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[第2回]

うまく喋れないから愛嬌でカバー。でも「親のせいで自分に障害がある」と思っていた

現在大学院生の岩元さんは会話を始めようとするとき、冒頭の言葉が詰まり、スムーズに音が出てこない「吃音」という言語障害がある。 「いやぁ〜さすがにもう訛ってないですよ!(笑)」そう言うが、会話の端々には地元鹿児島の風がしっかりと残っている。そんな大らかさと、明るく柔軟な雰囲気とは裏腹に、瞳の奥にはしっかりと強い意思を感じる。彼の人生を1つひとつ聞いていきたい。

◆明るく能天気なキャラを演じて、うまく喋れなくても表現と愛嬌でカバーしようと思ったんですよ

ー岩元さんは、昔からこんな前向きだったんですか?

岩元:いやぁ…小学生の頃は凄く大人しかったですね。正直、学校は地獄でしたよ〜、はっはっは!(笑)

ーはっはっは、て(笑)

岩元:例えば音読のとき。

自分の番を待ちながら「どうしようどうしよう」って不安で、いざ自分の番になったら結局何も言えないんです。長い沈黙が続いて、周りの生徒は「おーいどうしたー」、先生はフォローしてくれるどころかちょっと笑っているような感じ。

その状況が本当に地獄でした。

ー吃音と自覚したのは中学生の頃、と仰ってましたね。

岩元:そう、それまでは「周りの友達と自分は違うな」と感じてはいたんですけど、それが何なのかハッキリとはわかりませんでした。

でも、同じ地域に住んでいた男性で、自分と同じように話しづらそうな人がいたんです。その人が「吃音という言語障害がある」と言うので「あ、自分もきっと吃音なんだな」と。

ショックというよりは、やっぱりな、という納得感でしたね。

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ー「吃音」というのを知ってから、何か変わりましたか?

岩元:乗り越えるための自己流の訓練を始めました。新聞の文章をゆーっくり声に出して読んだり、ほんとうに自己流ですけど…医学的に効果があるかはわかりません(笑)

あとは、もともと自分から変わらなきゃって思っていたので「知ったからには自分に出来ることをしよう」という気持ちが強かった。

ー変わらなきゃ、というのはどうしてですか?

岩元:その頃、地元鹿児島を離れ県外の中高一貫校に進学し、寮生活をしていたんです。ということは、6年間ずーっと学校でも寮でも同級生や先輩後輩と一緒なんですよね、男ばっかりで。(笑)

小学校の頃みたく、学校では全く話さずさっさと家に帰って、一息つくということができない。

だから「自分から変わらなきゃいけない」と思ってました。ちょっと無理をして、明るく能天気なキャラを演じて、多少うまく喋れなくても表現と愛嬌でカバーしようと思ったんです。

ー「表現」ですか。

岩元:そう、訓練してもやっぱり言葉で自己表現するのは上手くいかないから。言葉に頼らないような自己表現方法を模索しては、積極的にトライしてました。

ギター、ダンス、手芸、美術、ピアノ、スケート、写真、あとは料理もかな…取り組んだものは極めるというか人並み以上にできるようにはなってたと思いますね。

ーさっきダンスの動画見せてもらいましたけど、キレッキレで集団の中でパッと目をひく存在だなぁって…

岩元:でしょ?…っていうのは冗談で、言語以外だと自分も素直に頑張れたんです。

あと周りから「おーすごいね」って言われるのがめっちゃ好きだったから、始める動機こそ「言葉以外で…」って感じでしたけど普通に楽しんでやってましたね!(笑)

◆高校のとき「お母さんが倒れたときくらいから上手に話せなくなったよね」と言われた

ー吃音に気づいたのは中学の頃ということですが、ご両親はご存知だったんでしょうか。

岩元:いや、両親も自分の子どもに障害があるという感覚はなかったみたいですね。自宅でも変わらず「あ、あ…」ってどもってましたけど、親はそれを障害とは思っていなくて。学校も通常級でしたし。

その両親が「この子にはやっぱり障害があるんだ」と気付いたのが、自分が高校生のときだったと思います。「お母さんが倒れたときくらいから上手に話せなくなったよね」と言われました。

…それはもうショックで「自分の人生を悪いほうに変えたのは両親だった」という衝撃で親を恨みましたね。

本当に言葉は悪いんですけど…「お前らのせいで自分が障害者として人生を送らなきゃいけなくなったんだよ!!」と、逆恨みのような言葉をぶつけてしまったこともあります。

◆あの時期は両親だけじゃなく全人類を憎んでいたような気がします。(笑)

ー吃音のキッカケを知って、今のように前向きな考えになるまでどんな変化があったんでしょうか。

岩元:そんなすぐに切り替えられたわけではなくて…。実は、この後もう1つ両親を心底恨んだ出来事があって、それが自分を大きく前向きに変えてくれましたね。

ー「恨んだ、けど人生の転機」ですか…

岩元:そう、自分、大学受験に失敗して浪人してるんです。

もともと高校から推薦で大学に入れるはずだったので、進学を考える時期になっても「推薦あるしいいやー」と気楽に構えてたんですけど、当時の成績は10段階中1.5という低さ(笑)
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ー1.5はなかなかファンキーですね。(笑)

岩元:すると両親が「推薦は駄目だ!!」と言って推薦を断ってしまったんですよ!1.5の僕には推薦しか大学に行く道はないのに。(笑)

結局、仕方なく普通に受験をしたんですけど、当然どこも不合格で浪人することになりました。

同級生が大学の先輩になることも、後輩と大学で同級生になることも、本当に嫌でしたね。もちろん地元鹿児島に戻っても同じ立場の友達はいるはずもなく、ずっとひとりぼっち。

ーあぁなるほど…同級生はキャンパスライフをFacebookにあげるし。

岩元:そう、本当そうっす!吃音の理由を知ったショックも重なり「自分の人生は全部両親に変えられてしまった」と感じて、最初はもうめっちゃ恨んでいましたね。

ー気持ちの整理が追いつかない、というような。

岩元:まさにそうです。まぁ、あの時期は両親だけじゃなく全人類を憎んでいたような気がしますけど(笑)

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