知的な遅れがある自閉症の息子。支援学校を卒業したその先の人生は

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特別支援学校の高等部に通う息子の授業参観日。息子が何時間も同じ単純作業をしている姿を実際目にして、なんだか悲しい気持ちになってしまいました。これっていけないことなんでしょうか?

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特別支援学校に通う息子が、将来「働く」ということ

こんにちは。『子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方』著者の立石美津子です。

私には、知的な遅れを伴う自閉症の息子がいます。現在、特別支援学校高等部に通う1年生です。

特別支援学校高等部のカリキュラムは、一般的な高等学校とは少し異なります。国語や数学と言った教科学習だけでなく、入学直後から3年後の就労に向けて必要な知識、技能、態度についての学習が中心になります。それに加えて、木工、農園芸、食品加工、ビルクリーニングなどの作業学習も行われます。

今回は、障害のある子どもが「働く」とはどういうことなのか、働くことで得られる喜びとは何なのか考えてみました。

知的な遅れがある自閉症の息子。その人生の先にあるものは

お子さんが特別支援学校の高等部を卒業した先輩ママが、ある日こんなことを呟いていました。

「18歳までは“学校”という障害があっても守られた環境のなかで、先生や友達と一緒に充実した毎日を送っていた。でも卒業後は朝から夕方まで作業所でナッツをビニール袋に詰める作業をしている。わが子はこれで幸せなんだろうか…?」

「猛暑の中で、来る日も来る日も公園のトイレ清掃。わが子の人生は、これでよかったのだろうか…」

この話を聞いた私は、息子が支援学校を卒業してから1日中、袋詰めの作業をしている姿を想像しました。

そして…こんなこと言ってはいけないのかもしれませんが…「なんのためにこれまで一生懸命育ててきたんだろう」と悲しい気持ちになってしまいました。

誕生したときの喜び、診断されたあとのショック、療育に必死に通った過去の日々が蘇り……。どんなに一生懸命学校に通わせたり、療育をして本人に出来ること増やしたとしても、その先にあるのは結局ひたすら単純作業をこなす人生なのかもしれない、そう考えてしまいました。

授業参観で、ひたすら単純作業を行う息子を見て。浮かんでしまった正直な気持ち

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昨年の7月に、息子が通う高等部の授業見学に行きました。

知的障害の度合いが重度の子は「園芸班」「ホームサービス班」「工芸班」「紙工芸班」に、中度・軽度の子は「事務班」「接客班」「清掃班」「食品加工班」「施設管理班」に分かれて、将来の就労に向けての訓練を受けていました。

施設班のグループの生徒達は猛暑のなか、ほうきの毛束についたゴミをひたすらとる作業をしていました。これを“けがき”と呼ぶそうです。(私はそんな言葉があることを初めて知りました)

接客班の生徒達はテーブルを囲んで輪になり、一人ずつテーブルを拭く練習をしていました。私語禁止のなか、左端から右端、上から下とロボットのようにテーブルを拭いている子は「よくできました」と先生に言われ、丸く拭いた子は「やり直しです」と注意されます。

息子は事務班でしたが、ネクタイをしめながら、同じ紙を3時間大型カッターで切る訓練を受けていました。
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人として生まれ、 15 歳まで義務教育を受け、高等部で職業訓練を受けて…。社会からたくさんの恩恵をもらったぶん、息子も働いて社会に恩返しするのが望ましいのでしょう。また息子が将来自立するためにも、働くための技能を身につける必要があります。

特別支援学校という設備の整った恵まれた環境で、息子に合った訓練を受けられることは幸せなことです。そういう意味で息子は充実した高校生活を送れていると思います。

しかし頭でそれを分かってはいながらも、延々と同じ作業を続ける息子の姿を見ていたら涙が出てきました。

「普通の子に産まれていたら、もっと楽しい変化のある充実した高校生活なんだろうな…」

という気持ちが正直に、浮かんできました。他のママも「ちょっとショックだった」とこぼしていました。

働く喜びは、息子自身が決めるもの

それでも気を取り直して授業参観の日の夕方、帰宅した息子に「事務班でのお仕事の練習、すごーくがんばっていたね」と褒めてやりました。

すると、「カッティング上手になったから綺麗に切れた」と嬉しそうに自信満々にこんなのを見せてくれました。
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そして、息子の様子を見て気がつきました。

「そうだ。『こんな作業つまらないだろうな』『苦痛だろうな』 『こんな簡単な作業しかできないなんて不憫だ』なんて感じてしまうのは、健常者である私の奢った感情だったんだ」

私がどう思っていようと、何も関係がないのです。息子さえ「この作業が楽しい」と感じていれば、それが息子の働く喜びなのです。

公園清掃だって箱折り作業だって、工賃が1万円以下の仕事だって、それが本人の適性に合っていてやりがいを感じていれば、「それが最高の仕事なのだ」と思いました。

仕事や職業に感じる価値ややりがいを決めるのは私ではなく、本人なのです。
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そんなことを考える一方で…

そんなことを考えながらも、心のどこかでは、「ああ、どんどん年齢を重ねないで欲しい。就労のことなんか考えないでいられたらなあ~。ずっとかわいい子どもでいて欲しいなあ」「温かい先生に見守られている学校のような居場所が、 18 歳以降もあったらいいなあ」
と思うのでした。

これって、親のエゴなんでしょうか?皆さんはどう思いますか?

このコラムを書いた人の著書

立石流 子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方
立石美津子(著),市川宏伸(監修)
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立石美津子 さんが書いた記事

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