適度な負荷の大切さ。発表会が息子を成長させてくれた。

息子の幼稚園は、各行事に力を入れていることで有名でもあります。1つの行事のために、1ヵ月以上前から子どもたちは練習に練習を重ねます。特に年長さんの行事は大人から見ていてもすごいレベルです。「うちの息子は年長に上がる前に挫折するかも…」と私はいつもドキドキしていたものです。

そんな心配をよそに、先生方は「ほんのちょっと頑張れば乗り越えられるぐらいの負荷を与えてみる」ということに気を配ってくださいました。「苦行に近いような負荷を与えてしまうと、子どもの自信にはつながらない。これならちょっと頑張ればできるかも、ということをやらせるようにしている」とのことでした。

息子は何度も「もう無理~」と言ったそうですが、そのたびに先生方は息子にカレンダーを見せてくださったそうです。「あと何日だね」と言うと、息子は「頑張る~」と起き上がったそうです。それでも身体が疲れてどうしようもないときは、職員室のベッドで眠っていたそうです。

決して特別扱いはせず、けれども適度な配慮をして頂けたと思います。

そして最後の発表会で、息子は笠地蔵のおじいさん役をやらせて頂きました。それまで本人の負担を少しでも軽くするように、劇ではなるべく大勢でめだたない役をしていました。しかし、この最後の発表会は、セリフも多く出番も多い、主役をやらせて頂いたのです。これは息子にとって大きな自信になったと思います。

年長になった息子が、卒園式を前に言ったこと

大きくなったら幼稚園の先生になるという息子
Upload By 林真紀
充実している息子の姿を見ても、もしかして辛さを隠しているのではないか、という私の気持ちがなくなることはありませんでした。感覚過敏の息子にとって、泥まみれになるのは実は嫌だったんじゃないか、行事のたびに荒れることが多かったから、本当はものすごく辛かったけど黙っていたのかもしれない…。英才教育系の園のほうが本人に合ってたかもしれない…。私の頭の中には常にそんな心配がありました。

ところが、卒園式を前に、息子がこんなことを私に聞いてきたのでした。

「お母さん、幼稚園の先生ってどうやってなるの?」
「僕は将来幼稚園の先生になって、この幼稚園に戻りたい」
「先生たちもお友達も、みんな僕を助けてくれた」
「あんな風に、僕もみんなを助けたい」
これを聞いて、私は涙が止まらなくなってしまいました。

「そっか、楽しかったんだね、本当に楽しかったんだね」
「みんなに助けてもらったんだね。幸せだったんだね」

3年間、息子がどんな思いで毎日を送ってきたか、息子の言葉で私にはわかりました。

4月からは小学校1年生。今までとは勝手の違うことがたくさん出てくるでしょう。息子にとっては辛いことも増えていくかもしれません。でも、幼稚園の3年間で得た自信の貯金で、きっと乗り越えていけると私は信じています。

息子の新たな門出の日は、もうすぐそこです!
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