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障害児のきょうだいだからこそ、育まれていた優しさ

同じときに生を受けた双子の弟は、まだ話せず、一緒に遊ぶことができないことも全部含めて「今のお兄ちゃん」として受け止めているのでしょう。

そしてその気持ちは、母である私にはよく分かったのでした。

障害のある子どもがいれば、親や兄弟はその子の障害が治ることを願うことが一度はあると思います。私もこの子が自閉症でなかったら良かったのに、と何度となく願ってきました。

でもその思いとは別に、突然長男がすらすらと話し始めたら、まるで見知らぬ子どもを突きつけられたような感覚に襲われるのではないかとも思うのです。

7歳になってはじめて「お母さん」と呼んでくれた時のこと、他の子どもより長い時間をかけたけれど、一人で洋服を着れるようになった時のこと。

幼い仕草やたどたどしい口調を含めて、そんな長男の姿が消えてしまったら……。そう考えると、目の前の長男の姿が愛おしく、今の私たち家族にたくさんの幸せを見つけることができるのです。

「お兄ちゃんはそのままでいいんだよ」そんな弟の声が聞こえた日

「お兄ちゃんはそのままでいいんだよ」そんな弟の声が聞こえた日
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「お兄ちゃんは、お兄ちゃんのスピードでゆっくり歩けばいいんだよ、僕は待ってるから。」
自閉症児の親として味わった辛さも苦しさも、また喜びも、それら全てが結びついて、私たち家族が今の長男の姿と成長を愛しく思っているのだと、気付かせてくれた次男の言葉でした。
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