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[第2回]

「明けない夜でもいい」同じ境遇の仲間との出会いが自分を変えてゆく

全国の小中学校で「講演ライブ」を行うロックバンド「JERRY BEANS」のメンバーは、3人とも過去に不登校を経験しています。小学5年生で不登校となったドラムの山崎雄介さん。「自分には価値なんてない」と、一時は自殺未遂をするまでに至りますが、「不登校の親の会」での八田さんとの出会いが、彼の心を変えてゆきます。

「何も話さなくていい」。安心して自分のままでいられる初めての友人

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「JERRY BEANS」のベース、八田くんと出会ったのは、僕が自殺未遂を母親に止めてもらった後のこと。親に連れられて、双子の弟の史朗と一緒に参加した、「不登校の親の会」の集まりだ。そこに八田くんもいた。

八田くんとの関係は、今まで思っていた「友人関係」とは全く逆だった。友人というのは「自分のことを話せる相手」だと思っていたけど、そうじゃなかった。八田くんとの間では、「自分のことを話さなくてもいい」安心感があった。

当時は、まだ不登校とか自殺のことを話せる気持ちがじゃなかったけど、八田くんは何にも聞いてこなかった。ただただ毎日遊んでいるだけで、それが居心地良かったのだと思う。

僕も、八田くんの不登校についてなど聞かなかったし、聞く気にもならなかったというのがその時の気持ちだ。

弱さを受け容れてはじめて、「親に愛されている」と思えるようになる

仲間ができてから、僕の生活は大きく変わった。それまではずっと家から出られなかったのに、八田くんと出会ってからは、弟の史朗と3人で毎日のように外出するようになった。

生活が変わって、だんだんと自分の気持ちも変わってきた。初めは、学校の友だちに会いたくないからコソコソしていたけど、そのコソコソした気持ちすらも楽しめるようになっていった。

それから、いい意味で色々なことを諦められるようにもなってきた。「こういうことも人生の大事な経験やし、みんな人間なんて未完成なんやな」って、そう思えるようになった。

弱い自分をしっかり受け止めて、だれかに頼ることは、決して悪いことではないのだと思う。

一番大きな変化は、「親に愛されている」と思えるようになったこと。

それまで、親がぼくらのために戦ってくれている姿を見て、親は完璧な存在なんだと思っていた。けど、そうじゃなかった。

実は母親も、後に鬱になったり、父親も失踪したことがある。親は親で、必死でがんばっていたんだ、誰にだって人間らしい弱い部分があるんだということがわかってきて、「みんな、同じ弱い人間やん」って思えるようになった。それでようやく、親との心の距離が近づいていった。

そんな経験があったから、今はどんな状況の人に出会っても、それはその人の人生に必要なことなんだって、受容できるようになった。

「人間同士、今日も生きてるわ~」なんてね。

明けない夜は辛い、それでも歩いていける

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「JERRY BEANS」のボーカルを務める、双子の弟の史朗は、僕とは対照的な性格だ。同じく不登校を経験してはいるけど、もともと活発で友達もたくさんいた。

双子というのは不思議な存在で、どっちかが本物でどっちかがニセモノみたいに思えることがある。僕は、史朗に比べて友達も少なかったから、完全に自分が史朗のコピーだと思っていた。

だけど今では、弱い部分も含めて、自分は自分なんだって受け止められるようになった。

僕は化粧もして、奇抜な民族衣装を着ているけれど、これもきっと僕の性格や人生の表れ。自然がもともと好きだった上に、不登校の時、ジブリの『もののけ姫』を20回以上も観ていたものだから、きっと『もののけ姫』の世界に引きこもっていたんだろうな。自然のなかにいるような格好が安心する。そのせいで、どんどん奇抜さが増していくけど(笑)。

今でも性格はけっこうひねくれていて、「必ず夜は明ける!」なんていう言葉は嫌いだ。「いやいや、明けてないから、いま辛いんやし!」みたいに思ってしまう。

だけど、明けない夜―不登校の時期があっても、例え困難な状況があっても人生は不思議で自分の想像以上の事が起こる。それは良いことも悪いことも両方あるけれど、少なくとも良いほうもちゃんとあるんだから生きてさえいればゆっくりでも歩んでいけるんだということは、僕の経験や唄を通して知ってほしいと思う。


こんな格好のおかげで、不登校の子どもたちに会うと笑われることが多い。
「いやいや雄介さん、めっちゃ元気やん!僕引きこもってもそこまでならへんわ」
って。

いま、辛い思いをしている子たちに、僕の姿を見て「そんな時期があってもそこまでなる!?」って、笑った驚いたりしてくれれば、それでいいかな。
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