難病の定義から支援の申請方法まで!就職や福祉に関するサポートをご紹介します。
ライター:発達障害のキホン
どのような病気が「難病」と呼ばれるのでしょうか?難病には「指定難病」とそれ以外の難病とがあります。その違いはなにか、また子どもが難病を持っている場合に利用できる支援制度などをご紹介します。今回は、医療費助成制度のある「指定難病」を中心に、支援や受けられるサポートについてまとめました。
難病とは?
難病とは、原因がわからず、治療法が確立していない上に、患者数が少ない病気の総称です。病気自体の認知度が低いものが多く、周りからの理解を得るのが難しいこともあります。
難病の定義
世間では、治すのが難しい病気や症状が重い病気などを総称して難病と呼ぶことがあります。一つひとつの病気を見てみると、原因や症状もバラバラです。国は「難病の患者に対する医療等に関する法律」において、難病の定義に4つの要素を重視しています。
難病(発病の機構が明らかでなく、かつ、治療方法が確立していない希少な疾病であって、当該疾病にかかることにより長期にわたり療養を必要とすることとなるものをいう。以下同じ。)
(引用:『難病の患者に対する医療等に関する法律』)
上記の4つの要素を満たす疾患の調査研究・患者支援を推進することが明記されています。それぞれの病気に対してではなく、上記の項目を満たすものすべてを難病と捉えて、支援制度の整備や新薬の研究などが進められています。
指定難病とは
国が「難病の患者に対する医療等に関する法律」に基づいて、認定した難病を「指定難病」と呼びます。患者は、「指定難病」であることを各都道府県に申請すると、特定医療費として医療費助成を受けることができます。「指定難病」の認定基準は以下の通りです。
ー 指定難病 ー
難病のうち、以下の要件の全てを満たすものを、患者の置かれている状況からみて良質かつ適切な医療の確保を図る必要性が高いものとして、厚生科学審議会の意見を聴いて厚生労働大臣が指定
○患者数が本邦において(注)に達しないこと
○客観的な診断基準(又はそれに準ずるもの)が確立していること
(注)人口の0,1%程度以下であることを厚生労働省令において規定している。
(引用:第14回指定難病検討委員会資料 参考資料2 指定難病の要件について|厚生労働省)
指定難病の定義の中では、診断基準があるかどうかが重要になります。病気によっては、明確な診断基準を持つことが難しい場合もあるので、医師によって診断が分かれることも起こり得てしまいます。診断されること自体が難しい疾患があることを考えると、正しい診断による疾患の早期発見は難病支援の重要なポイントになります。今回は、国が定める「指定難病」を中心に、難病の種類や支援とサポートをまとめていきたいと思います。
指定難病の種類
平成29年度4月からは、330疾患が「指定難病」となりました。その「指定難病」には15種類のカテゴリがあります。症状が、身体のどの個所に現れるのかによってカテゴリ分けが行われています。具体的な病名や症状は難病情報センターの以下のリンクから見ることができます。
「指定難病」の認定基準では、患者数が人口の0.1%程度以下となっています。この0.1%程度を具体的な日本の人口で考えると約12.7万人になります。パーキンソン病のように患者数が10万人以上の疾患もあれば、同じ指定難病でも患者数が10人以下の疾患もあります。また、同じ「指定難病」でも、抱える悩みや必要になるサポートは疾患ごとに異なります。
患者数に差はありますが、一度指定難病に認定されることで受けられる支援の幅は広がります。「指定難病」として受けられる支援制度を知ることで、その他の医療費給や福祉サポートが行いやすくなるはずです。
患者数に差はありますが、一度指定難病に認定されることで受けられる支援の幅は広がります。「指定難病」として受けられる支援制度を知ることで、その他の医療費給や福祉サポートが行いやすくなるはずです。
指定難病の支援制度
難病に関する支援制度の方針は、昭和47年に定められた難病対策要綱に基づき決められています。国が難病に関する支援として示している方針は以下の3つです。
(1) 調査研究の推進
(2) 医療施設の整備
(3) 医療費の自己負担の解消
(引用:難病とは?||難病情報センター)
難病医療費助成制度
難病治療においては、高度な医療機関や高額な薬の使用によって医療費が高額になってしまうことがあります。そこで、患者が負担している高額な医療費を軽減するために難病医療費助成制度というものあります。指定難病の患者に対して医療費が助成される制度です。平成27年の制度改定により、多くの難病を抱える方が難病医療費助成制度を利用できるようになりました。
この難病医療費助成制度とは、どのような受給者証制度なのでしょうか?この制度を利用することで、患者が負担する医療費は一定になります。制度改正によって、自己負担割合は3割から2割に引き下げられました。この負担金額は、世帯の所得によって決められています。さらに、ここで助成される医療費は、受診した複数の医療機関などの自己負担をすべて合算した上で適用されます。詳しくは下のリンクをご覧ください。
この難病医療費助成制度とは、どのような受給者証制度なのでしょうか?この制度を利用することで、患者が負担する医療費は一定になります。制度改正によって、自己負担割合は3割から2割に引き下げられました。この負担金額は、世帯の所得によって決められています。さらに、ここで助成される医療費は、受診した複数の医療機関などの自己負担をすべて合算した上で適用されます。詳しくは下のリンクをご覧ください。
