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[第4回]

「なぜ出来ないの?」そう最初に子どもに問いかけるのは誰か、考えてみてほしい

現在大学院生の岩元さんは会話を始めようとするとき、冒頭の言葉が詰まり、スムーズに音が出てこない「吃音」という言語障害がある。 「いやぁ〜さすがにもう訛ってないですよ!(笑)」そう言うが、会話の端々には地元鹿児島の風がしっかりと残っている。そんな大らかさと、明るく柔軟な雰囲気とは裏腹に、瞳の奥にはしっかりと強い意思を感じる。彼の人生を1つひとつ聞いていきたい。

◆相手の印象には、吃音よりも「やっぱあいつ面白いわ!」って方が残るようにしよう

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ー岩元さんは「自分が変わらなきゃ、今のままじゃダメだ」と、常に自分を開拓する思考でアグレッシブだなぁという印象です。

岩元:そう…なんですけど「吃音以外の部分でなんとかしよう」と無理をした反動で、高校ではおもいっきり病みました!(笑)

「変わろう」という視点自体はいいんでしょうけど、「自分らしいか」といわれると違ったんですよね。スムーズに話せない代わりに、喋るときは思いっきりテンション上げて、相手の印象には吃音よりも「やっぱあいつ面白いわ!」って方が残るようにしようって無理していました。

大げさに身振り手振り使って「ドカーン!ギャー!」みたいな擬音も入れて、ノリと勢いで相手を巻き込む感じ。周囲は好意的な反応でしたけど、そんな自分に疲れて学校に行かなくなりました。高2になってスイッチが切れたようにパタっと。

ーそうでしたか。

岩元:ま、学校に行かないといっても、校舎から歩いて15分の寮にいるんですけどね。(笑)

寮でゲームして時間潰しながら、からっぽな自分とゆっくり向き合いました。「あぁ、やっぱり自分らしくあろう」とやっと思えたのは、高2の最後の方ですかね。

ー時間が自然とそうさせたんですか?

岩元:んー、いや、どうかな…。

寮の中に人気者がいたんですよ。絶対自分のほうが笑いとって面白いはずなのに、なんで友達は全員彼のほうにいくんだろうって疑問に思ったんです。彼と自分を比較したときに、友達に対してご機嫌をとっているような自分に気付いたんですよね。


岩元:取り繕って無理してる姿っていうのは、周囲も感じとるんでしょうね。寮生活だからこそ余計に。自分を偽るっていうのは相手とちゃんと向き合ってないとも言えるから、そりゃ誰も自分に見向きしないよなと思いました。

それからは、沈黙の時間に無理して盛り上げることを辞めたり、自分の気持ちを我慢せずに伝えたり、とにかく「自分らしくあること」を大切にするようになりました。

ー再び「自分から変わろう」というポイントですね。

岩元:そう、やっぱり、自分が変われば、周りもだんだん変わるんですよね。

「なんかやっぱお前いいよな」って、笑いをとらない自分のこともちゃんと認めてくれる友達がいて、それは嬉しかったですね。昔よりも友達が増えてまた自然と通学できるようになりました。

ーありのままでも、十分だったんですね。

岩元:そうみたいです。「自分らしくいる」っていうのは、評定1.5のままの自分でいいってことじゃなくて(笑)、自分の芯を持っているという事だと思います。易きに流れない芯を持っている人って、周りからも信頼されるんだなと感じました。

ーなるほど。

岩元「自分らしく」ってよくある言葉ですけど、その言葉の意味を自分の中できちんと理解したときから、本当に自分自身が大きく変わりましたね。

この時の学びがあるから、今、大学のプレゼンでスムーズに話せず失敗しても「大丈夫大丈夫、自分を偽らずちゃんと向き合った、大丈夫。」と過度に卑下せず挑戦できています。

◆「なぜできないの?」という質問はね、誰だって自分が一番自分に問うてるんですよ

ー「自分が変わろう」という思考の岩元さんでも、周囲の人にこうしてほしかった…なんて思いはあるのでしょうか。

岩元:うーん…昔は、吃音の物まねをされたり「どうしてそんなにどもってるの?」と友達から言われたりしたときはやっぱりショックでした。

聞くのはわるいことじゃないから聞いてもらっていいんです。ただね、悪気がなくても、理由がわからなくても、聞く前に1回だけでいいからこちらの気持ちを想像してみてほしかったなと思って。

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ー想像、ですか。

岩元「なぜできないの?」という質問はね、誰だって自分が一番自分に問うてるんですよ。

誰よりも早く「できない」に気づいてる。誰よりも多く「自分はできない、なぜだ」って自問自答してるんです。


障害に関係なく、割り算でも、スポーツでも、朝寝坊も同じですよ。子ども本人が一番「なぜだ」って思ってる。どうしても朝起きられない体質の子も、クラスに1人くらいいたでしょ?

ー確かに「みんな当たり前に出来るのになんで?」ということで躓くことはありますね。

岩元:一瞬立ち止まって、ちょっと相手の気持ちを想像するだけでいいんです。何もわからなくても、言葉尻が少し変わってくると思うんです。だから、自戒を込めて「立ち止まって相手の気持ちを考える」ですかね。

ーなるほど。

岩元:ただ、周りに対して「こういったフォローがほしかった」というものはあんまりないですね。普通の想いやりくらいでいいんです。

自分の妹は「障害者の兄」ではなく「ただの兄ちゃん」として接してくれます。そんな関わりがやっぱり一番嬉しいですね。なんていうか…違和感がないんです。うん、普通、みたいな(笑)

◆やりたいことは遠慮なくピックアップして、やりたいなら絶対にやれ!!心からそう伝えたい

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ーもし昔の岩元さんと同じように悩みと向き合っている子がいたら何を伝えますか?

岩元:何か障害があって苦しい思いをしている子や、挑戦を諦めている子がいるのだったら、「障害や環境に関係なく、自分がしたいことに挑戦してみよう。その挑戦の一歩が何よりも大事なんだ」と伝えたいです。

自分はじっくり自分自身と向き合って「障害に関係なくこの人生は1回しかない。自分がしたいことは全部やろう」と決めました。

だから吃音でスムーズには話せないけど、アルバイトの接客、語学留学、教育実習…
30人以上の生徒の前で、言葉を詰まらせながら授業を進めるっていうのは結構勇気が必要だったけど、全部挑戦して、ちゃんとやり切りました。

「自分はこれがしたい」という気持ちがあるのに、挑戦することさえしないなんて。

障害に気持ちが先に負けて逃げてしまうなんて。そんなのもったいない、負けちゃいけない。
自分の人生としっかり向き合って、やりたいことは遠慮なくピックアップして、やりたいなら絶対にやれ!!って、心から伝えたいです。

…って、自分も大学5年目になってようやくこう思えるんですけどね!(笑)

僕自身、まだまだこれからですね!

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