所得によって負担金額は異なりますが、医療費の負担額は一定金額に収めることが可能になっています。治療法や薬の処方などで、保険外になってしまう難病治療において、金銭的負担は避けられない問題です。難病に関するサポートとして、難病医療費助成制度は重要な役割を果たしています。
難病医療費助成制度の申請方法
助成制度を利用するために必要な医療受給者証を都道府県の窓口から受け取る必要があります。そのための手続きの中で、主なやり取りを行うのは都道府県の窓口(保健所など)と難病指定医の2つです。
必要になる書類
○臨床調査個人票
○住民票
○世帯の所得と確認できる書類
○保険証(コピー)
○医療保険の所得区分確認書類
○そのほか必要に応じて必要な書類
・医師の診断書(重症患者認定用)
・人工呼吸器装着者であることを証明する書類
・世帯内にほかに指定難病または小児慢性疾病医療費の受給者がいることを証明する書類
・医療費について確認できる書類(「高額かつ長期」または軽症者特例に該当することを確認するために必要な領収書など)
(引用:助成を受ける申請手続き |大日本住友製薬)
◇まずは都道府県の窓口へ
まずは、都道府県の窓口にて住民票などの必要な書類を受け取ります。本人の生年月日や住所、疾患の症状の度合いなどを医者が記入する「臨床調査個人票(診断書)」もここで受け取れます。都道府県によっては、HPで書類をダウンロードして記入する必要がある場合もあります。聞きなれない書類も多く、初めての申請は戸惑うこともあるかもしれません。各都道府県ごとに、難病医療費助成制度に関する疑問点や不安なことも相談することができる窓口も設置されています。
少しでも分からないことがあれば、窓口に相談することでスムーズな申請を行うことができることでしょう。全国の窓口は以下のリンクでまとまっているのでご参照ください。
まずは、都道府県の窓口にて住民票などの必要な書類を受け取ります。本人の生年月日や住所、疾患の症状の度合いなどを医者が記入する「臨床調査個人票(診断書)」もここで受け取れます。都道府県によっては、HPで書類をダウンロードして記入する必要がある場合もあります。聞きなれない書類も多く、初めての申請は戸惑うこともあるかもしれません。各都道府県ごとに、難病医療費助成制度に関する疑問点や不安なことも相談することができる窓口も設置されています。
少しでも分からないことがあれば、窓口に相談することでスムーズな申請を行うことができることでしょう。全国の窓口は以下のリンクでまとまっているのでご参照ください。
◇難病指定医からの診断
先ほどの「臨床調査個人票(診断書)」を記入できる権限がある医師を「難病指定医」と呼びます。5年以上の勤務歴や、国が定めた研修などを受けて「難病指定医」になることができます。医療受給者証には有効期限があるため、初めて申請する新規申請と期限を更新する更新申請の2種類の申請があります。「難病指定医」は新規申請・更新申請の両方に対応することができます。
他にも「協力難病指定医」という医師も存在します。この医師は、更新申請に使う臨床調査個人票(診断書)のみを作成することができます。医師からの診断も終え、必要な書類を揃えて各都道府県の窓口に提出することで、医療受給者証が交付されます。
先ほどの「臨床調査個人票(診断書)」を記入できる権限がある医師を「難病指定医」と呼びます。5年以上の勤務歴や、国が定めた研修などを受けて「難病指定医」になることができます。医療受給者証には有効期限があるため、初めて申請する新規申請と期限を更新する更新申請の2種類の申請があります。「難病指定医」は新規申請・更新申請の両方に対応することができます。
他にも「協力難病指定医」という医師も存在します。この医師は、更新申請に使う臨床調査個人票(診断書)のみを作成することができます。医師からの診断も終え、必要な書類を揃えて各都道府県の窓口に提出することで、医療受給者証が交付されます。
指定難病ではない場合の医療支援制度
指定難病に認定されていない難病は、患者数がとても少ないものや、診断基準が確立されていないものがほとんどです。それらの疾患を「希少難病」と呼びます。
「希少難病」への支援
国が定めている「希少難病」の制度としては、「希少疾病用医薬品・希少疾病用医療機器・希少疾病用再生医療等製品の指定制度」というものがあります。難病に関する調査研究の推進の面で国が支援を行うためのものです。目に見えにくい形ではありますが、「希少難病」に関しても研究支援を行い、新薬の開発や治療法の確立に向けて日々、取り組まれています。金銭面の負担をサポートする制度も用意されています。
高額療養費と医療費控除
難病などに限らず、医療費が高額になってしまった場合の支援として高額療養費制度と医療費控除の2つがあげられます。それぞれの制度の利用方法と違いを見てみましょう。
健康保険制度には、思わぬ入院等によって、加入者の方々が一定の金額(自己負担限度額)を超える医療費を支払った場合、申請することで、その超えた部分を払い戻しする「高額療養費」という仕組みがあります。また、税法には、納税者本人や生計を一にする家族のために医療費を支払った場合、申告することで、一定の金額(多くの場合は10万円を超える金額)を所得から差し引く「医療費控除」という仕組みがあります。この二つの仕組みは、多額の医療費を支払った場合の負担を軽減するために設けられたものです。
(引用:「高額療養費」と「医療費控除」ってなんだろう? | 全国健康保険協会)
高額療養費では、保険の範囲内の医療費が自己負担限度額までになります。自分が受けている治療が保険の範囲内なのかを知ることが重要になります。医療費控除での助成は確定申告を通して助成されるので、一時的に医療費を負担しなければいけない期間が長くなるので、日常生活の中で負担になることは避けられません。制度を利用するためにも、不明な点があったら窓口にご相談ください。